リレー小説 novelB

リレー小説です
0
ひよっこディレクター @hiyoD

@IIduckhole じっとりと暑苦しい空気が辺りを包んでいた。窓を全開にしても風ひとつ入ってこない。思わずリモコンに手を伸ばしたが、壊れている事を思い出し舌打ちした。(ボロアパートめが…) 目をキーボードに戻すと、黒い画面に「AIT」の文字。これは… #novelA

2010-08-28 01:10:22
@IIduckhole

@tukayu イギリス情報局秘密情報部MI-6の諜報員エイダは一瞬で背筋が凍った。世界中で発生している連続失踪事件「AIT」その3文字が何を意味するのかを知る者はいない。ただ一つわかっているのは、失踪者が最後にいた場所には必ずAITの文字が残されていたことだけだ #novelB

2010-08-28 08:55:57
@tukayu

@hiyoD エイダは異例の早さでMI-6への入局を果たした。エリートの多い組織の中で、派出所の一警官からMI-6に引抜かれたという経緯が彼女の推理力の高さを物語っていたが、この時ほど自分の推理に誤りがあることを願ったことはなかった#novelB

2010-08-29 20:16:17
ひよっこディレクター @hiyoD

@IIduckhole 「これは一体、どういうことですか!」エイダは局長のレオンに食いかかった。レオンはゆっくり振り向くと冷静に言い放った。 「おとり捜査の成功に喜んではいないのか?」「!」…エイダは黙った。記憶の一部は曖昧だった。だが、あの時の約束は覚えている #novelB

2010-09-06 22:26:47
@IIduckhole

@tukayu 3年前の夏、エイダ山田はロンドンにいた。日本人の父と英国人の母を持つエイダが母方の祖母を訪ね英国に来たのは、このときが初めてだった。エイダは小樽市緑公園前派出所に勤務する新米巡査だ。初めての有給休暇に心踊らせていたエイダは、奇妙な男に呼び止められた #novelB

2010-09-06 23:14:38
@tukayu

@hiyoD エイダはその日、夕食の買出しも兼ねてコヴェント・ガーデンを観光していた。声をかけられ振り向くと首から何か見覚えのあるものを下げた男が立っていた。スマートフォン?カメラ?ナビ?いや…これは…もっと懐かしい…そう、そうだ!ゲームボーイだ。それも初期の。なぜ#novelB

2010-09-07 00:36:13
@tukayu

@hiyoD  エイダが口を開こうとするより先に男が口を開いた「エイダだな?すぐに家へ帰るんだ」そう一言だけいうと男は人混みのなかへと消えてしまった。#novelB

2010-09-07 00:37:04
@tukayu

@hiyoD @IIduckhole 参考画像: http://bit.ly/3nKIU  コヴェントガーデン: http://bit.ly/10UQt4 #novelB

2010-09-07 00:43:15
ひよっこディレクター @hiyoD

@IIduckhole エイダはアパートメントホテルへと急いだ。見知らぬ男から名指しで家に帰れ、といわれたら、誰でも胸騒ぎを覚えるだろう。普段田舎暮らしの祖母は、孫の訪問に合わせて所有している市内のAPホテルに滞在している。気付くと周囲が騒がしい。「グランマ?!」 #novelB

2010-09-07 10:31:15
@IIduckhole

@hiyoD @tukayu 全体を見渡しやすいようにマインドマップ作りました。お二人を共同編集者として招待しました。ギャラリーの方も閲覧できます。 http://www.mindmeister.com/60938591/novelb

2010-09-07 12:56:04
@IIduckhole

@tukayu 「ビル火災だ!」誰かが叫ぶ。駆けつけたエイダは我が目を疑う。祖母の住むAPホテル全体が煙に包まれていた。多くの窓からは燃えさかる炎が見える。「そんな…」エイダはその場に立ち尽くした。祖母、アリス・ベケットの部屋からはいっそう激しい炎が噴き出していた #novelB

2010-09-07 15:37:09
@IIduckhole

@tukayu 「エイダ!」エイダが驚いて振り返るとそこには祖母がいた。「グランマ!」二人は固く抱き合った。「もうダメかと思ったよ」「今日はグランパの命日だから、思い出の公園に行っていたの…」エイダは胸の異物感に気づいた。「これは!?」なぜ祖母も初期型GBを首に #novelB

2010-09-07 15:46:00
@tukayu

@hiyoD 「グランマ、そのGBどうしたの?!」 エイダは思わず祖母の身体を引き離した。「これ、GBっていうのかい、グランパとの思い出の木に掛けてあったんだよ。命日だし、なんだかグランパからの贈り物に思えて…でもこれから交番に届るつもり」…そう言いかけたとき #novelB

2010-09-08 00:36:35
@tukayu

@hiyoD ポワン ピピーン♪ 聞き覚えのある起動音と共に画面に何かが映し出された「グランマ、ちょっとみせて!」 祖母の首に下げられたGB画面を覗き込むとそこには「親愛なるエイダへ カルロスより」の文字。カルロスとはアリスの夫…つまり亡くなったはずのエイダの祖父…#novelB

2010-09-08 00:48:16
ひよっこディレクター @hiyoD

@IIduckhole 「カル⁉ これは一体…」画面を覗き込んだグランマが反応した。エイダは生前のグランパの言葉を思い出した。「エイダ、私が開発しているこのALS109 は時空を越えた通信デバイスなんだぞ。これでいつかノーベルを取るんだ」研究半ばで祖父はなくなった #novelB

2010-09-09 00:51:52
ひよっこディレクター @hiyoD

@IIduckhole あの世とこの世を繋ぐデバイス?「そんなのある訳ない!」エイダは画面の文字を睨みつけた。画面の文字が切り替わる。「Look behind you」エイダが振り返るとそこには、家に帰るよう指示をだした、あの男が立っていた。 #novelB

2010-09-09 00:56:38
@IIduckhole

@tukayu 「貴方はさっきの…」「まあアンソニー!」エイダが言い終わる前にアリスが口を開いた。「お久しぶりです、Mrs.ベケット。ご無事でなりよりです」男の首に下がっていたGBがない。「誰なの?グランマ…」「アンソニーは貴方のグランパが最も信頼していた同僚よ」 #novelB

2010-09-09 15:17:32
@IIduckhole

@tukayu アンソニー・ハドソン博士は、かつてイギリス国立物理学研究所(NPL)でカルロス・ベケット博士率いるチームにいた気鋭の若手素粒子物理学者だ。「エイダ、先ほどは失礼した。まさか奴らがこんなに荒っぽい手段に出るとは…」アンソニーは火災現場を見上げた。 #novelB

2010-09-09 15:18:05
@IIduckhole

@tukayu 「ベケット博士の膨大な研究資料が失われてしまった。一番重要なものを除いて…」突然、アンソニーはアリスのGBに気づいて目を丸くした。「なぜそれを貴方が!?あの木は普通の木じゃない!隠し場所を、そして私の暗号を解除できるわけが…(沈黙)…わかったぞ!」 #novelB

2010-09-09 15:18:48
@tukayu

@hiyoD「くっくっく、なるほど、さすがベケット博士だ!」不思議そうな表情のエイダとアリスを後目に、アンソニーは腹を抱えてひとしきり笑うと咳払いをして話を続けた。#novelB

2010-09-09 21:26:36
@tukayu

@hiyoD 「まずはMI-6の本部へ行きましょう。話はそれからです。Mrs.ベケット、私がいいと言うまでGBは決して首から外さずに、心臓の位置にくるようにして下さい。」そして、いつのまにか控えていたタクシーに3人は乗り込んだ #novelB

2010-09-09 21:35:25
ひよっこディレクター @hiyoD

@IIduckhole エイダ達を乗せたタクシーは南に下ってテムジー川沿いに下った。車の外では救急車や消防車が逆方向に走って行く。祖母アリスのAPホテルに向かっているんだろう。(これからどうなるんだろう...)不安を抱え外を見るとトラファルガー広場で渋滞にかかった #novelB

2010-09-10 00:39:21
ひよっこディレクター @hiyoD

@IIduckhole アンソニーは外の人を眺めながら口を開いた。「ベケット博士は人類を愛していた」エイダは”人類”という壮大な言葉に耳を疑った。アンソニーは続けた。「だが、研究出資者にはそんな想いは関係なかった」エイダはよくある話だと思った。車はいつの間にか #novelB

2010-09-10 00:46:40
ひよっこディレクター @hiyoD

@IIduckhole 渋滞を抜け、国会議事堂を左手に過ぎると、ザビクトリアタワーガーデンスの美しい緑が目に入った。朝の雨とは打って変わって、差し出した太陽の木漏れ日がまぶしい。その美しい風景に容赦なく、アンソニーはエイダに宣告した。「...君の親しい人が死ぬ」 #novelB

2010-09-10 00:55:39
ひよっこディレクター @hiyoD

@IIduckhole 「!」エイダは驚きアンソニーの顔を直視した。アンソニーは下向き加減に言った。「誰だかはわからない。だが、ベケット博士は託したんだ」目の前には美しいテムジー川が広がった。車がミルバンク沿いを走る間、エイダは質問を探したが、混乱するばかりだった #novelB

2010-09-10 01:04:33