【ツイッター】140字でお題から連想してみる【字書き】

霜月師走 @91111112

【月】ふと見上げた空にはまだ半月がぶら下がっていた。うすっぺらくて白くて、夜の女王のごとき艶姿とは比べものにならない痩せた月。空色を透かして佇む姿をじっと見つめているとやがて陽の光が目を刺すようになる。おやすみなさい、また明日。目を逸らして小さく呟いた。 #140zikaki

かつみあおい @katsumi_aoi

【月】殻から飛び出た黄身が、洗いさしの食器が浸かったボウルに水しぶきもなく潜ってしまった。どんぶりはすぐ隣なのに、どうしてこんな失敗をしたのだろう。 ちゃぶ台に運んだら、鰹出汁の中にぽっかり黄色い円が浮かんだ。窓を見る。さて、これをおかずにするしかないか。 #140zikaki

壱歌 @1tsuka

【月】空はまだ赤いというのに今日の月は浮かんでいた。随分とせっかちな月だ。これでは夜が明ける前に疲れてしまうぞ。現に月は地面に近い所にいて、ぼとりと落ちてきそうだった。月が落ちてくる前に帰ろう、と背中を向けて歩き出した。これで明日が新月だったら面白いのに。 #140zikaki

テレサ@🦅🎂企画やるよ！ @theresa_0621

【月】覗いてごらん。渡された黒い箱には小さな丸い穴が開いていた。片目を瞑って覗きこむ。まぁ目が回るわ。忙しなく歩く人々の姿に驚いた。もっとゆっくり過ごせばいいのに。―どうしたの？隣を歩く彼の声に頭上を仰いだまま生返事を返す。そうね、フィジーにでも行こうかしら #140zikaki

喪中ハガキに関する謝罪文をご一読ください @adumayahomare

【月】三日月を見ていてふと思う。月の兎は、影に埋もれてしまう事を恐れるのだろうか。満月で悠々と餅をついていたのに、気が付けばどんどん影が迫ってくる。逃げ場のない恐怖に怯えながら必死に次の満月を待ち侘びる兎を想像しつつ飲む緑茶は、何やらいつもより旨い気がした。 #140zikaki

@hurubita

【月】片手に懐中電灯を握りしめていた。足元に落ちている小石や塀にあるフリーマーケットのお知らせを照らして夜道を歩いてゆく。月ははにかむようにして時折雲に隠れては、淡い光線を放っていた。もし全世界が停電になったとしてたら、あれが唯一の懐中電灯になるんだろうか。 #140zikaki

yen（留守） @golden_wheat

【月】切り取ったようにくっきりとした輪郭だった。眠る家々の屋根の上、闇の中に、それは映写機のピンホールのようにぽつりと浮かんでいた。煌々とした光は刺すように真っ直ぐだったので、緞帳の向こう側には焼けるように白く明るい世界が広がっているのではないかと思わせる。 #140zikaki

@uboaa

【月】あれを初めに球だと言ったやつは天才だった。天体写真が撮影される現代にあっても、私にはあれが円に見える。のっぺりとした表面が均等に光を反射している。少しの衝撃で欠けそうなほどに薄い円。宵の夜昊にぽかりと浮かぶそれは真ん円だった。まさに盆のような月だった。 #140zikaki

yen（留守） @golden_wheat

【月】屋根の上から、電線を超えて、風見鶏の背後を通って、木々の葉をかい潜って。僕の頭上を、僕の横を、僕の背後を。走っても走っても追い掛けてくる巨大な目玉は無言のまま、じいっと僕を見詰めてる。その金色に浮かぶ影だけがゆらゆら、水面のように揺れていた。捕まえた！ #140zikaki

まや @mayachiyo

【月】今夜の月はびっくりするぐらい綺麗だ。けれど、それを口にすれば本の虫である君は変な顔をするに違いなかった。夏目漱石を敬愛する君のことだ。知らない訳あるまい。月が綺麗ですね。その一言に込められた意味を。月を見上げる。ああ、愛を告白するには打ってつけの夜だ。 #140zikaki

ミカナギ@アラミゴ @mikanagi69

【月】真夜中の中空に、いつも引っ掛かるようにして浮かんでいる。常々鍍金のような色をしていると思っていたその星は、物の本によるとやはり自ら光を発しているわけではないらしい。道理で惑わされる輩が多いわけだ。彼の天体が纏う偽灯の下では、大抵のものが美しく見える。　#140zikaki

のい@FOI土曜夜・楽 @neu1227

【月】ほろほろとよろめいている光を、硝子レンズで透かしてやっと、少し欠けた秋の月にする。光をひとつにまとめた硝子は余分な月の明かりを土の上に落とし、大地に眠る秋虫たちの卵のための常夜灯をつくる。仄かな光に守られて、卵は静かに眠っている。 #140zikaki

@uboaa

【月】振り返ってぎょっとした。遠く山のふもとに、あたかも狸が今化けたかのように、あるいは歌舞伎の書割のように、漫然と浮かんでいる。場違いである。奇妙であった。大きすぎるのである。錯覚というには度を過ぎている。だが、それを誰も指摘しない。私だけが気づいている。 #140zikaki

スペクタクルP @spectacleP

【月】黒瓦の群れの上をなめるように、ゆわゆわと西へ揺蕩う。ぽかりと淡い影を、窓から降る光と同じだけ僕の心に落とした。灯を消して、暗闇とひとつになって、夜の明度で街を見つめる。照らす照明、揺れる街。歪んだ景色が、僕が泣いている事を教えた。旅立ちの夜の景色。 #140zikaki

そら（創作の愚痴を零したり、日常の話中心） @iotu

【月】大切な人に書く手紙のインクのように青みがかった黒い空にぽっかり空いた穴のように月がふわふわゆらゆらと浮かんでいた。それは火であぶって出てくる文字のように不思議な穴で空の青黒さをいっそう引き立てている。見ているとあの穴に吸い込まれるような気がしてくる。 #140zikaki

たすく😇👿 @taskun

【月】認知症で徘徊癖のあった祖父が湖で溺死した。その日は美しい満月の晩だった。月の写真を撮るのが好きだった祖父のことだ、水面に映った月を捕まえようとしたのかもしれない。李白みたいにね。すると祖母は目尻に涙を浮かべて、じゃあ仙人になれたかしら、と微笑んだ。 #140zikaki

悠里@妖精帝國 臣民 @seraphlove

【月】硝子越しに見る空はなぜかとてもぼやけていて何度も何度も僕は眼を擦る。それでもはっきりしない景色。はっきりわかるのは柔らかく、しかし力強く輝く月だけ。今、目を閉じたら二度とこの景色を見れないだろうな…なんて笑いながら僕はそれを掴もうとそっと手を伸ばした。 #140zikaki

ふちさき @huchi_k

【月】ぽっかりと夜空に月が浮かんでいた。都会の夜空は地上の灯りを反射して少しぼやけてくすんで見える。ちかちかと瞬くのは星々ではなく、離陸したばかりの飛行機の点滅灯だ。それが何故か無性につまらなくて、ぷかりと煙草の煙を吐き出せば、煙の向こうに月さえ消えた。 #140zikaki

スペクタクルP @spectacleP

【月】入り日薄れた東20度の空、橙の円形が巨きくグロテスクに浮かぶ。工場の警告灯を掠め、ゆるりと飛んだ。途方も無い数の空を重ねた向こう側。無限の星々の一歩手前。夜空を巡り、中天を滑り降り、明け方西の20度の桃色の空に真白く消えた。夜が浄化する一番近い星。 #140zikaki

木染綾 @_kozome

【月】人の消えた暗い国を照らすのは月明かりだけで、血だまりにさえくっきりと白い円が映った。風に吹かれ波立つ虚月は冷たく、今にも刺さりそうな色をしている。絶望さえ通り越し、もはや何の感情も抜け落ちたままに見上げた空の月は、それでもあたたかく見えたけれども。 #140zikaki

麻 @asa_co

【月】南の空に低くかかる月が赤い。静かの海も赤く染まっている。落ちてきそうで怖いと言った幼い私に、あれはローズ・ムーンの祝祭の火だよと笑った君が、夜半過ぎには青い光を灯すのだろう。今夜は八月の二度目の満月、薔薇色のOnce in a Blue Moon. #140zikaki

@戦闘員 @SM_kura120

【月】暗く冷えた空虚に手を翳してみた なのに姿がまだ見えている くすんだ青色に変わった残像が自分と重なる そう思う私の心ごと一人歩きして靴を脱いで欲しい だけど今日も私は結局逆らえず 同じく黄色のヘアピンをして靴をはいてしまう さぁ希望を重ねよう 月と共に #140zikaki

ひなか @hnkh

【月】艶やかな色香を湛えて三日月に笑む唇は、深い藍色の夜空に滲みる銀白の月とは似ても似つかぬ燃えるような深紅だけれど、でも、確かに、月だった。その手には乗るまいと堅く結んだ誓いを容易にほどいてしまう。ほら、吸い寄せられて、魅せられて、君に狂ってしまいそうだ。 #140zikaki

ふちさき @huchi_k

【月】夜道を一緒に歩いていた彼が、突然下手な英語で"I love you"と言い出した。ぎょっとして私が振り向くと、掌を私の方に差し出して彼が「千円貸して」と首を傾ける。なにそれかけてみたわけ？ 意地悪く問うと、彼はバツが悪そうにちょっと笑って頬をかいた。 #140zikaki

yen（留守） @golden_wheat

【月】Misty rainbow circle is floating in the clouds, so I can find HER over there. Little lady, why you are so shy? #140ZIKAKI