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りょーすけ ゆかりさんとのやり取り(補足あり)

ゆかりさんとの最後のやり取りです。 この件に関わるりょーすけの過去を最後に補足しました。 本当に記憶なんか思い出さなくちゃ良かったのに(と設定した本人が落ち込んでいます)
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◆私のレスの仕方が悪くて、折角のやり取りが意味不全となってしまいました。
 らむたさんには申し訳ない限り。

 ここで、りょーすけについて補足します。

 りょーすけは以前から「お嬢さん」をドクターが大事にしているらしい話は聞いていたし、知っていた。
 彼女自身とも戦闘で幾度か会ってもおり、足が良くないことにも気づいていたが、記憶のことまでは知らなかった。

 自分の無くした記憶を取り戻すことに必死になる人もいるが、それが決して幸せに繋がるとは限らない。
 むしろ、逃げられない足の鎖のようだ。

 りょーすけは自分の中の排水溝から吹き出してくるかのような記憶を思い、お嬢さんに会いたいな……と思った。
 会ってどうしたいというのではない。ただ、純粋に会いたかった。

 ドクターが大事にしていると言うからには、とても魅力的なのだろうし(彼にとってドクターは特別な存在なので)、鴬巣さんが覚醒のことを本人に知らせないように気を配り、尚且つ赤いコアの事実に相対させることもなく与えるだけなのも、何かわけありなのだろうと。

 ところが最初に目に入ったのは『毛布を被ってぽつぽつ話す可憐な少女』。
 ドクターに、鴬巣さんに、源二さんに、甘やかされて大事にされている人。
 大人達に大事にされ、そこにいる。

 藻掻き、努力し、それでも振り返られない者がいる一方で、無償で大事にされ、守られ、当然のようにそこにいる。

 自分から相手に何もしなくても、相手から手を差し伸べられる人間がいるという現実。一方的に愛され尽くされる。

 『ありがとう』も無く生きていた『おねえさん』の記憶が蘇り、同時に自分や“母さん達”への事が被る。

 ゆかりさんがこの時、反論を一言でも成すならばりょーすけは我に返っただろう。
 しかし、ゆかりさんが返す間もなくりょーすけは小梅によってつまみ出されてしまい、タイミングが悪すぎた(中の人の所為ですが)。

 結局のところ、りょーすけの中にある「甘ったれた傲慢な人物」と「叱ることもせず、ペットの様な可愛がり方をする大人」に(その場しか知らないりょーすけにとっての)状況が当てはまってしまったのがすれ違いの原因です。

◆たくさんの「ありがとう」と「ごめんね」

 彼が意識不明で入院中、二人の母親が彼の前で喧嘩を始めます。
 実母は昔……夫婦仲が悪化した頃、りょーすけに夫と姑を見て嫌い、離婚時に引き取った姉弟のうち、りょーすけだけを夫に返します。

 しかしその後、自分の人生を取り戻して冷静になった時、取り戻そうとしました。
 その時は父親が再婚していて継母とりょーすけは非常に仲が良かった為、裁判の上で断念しました。
 ところがその後、継母側の事情が一変します。
 ここは書くには長いし、暗いので略します。

 色々あった末、ある事件(これもちょっと酷い)でりょーすけは意識不明が続いていました。
 意識が戻ることもない。でも入院費は掛かる。犯人に請求が出来ない。保険になんて入っていない。

 そんなある日、実母が乗り込んできました。別にりょーすけを心配してとかではなく
「継母がりょーすけの親権を実母に返す相談を弁護士にしている」
という事からでした。
 独立して仕事も軌道に乗りつつあるところに、一度
「自分の勝手で捨てた子を今更引き取るなんて恥知らずな」
「絶対に渡さない」
と啖呵を切り、恥を掻かせておきながら今更何を言うかと。

 理由は先の見えない入院費用の心配だろう。そして再婚の話も聞こえてきている。
 母子家庭になった今、継子は不要ということか。

 一方実母にとっても今更なこと。
 漸く仕事が波に乗ってきて娘も大学卒業。安定してきた矢先に10年以上会ってもいない意識不明の子供を押しつけるとはどういうことか。

 二人にとって「いらない子」の感情的な押しつけ合いがりょーすけの脇で展開されました。(人間の最後まで生きている器官は耳だそうです)
 でもりょーすけにとってそれは事実。仕方ないこと。

 自分がどれだけこの先負担になるか分からないし、自分がこんな目に会わなければ二人が争うこともなかった。
 ヒーローになって助けたかったけど、頑張ってきたけど、迷惑しか掛けてない事実。

「ごめんね」

 言うしかない。心から詫びるより仕方がない。
 そして

「ありがとう」

 辛い思い出ばかりじゃない。楽しい思い出ももらった。
 たくさんの温もりや友達が出来たのもお母さんが産んでくれたからだし、母さんが頑張って育ててくれたから。

「ありがとう」
「ごめんね」

 その時、取っ組み合いの母二人がりょーすけの生命維持装置に倒れ込んだのです。
 まだ残暑厳しい夕方のこと。

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