【有事法制】交戦規定について考える2~日本に軍法会議があったら~

以前のまとめ: 交戦規定について考える~日本にも軍法裁判所が必要~ http://togetter.com/li/375825
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💫T.Katsumi📢 #FreePalestine 🇵🇸 @tkatsumi06j

昨晩は映画鑑賞(+交戦規定に関するまとめ作成)で夜更かししてしまったのだが、外の風の音があまにうるさくて目が覚めてしまった。今朝は交戦規定について単に国内規定としての側面からツイートしたが、今回は交戦規定が現代国際人道法体系の中でどう位置づけられるか論じてみようと思う。

2013-04-07 11:44:24

ROEの基本は専守防衛

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交戦規定1.各国が独自に持つ交戦規定(以下ROE)はそれぞれの事情に即して作られている。たとえば自衛隊の部隊行動基準と呼ばれるROEはPKOの参加5原則をベースにし専守防衛を貫くものとなっている。が、オペレーションベースでいえば、実は米軍のものも専守防衛を原則としている。

2013-04-07 11:49:28
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交戦規定2.英語版WikipediaでROEを調べてみると、ソマリア介入時における米軍のROEがサンプルに貼られている。その基本は専守防衛であり、米軍は基本交戦国でなく、武器使用は最低限のものに限定されている。ただし個別自衛の権利を認め、急迫不正の侵害ある時は応戦してよしとある。

2013-04-07 11:52:51
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(参考)ソマリア支援作戦における米軍の交戦規定ROEの例 - Wikipedia http://t.co/rC6DMWLzgw

2013-04-07 13:16:22

ソマリア支援作戦統合任務部隊(JTF)地上部隊交戦規則(仮訳)

本規則のいかなる規定も、隊員及び所属部隊を防衛するために適切と思われ行動を妨げるものではない。

A.隊員には、攻撃あるいは攻撃の脅威に対し武力をもってこれを防衛する権利がある。
B.敵性行為を制止する目的での敵性攻撃に対する効果的かつ迅速な応戦は許可されている。
C.米軍が非武装の敵性勢力、群衆又は暴徒(あるいはその両方)によって攻撃された場合、米軍は当該状況下で許される最低限度の、かつ、脅威に比例する武力を使用することができる。
D.隊員は、任務遂行の目的で他者の資産を押収してはならない。
E.文民の拘束は、安全治安上の理由若しくは自衛上の理由に基づくものであれば許可される。

留意事項

1.合衆国は交戦状態にない。
2.あらゆる個人の尊厳を尊重すること。
3.任務遂行は最低限度の武力によって行うこと。
4.自衛のための行為には常に備えておくこと。

統合任務部隊SJA SER 312 1992年12月策定

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交戦規定3.戦場をアフガン等米軍が主体的に戦闘に関わっている地域に移すと、交戦規定は一変する。「急迫不正の侵害」という厳格な条件ではなく「身の危険を感じたら応戦してよし」となる。このように世界各地で戦争に関わっている米軍ですら、国連PKOレベルの専守防衛がベースとなっている。

2013-04-07 11:56:21

国際人道法(戦時国際法)の拘束

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交戦規定4.こうした、一見、各国の事情に併せて柔軟に規定できるROEも、その大元は国際人道法すなわちハーグ陸戦条約やジュネーブ諸条約等の戦時国際法によって拘束される。本来ROEは、国際紛争及び非国際紛争いずれにおいても国家の実力組織として機能するあらゆる軍事組織を拘束する。

2013-04-07 11:59:34
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交戦規定5.各国の事情によって武器使用基準が変容しても、文民保護基準は国際人同胞に準じたものとなる。イラク戦争及びアフガン戦争時、米軍はこの文民保護基準を遵守しているかどうかについて疑惑をかけられた。米側の主張は文民と見なせない者を「敵性戦闘員」と見なしたというものだった。

2013-04-07 12:04:27
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交戦規定 6.映画『英雄の条件』において問題となったROEも、国際人道法に基づく文民保護基準に準じていた。すなわち文民が武器を携帯していたか否か、戦闘行為に参加していたか否かだ。本来、武器を携帯するだけで文民と見なされない訳ではない。問題は実態行為として戦闘に参加していたか。

2013-04-07 12:07:40
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交戦規定7.戦闘に参加する文民は戦闘員として見なされ拘束された場合は戦争捕虜待遇を受ける。いわゆる便衣兵も同じで、実態として戦闘に参加していれば戦闘員とみなされ処遇される。映画『英雄の条件』で問題となったのは群衆からの発砲があったか、そしてそれが米軍より先であったかだった。

2013-04-07 12:10:22
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交戦規定8.『英雄の条件』(以下『ROE』)では海兵隊部隊の任務内容が問題となった。先に例に挙げたソマリアROEのように、限定的な武器使用が認められる状況だったということである。チルダーズ大佐率いる小隊の任務は大使の保護と海兵隊の存在を誇示することであり応戦は許可されてない。

2013-04-07 12:14:49
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交戦規定9.チルダーズ大佐はこの命令に違反して応戦した。そのことにより軍規違反として「平和の侵害行為」で有罪となった。問題はどの程度の違反行為だったかで、それが「殺人」と「海兵隊員としての行動」の罪状によって推し量られた。結果、その行為の問題点は早朝指摘した通りだ。

2013-04-07 12:18:09
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交戦規定10.国際人道法に照らせば、映画『ROE』でチルダーズ大佐のとった行動は国際刑事責任を免れない。攻撃の対象が文民であることを知りつつ、自らの文民保護基準(任務内容)を把握しつつ、戦闘行為の十全な確認なしに応戦しこれを80余名を殺害するまで止めなかったからだ。

2013-04-07 12:21:28

国際法体系における国際刑事裁判所ICCの位置付け

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交戦規定11.内規上も問題が残るチルダーズ大佐の行動は、軍法会議では任務違反の罪状以外では裁かれなかった。ところが、国際刑事裁判となると個々の国家の軍規は関係なくなりあくまで国際人道法及び独自の規定(ローマ規程)に基づいて違反行為の判断が為される。故に米軍はICCに反発する。

2013-04-07 12:25:04
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交戦規定12.映画『ROE』のような事態は、軍法会議なら無罪となるが国際刑事裁判なら有罪となり得る。米軍はこれが承伏できない。故にブッシュ政権以来、国際刑事事裁判所ICCに強硬に反対してきたのである。ICCは補完制の原則に従って各国の軍法手続きを不十分と評価して介入できるからだ。

2013-04-07 12:28:05

日本がICC締約国であることがもつ意味

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交戦規定13.実はここで日本が国際刑事裁判所(以下ICC)に加盟したことが日米一体化の中で問題になる可能性がある。現行の自衛隊法下では自衛官は国際人道法を侵した場合民法によって裁かれる。軍法会議が存在しないためだ。また民法には国際人道犯罪は未だ規定されていない。

2013-04-07 12:31:40
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交戦規定14.国際刑事裁判所ローマ規程への違反行為が日本国内で犯罪化されていないのは、外務省・防衛省及び法務省の見解として、自衛官が国際法上の重大な犯罪を犯す可能性は論理的可能性でしかなくまた現行刑法で十分対処できるという念頭があったからだ。

2013-04-07 12:34:30
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交戦規定15.しかし日米両軍の一体化が進み、国防軍創設・軍法会議創設となったら、国際人道法上の重大な犯罪も明確に軍法体系に組み込まれることになり、共同作戦時にはこれが両軍に適用されるようになる。その時、日本の国防軍兵士の行動がICC規程違反と見なされたらどうなるか。

2013-04-07 12:38:05

日本の将来の軍法体系をリアルに想像する

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交戦規定16.対米軍事関係において日本と似た境遇にある国で、ICC締約国であるのが安保理常任理事国でもある英国だ。英国はICC加盟前に、軍法体系の見直しを行い、ICCの介入なしで国際人道法違反を裁けるよう法体系を整備した。補完制の原則に従いICCが介入できない環境を構築したのだ。

2013-04-07 12:40:15