第3回twitter小説大賞 応募10篇

ディスカバーさん主催の第3回twitter小説大賞。 今回応募したのは以下の10篇となりました。 第2回twitter小説大賞 応募10篇 http://togetter.com/li/108348
3
ゆえ @sakuyue

夢をみました。蝶になってあなたに会いにいく夢を。夢をみました。鳥になってあなたが会いにきてくれる夢を。夢をみました。鳥に捕まった蝶がついばまれ、生命が消えていく夢を。夢をみました。あなたがわたしを捨てていく夢を。夢をみました。わたしがあなたの命を摘み取る夢を。 #twnovel

2011-09-24 17:54:17
ゆえ @sakuyue

#twnovel 火竜にお願いして鱗を一枚ずつ分けてもらう。一枚たまるたびにあなたを思い出し、一枚たまるたびに旅の終わりを夢見る。あと何枚もらったら村に帰れるのだろう。難病に効く火竜の鱗。ずっと眠ったままのあなたを目覚めさせるために旅を続けるの。都合のいい魔法なんて夢見ないまま。

2012-01-12 20:04:52
ゆえ @sakuyue

ぴろん、メールが着信。『私メリーさん。あなたの家の前にいるの』イタズラかな。また着信。『私メリーさん。あなたの代わりに学校にいるの』それは楽だ、なんて思ったのが間違いだった。『私メリーさん。あなたの居場所はもうないの。学校だけじゃなく、家でも』ドアが、開かない。 #twnovel

2012-05-11 19:50:54
ゆえ @sakuyue

空が夕焼け色に染まる頃、星灯りの職人たちは動き始める。硝子細工の街灯ひとつずつに星を入れ、つついて瞬かせてやる。簡単な仕事と思うだろう。だが、このつつき具合が実に難しいのだ。強すぎては星が砕けてしまい、弱すぎては夜を照らせない。柔らかな灯りは彼らに守られている。 #twnovel

2012-05-18 20:29:28
ゆえ @sakuyue

戦闘用AIは今日も歌を唄う。上官に教えられた通り、ひと旋律も間違わず。争いの為に産み出され、そしてこの星から生命体は残らず消え去った。荒野と化した星に響く歌はノイズ混じり。いつかこの歌を聞いたものがお前を迎えに来てくれる。上官のその命令をただ忠実に守るのだった。 #twnovel

2012-10-21 20:02:19
ゆえ @sakuyue

今日がなんの日か忘れないよ。二人で一緒にいようって決めた日。家族が増えるとわかった日。君とケンカして本気で泣いた日。君を抱き締めた日。指輪をつけた日。手をつないで夕焼け道を歩いた日。どんな日だって大切なんだ。君と二人の人生だから。同じ日はない。 #twnvday #twnovel

2013-02-14 23:59:54
ゆえ @sakuyue

むきゅう、と動いておなかを変形させる君。それは思っている以上に力強くて僅かな痛みさえ伴う。生きている。一緒に生きている。鼓動を胎動として私に伝えてくれる。君と一緒に生きる十ヶ月。それが終われば、君と共に歩む数十年になる。だから、元気に生まれてきて顔を見せてね。 #twnovel

2013-02-24 02:05:44
ゆえ @sakuyue

遠い遠い記憶を覚えている。それは僕がこの世界に生まれ落ちる前の記憶。ゆらゆらとたゆたう揺り籠の中、僕に向けられた言葉はたくさんある。暗くて明るくて、微睡みから覚めるといつも合図してた。その度に返ってくる言葉が嬉しくて何度も繰り返した。だいすき、うれしい、って。 #twnovel

2013-04-12 03:12:01
ゆえ @sakuyue

馴染みの居酒屋でほろ酔い気分でいると何かが視界の端に映った。気のせいかとやり過ごせばまた動く。店長に聞けば、曰く妖精だそうだ。ビールをちょっと冷やしたり、氷をほんの少し足したり。そんな些細な事をするらしい。しかし妖精というのは小さいおっさんの姿でいいんだろうか。 #twnovel

2013-04-12 08:31:35
ゆえ @sakuyue

彼女はそこにいた。晴れの日も雨の日もずっとそこにいた。どれだけ月日が経とうとも、年月が過ぎようとも、変わらぬ姿でそこにいた。そんな彼女の表情に変化が見られた日がたった一日だけあった。白無垢姿の花嫁を送り出す行列に、見届けるかのように涙を零した彼女は消えたという。 #twnovel

2013-04-12 08:47:57