『ママ、わたしは生きてる』(イントロ)

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Shimada Yuichi @chimada

ネエコというのがテイレシアスの目の名前だった。と、いうか、ミカトが名前を授けたのだ。「ネエコ。それが君の名前だ」「ミカト。ネエコちゃんってだれかな」「君だよ」「嘘だよ。わたしはネエコちゃんなんかじゃないよ」「どこにもネエコちゃんなんていない。君がそうだからだ」「ミカト」「ネエコ」

2013-03-29 08:41:59
Shimada Yuichi @chimada

ミカトはなにか書き物をしている。そういうときのミカトにはだれも話しかけない。「お茶をもってきたよ、ミカト。ミカト。ミカト? そうか。やっぱりネエコちゃんなんてどこにもいなかったんだね。いいよ。お茶が勝手に宙を浮かんでミカトのデスクにあらわれました」「さて、休憩だ。どうしたネエコ」

2013-03-30 07:17:30
Shimada Yuichi @chimada

ミカトは世界について思いを馳せていた。世界とはいったいどのようなものか。その姿を思い浮かべるたび、ひとりの女性のことを思い出す。それは実在しない女性のイメージ。いわばキャラクターだ。夢と嘘がいりまじった世界で。ミカトはひとりの女性を思う。それはひとつの世界ではなかったのだろうか。

2013-03-30 07:22:48
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