緒明ついのべまとめ1

三月末から四月初めまでの自作ついのべまとめです。本人の確認用です。
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緒明トキ @oakitokidoki

女に産まれるのではない、女になるのだと、ボーヴォワールは言った。そんなものになれた気がしない私は今日、久々の同窓会に参加する。女に生まれただけで女になれるきみはずるい。そう言って私を睨み付けた彼は、まだスカートをはいているだろうか。 #twnovel

2013-03-27 20:29:08
緒明トキ @oakitokidoki

山田「俺の霊感を生かして次回の校内新聞はオカルト特集をやろうと思う」田中「やめてくださいよ山田先輩んな非科学的なこと。ただでさえ新聞部には出るって噂なんですから」山田「なんだと田中!怖いのか!?」佐藤(田中部長……相変わらず誰と喋ってんだろう……) #twnovel

2013-03-27 20:55:33
緒明トキ @oakitokidoki

「運命なんてないって、証明してやるんです」「なるほど」息巻く彼女に、科学教師は頷いた。どうやら、彼氏が運命の恋に落ちて浮気したらしい。彼女が勇んで出て行ってから、科学教師は、自分の手を見て苦笑した。その小指には、ドアの外に続く赤い糸がしっかりと結ばれていた。#twnovel

2013-03-27 21:30:53
緒明トキ @oakitokidoki

「進路の紙、何で勝手に出したの」「……いいじゃん別に。あたしの将来だし」「でも、プロドラマーなんて母さん賛成できない」「だから何?母さんみたいに勇者になれっての?そんなの絶対嫌!!」「待ちなさいヴィクトリア!楽器やるならせめて持ち運べるギターとかにしなさい!!」#twnovel

2013-03-28 09:51:41
緒明トキ @oakitokidoki

「おかしいだろ」と、彼は言う。「この前もその前も、君を助けたら君は俺のことを好きになったのに!」ううむ、確かに彼は、私を車から庇ってくれたけれど。「助けてくれたからって、好きになるとは限らないよ」ゲームじゃないんだから、と苦笑すると、彼は複雑そうな顔で私を見た。#twnovel

2013-03-28 10:37:06
緒明トキ @oakitokidoki

「この間彼女と歩いてたら突然元カノが現れて『こんな我儘で服の趣味悪くて食べ方も汚く全体的に下品な女のどこがいいのよ!』って言うからそういや何で俺こんな最悪な女と……って考えて考え抜いて最終的に『顔が好み』って答えたら彼女にビンタされた」「本当何でお前モテんの?」#twnovel

2013-03-28 11:44:24
緒明トキ @oakitokidoki

「なんでこんなクズに彼女いんのふざけんなって思って、でもあんな彼女ならいらねえわって考えて、だがおれならもっといい子と付き合えるんじゃねえかなって思って、やっぱ彼女欲しいわって思いました」「お前な、俺の彼女にだって一つくらいいいとこあんだぞ」「顔だろ」「まあな」#twnovel

2013-03-28 15:11:19
緒明トキ @oakitokidoki

「先生、アイって何ですか?」「虚数だ」「キョスウ?」「二乗してマイナスになる数だ。ほら、教科書のここ」「えーと、想像上の数?」「まあ英語ではそうだな。実際はなくてはならないものだ」「あの、私もそう思います!」「は?」「アイって、目に見えないけど大事ですよね!」#twnovel

2013-03-28 21:36:33
緒明トキ @oakitokidoki

「で、あなたの能力は?」「不死身です。焼殺、撲殺等の衝撃系でしか死にません」「地味ですね。何かグロいし」「そ、そうですか?」「しかも弱点衝撃系って、ビルから飛び降りたら死ぬじゃないですか」「まあ…」「ヒーロー向きじゃないですよ。悪の怪人とか受けてみたらどうです?」#twnovel

2013-03-29 09:24:44
緒明トキ @oakitokidoki

恋をした。色々な役に入り込みすぎて訳がわからなくなってしまった俺は、今や名優であり狂人だったが、彼女好みの男になれる事だけが自慢だった。しかし彼女は、ありのままの俺が好きだと言った。ありのままの俺とはなんだ。途方にくれた俺に、そういう顔が好きだと彼女は笑った。#twnovel

2013-03-30 14:09:21
緒明トキ @oakitokidoki

「だから、ほんとに出られないんだよ!」泣きそうな顔で先輩は言う。この人はかれこれ二年このショッピングモールから出ていないという伝説の引きこもりだ。言い訳に呆れてモールの出口をくぐると、なぜか本屋の脇に戻された。先輩が、「な?」と顔を覗き込んでくる。まじか。#twnovel

2013-03-30 18:50:27
緒明トキ @oakitokidoki

「ま、まさか……転校初日の田中さんが第六の戦士!?」「ええっ、特技がそろばんの田中さんが!?」「そんな、囲碁将棋部の田中さんが!?」「なっ、父親が中間管理職の田中ちゃんが!?」「っ、正直よく知らないけど田中さんが!?」『目覚めよ、メルむらむすめ!』「帰っていい?」#twnovel

2013-03-31 00:09:06
緒明トキ @oakitokidoki

「なんだか無性に悪いことがしたかった。楽しいと思ったから。で、色々やってみた。楽しかった。でも終わってみたら何が楽しかったかわからない。ああ、これじゃ他の楽しいことと変わんないなあと思ったね。悪いことである意味がなかった。僕って馬鹿だなあと柄にもなく反省したよ」 #twnovel

2013-03-31 21:14:09
緒明トキ @oakitokidoki

名探偵に「相棒」と呼ばれて喜ぶ人間は総じて変態だと思う。そもそも殺人事件に遭遇するとかおかしいし。人のご縁が見える僕は、目の前の死体を見たくなくて視線を落とした。と、ラブコメ糸とも呼ばれる腐れ縁の糸が、僕と名探偵の小指にしっかりと結ばれている!僕は悲鳴をあげた。 #twnovel

2013-03-31 21:16:23
緒明トキ @oakitokidoki

「たかし……私、実は宇宙人なんだ」「ええっ、みかちゃんも!?実は僕もなんだ!どこの星から来たの?僕は○$%*区出身なんだけど!」「えっ」「えっ」「な、なんか出てるけど」「ん?触手のこと?」「きょ、今日はエイプリルフールなんだけど」「そっか!どんな嘘つこうかなあ」 #twnovel

2013-04-01 00:06:11
緒明トキ @oakitokidoki

皆に好かれる秀才だったらしい俺は、どうして自殺しようと思ったんだろう。記憶を失った俺は頭を悩ませていたが、退院してみると案外あっさりわかった。生活感のない部屋に、山のような参考書や会話術の本。使い込まれたそれらを見て、そりゃ飛び降りたくもなるわと思った。 #twnovel

2013-04-01 01:22:17
緒明トキ @oakitokidoki

「エイプリルフールだから嘘でもつこうと思う」「聞こう」「この迷宮出るために俺の彼女がくれた糸あるじゃん?」「入り口に結んできたやつだな」「うん。それどっかに落としました」「ははは、嘘だろ?」「ああ、あの糸くれたの実は母ちゃんなんだ」「……おいお前まさか」 #twnovel

2013-04-01 09:43:35
緒明トキ @oakitokidoki

「目に見えないものを信じろというのは酷な話だと思う。でも俺は確かに、土砂崩れに巻き込まれる直前、血塗れの女を見たんだ!」「災難だったなあ」「……ところでお前、どうやって埋まった俺を探し当てたんだ?」「うん?まあ、目に見えないものを信じろというのは、酷な話だよな」 #twnovel

2013-04-02 11:27:38
緒明トキ @oakitokidoki

跡形もなく死にたくて、適当に悪魔を召喚した。失敗して喰われて死ぬ予定だったのだ。が、煙と共に魔方陣から現れた大きな山羊は、私を見て頬を染めた。なんだこいつと思っていると、山羊が口を開いた。「我と婚約したいのはお前か?」もじもじする悪魔を前に、私は頭を抱えた。 #twnovel

2013-04-02 21:43:33
緒明トキ @oakitokidoki

生け贄の美しい娘は、俺の幼なじみだ。惚れた弱味か彼女のお願い事は断れず、言われるままこっそりと共に箱に入った。中で強く手を握られ、開いていく蓋に死を覚悟した。が、その瞬間彼女は勢いよく立ち上がり、目の前の大蛇に向かって叫んだ。「お父様、私この方と結婚したいわ!」 #twnovel

2013-04-03 23:46:10
緒明トキ @oakitokidoki

外見、頭脳、身体能力、金、等々。あれだけ色々持ってるなら幸せなんだろうなあと思っていたが、どうもそうではないらしい。仏頂面でこちらを見てくるクラスの王子様に「帰る?」と尋ねると、頬を弛ませて頷いた。俺なんかに誘われて嬉しそうにするなんて、王子様はよくわからない。 #twnovel

2013-04-05 00:19:18
緒明トキ @oakitokidoki

彼と友達になりたい。しかし、持っているものを一つ一つ無かったことにしていかなくては、対等に話してすらもらえない。最後の最後に捨てきれないプライドが残って口すら開けない僕に気安く笑って、彼は「一緒に帰る?」と尋ねた。僕は頷きながら、まるで友達みたいだと思った。 #twnovel

2013-04-05 19:40:39
緒明トキ @oakitokidoki

助けたお婆さんから、キスで呪いを解く力を授かった。とりあえず家に帰り、落ち着こうと緑茶のペットボトルに口をつける。と、ぽんという音と共に緑色の髪の美青年が現れて、私に微笑んだ。「呪いを解いてくれてありがとう」なんと我が家では、口紅や茶碗まで呪われていたのだった。 #twnovel

2013-04-06 21:50:08
緒明トキ @oakitokidoki

今日も誘拐されていた彼を発見した。涙目でうーうー言っている彼の猿轡を外すと、何度か咳き込んでから私を見上げ、ありがとうと言った。昨日は大金持ち、今日はマフィアに拐われるなんて、ヒロイン体質も大変だねと言うと、毎回助けに来る君ほどじゃないよヒーロー、と笑った。 #twnovel

2013-04-06 22:05:15
緒明トキ @oakitokidoki

ゾンビだらけの町で逃げ回るうち、段々とこれは「人間でいられるかゲーム」だと思うようになった。数ヶ月勝ち続けてついに救助隊と合流した時、嬉しくてゾンビを撃ちながら笑顔で手を振ったら、変な顔をされた。そこで俺は、頭の中はもうとっくに人間じゃなかった事に気づいた。 #twnovel

2013-04-09 00:06:14