第 3 回ツイッター小説大賞応募作まとめ

togetterの練習代わり&備忘録。 以下の10篇を応募しました。
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ヨシムラ @ortk

トゥギャッター使ってみよう

2013-04-07 14:10:47
ヨシムラ @ortk

「おじさん、おそばください!」小さな常連さんが今日もやってきた。「たぬきのお客様!」「はーい、はいはーい!」にこにこしながらそばをすすると、しっぽがポロリ。あんまりおいしそうに食べるから、小銭が葉っぱに戻っても、耳が帽子からはみ出ても、誰もなんにも気にしない。 #twnovel

2012-11-22 22:58:50
ヨシムラ @ortk

20代は仕事ばかりしていた。仕事は楽しかった。やればやるだけ成果が出た。独立した。会社は大きくなった。妻の顔を見ない日が続いた。海外に仕事を奪われた。戦った。負けた。家は引き払われていた。登っていた坂道のどん底にいることにやっと気づいた #twnovel #twnoveloff

2012-08-04 19:33:24
ヨシムラ @ortk

潰れた小型車の中で母が亡くなって、私の留守番は死ぬまでと決まった。薄暗がりで本を読んでも誰にも叱られないし、お皿を洗っても誰にもほめられない。でも、それは昔からそうだったかもしれない。母と私の二人きりの生活で、母はいつも外を見ていた。布団を被る。夜が明けない。 #twnovel

2012-07-29 03:40:01
ヨシムラ @ortk

人生をワクワクさせるために必要なもの。太陽の光。吹き抜ける風。グラスのなかで弾けるソーダ。とっておきのチョコレート。雲を見つめてる時間。手のひらのぬくもり。あなたの言葉。あなたの笑顔。それが私に向けられたものでなかったとしても。 #twnovel

2012-07-26 06:18:41
ヨシムラ @ortk

どこへもいきたくなくて、流れ込むようにカフェでお茶を飲む。窓の外を眺める。雲が流れていく。夕焼けが空をおかしな色に染めていく。何かを、すべてを先送りにしたくてこうしていることに、本当は気づいている。夕日が沈む。宵闇が背後からやってくる。 #twnovel

2012-07-17 12:30:16
ヨシムラ @ortk

隅田川のほとりに住む先輩にご招待。「アパートの屋上でさ、パッとやろう」行って見ると、部屋には先輩だけ。「あれ、みんなは」と聞くと曖昧に笑いながら缶ビールをくれた。「ごめん、嘘。今日は君と二人」心臓が跳ね上がったのは、いいタイミングの花火のせい。#twnovel #twnvday

2012-07-14 11:52:21
ヨシムラ @ortk

隣のクラスの米山君にラブレターを渡した。ドキドキしながら帰り道。母に頼まれた買い物をしようとスーパーで、メモを取り出すと渡したはずのラブレター。買い物メモの通りの品物を持って、今まさにレジを済ませる米山君。そこから後は記憶がないが、明日は学校に行きたくない。 #twnovel

2012-02-01 18:58:11
ヨシムラ @ortk

体から染み出る黒い液体があんまり私の足を引きずるので、万年筆を突き刺した。引き上げたペン先の軌跡は物語になった。液体はますます黒みを増して、私の足はいつまでも重いまま。 #twnovel

2011-04-24 06:52:50
ヨシムラ @ortk

電車は夜を切り裂いて進む。切り裂かれた夜は少しひるんで、電車のいなくなったレールの上をまた、ぴったりと埋める。世界の半分たる夜にしてみれば、電気の灯りなど恐るるに足らない。 #twnovel

2011-03-07 17:51:34
ヨシムラ @ortk

幼い頃父に、仕事って楽しい?と聞いたことがあったらしい。父が職場で自殺未遂をした直後とも知らずに。父はほどなく職を変えた。そしてよく、お前には助けられた、と頬を撫でられた。あの手のひらを、屋上の手すりを掴むまで忘れていた。子供がいたら、踏みとどまれたのだろうか。 #twnovel

2011-02-04 20:38:13