クトゥルフ神話TRPGリプレイ小説"Random Jumper"Day7
- abnorman_bean
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ーぼんやりとした視界が正常に戻り始めると、私はどのような方法でか、地上の広場に戻っているようだった。何故か、土砂降りだったはずの雨は止んでいるようで、どれだけ時間が経ったのか?空も大分白んでいる。傍らで、小さな少年が私を覗き込んでいる。
2013-03-16 23:46:09「今日で六日目。連続記録を更新したよ」彼のことをまじまじと見る。黒衣をずぶ濡れに濡らした、彼の体はずいぶん上気している。袖口から覗く手首から、刻印が一切消えている。もちろんペンダントは、もうしていない。そして、その瞳に宿っている光は、今度こそ絶えない光だと私は確信した。
2013-03-16 23:49:51「ありがとう。ずいぶん時間が経って忘れてしまっていたよ。いや、最初から気付いていなかったかもしれない。CCDに人類が対抗する術、逃げ回るだけでは、駄目だったんだ。逃げる為の術をいくら磨いてもね。必要だったのは愛と勇気と」そして少しばかりの、知恵。
2013-03-16 23:53:59愛と勇気を否定しなかったのに気付いて、とっさに頬が赤くなる。「うん、本当に」彼は続ける。「大事な事を、この六日間、君に教えてもらったな」空が白んで、日の出が始まる。すると、総始郎の体が、足下から、少しづつ消えて行くのが分かる。待って、まだ言いたい事が。
2013-03-16 23:58:00「まだこれは制御できないみたいだけど、きっと方法がある、そう信じて、これから頑張ってみるよ」そのことなんだけどね、私ね、昔からね、鍵を開けるのが得意だったんだ、だから、もっと頑張ったら、ほら、時間の扉の鍵とか、開けてね、あなたを、思い通りの時間に、引き戻すとか、できないかな?
2013-03-17 00:01:04「僕も昔から得意だったんだ。木によじ上ってジャンプしたり、足も速かったから、壁を蹴ってのぼってみたり。何の役に立つか分からないけど、そんな事関係なかったな。そして、聞いた事がある。たしか銀の鍵の門...。うん、君なら、開けられるかもしれないね」
2013-03-17 00:07:14オレからもお願いだ。友子はどうなる?あいつを引き戻す方法はないのか?あいつは友達だったんだよ、オレ達の。だから機会があったら、助けてくれないかな?「試してみるよ」そういって彼は微笑む。日の出が終わるまで後少し。
2013-03-17 00:11:27彼の体が完全に消えて行きそうになる。「そうだ」なんでもない思いつきのように、彼は囁いた。「もし今度会った時の、合言葉を決めよう」そうすればいつの自分に会ったのか、君には分かるだろうから。そして総士朗の唇が、最後に、呟いた「○○○×○×」
2013-03-17 00:15:07