『科学』5月号でさらに問い直された福島県民健康管理調査甲状腺検査

宗教学者 島薗進氏の連続ツイートをまとめました。 まとめの題はまとめ主が考えました。
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島薗進 @Shimazono

0牧野淳一郎教授(東工大・物理学)と津田教授(岡山大・疫学)の科学論。福島での甲状腺がんについて放射線の影響の可能性を考えないというやり方は正当化できるか?答は「ノー」だ。現代科学のあり方に従えば、当然、放射線の影響の可能性を考えて検討がなされるべき。『科学』(5月号)掲載論考。

2013-05-02 09:11:21
島薗進 @Shimazono

1牧野淳一郎氏「3.11以後の科学リテラシー no.8」『科学』(5月号)主旨「公式の見解は「現在の時点で被曝の影響がないことを前提に調査をしている」ですが、それは調査の前提とするべきではなく、調査するべきことではないでしょうか?」調べないでその前に、ある命題を前提に置いている。

2013-05-02 09:12:16
島薗進 @Shimazono

2牧野淳一郎氏「3.11以後の科学リテラシー no.8」『科学』に引かれている山下俊一氏の笹川医療協力プロジェクトの特徴についての発言は要注目。「広島・長崎の原爆被爆経験と実績を元に、同一診断基準と統一された検診プロトコールを用いて、甲状腺と血液異常の診断に主眼をおき…」とある。

2013-05-02 09:12:37
島薗進 @Shimazono

3牧野淳一郎氏「3.11以後の科学リテラシー no.8」山下氏は又この調査が「最も信頼できる最大規模の臨床データ」と。他方福島調査につき山下氏は「(比較する)前例がない」、鈴木眞一氏も「今回のような精度の高い超音波検査で大勢の子どもを対象にした調査は前例がなく、比較はできない」と

2013-05-02 09:13:43
島薗進 @Shimazono

4牧野淳一郎氏「3.11以後の科学リテラシー no.8」「比較できない」という理由は機械の精度が異なるということ。だがそれだけで比較ができないなどということがあるか?「もちろん、最新の装置を使うことは当然ですが、だからといって古いデータと比較することは不可能、というようなことは」

2013-05-02 09:14:36
島薗進 @Shimazono

5牧野淳一郎氏「3.11以後の科学… no.8」「通常の科学的方法ではありません。基本的に、そういう場合には、両方の方法で同じ対象を測定することで、2つの測定方法の定量的関係を明らかにしておく、というのが科学的方法の基本です」「このような科学的方法の基本をないがしろにすることで」

2013-05-02 09:15:17
島薗進 @Shimazono

6牧野淳一郎氏『科学』(5月号)「同じ人がやっているチェルノブイリでの大規模調査と比較しないこと、あるいは「装置が違うために比較できない」と主張することが可能になっているわけです」。比較できないとすることで、2013年度(から15年度)段階での調査は増える前のベースライン

2013-05-02 09:16:03
島薗進 @Shimazono

7牧野淳一郎氏「3.11以後の科学…no.8」即ち「先行調査」であると主張することが可能に。そして「「現在増えていない」は調査の前提であって、調べるべきこととはされていない」。これが原発事故由来の放射線影響による「がんの発生可能性自体を検討しない」というやり方の「正当化」?

2013-05-02 09:16:58
島薗進 @Shimazono

8津田敏秀教授と山本英二教授(岡山理科大数理統計学)共著の「多発と因果関係」『科学』(5月号)では、「病気の多発を疾患のアウトブレイク」と捉え、「アウトブレイク疫学」に関心が高いアメリカの研究動向を参考にしながら、県民健康管理調査の甲状腺がん検査のあり方が批判的に検討されている。

2013-05-02 09:17:30
島薗進 @Shimazono

9津田氏・山本氏「多発と因果関係」『科学』(2013年5月号)「多発」「アウトブレイク」を察知した場合「対策なり拡大調査なりの定められた手順の実行が必要になるので、それまでの考え方を転換しなければならない」。これは水俣病などの公害での疫学の役割を検討してきた津田氏らしい問題意識。

2013-05-02 09:18:32
島薗進 @Shimazono

10津田氏他「多発と因果関係」3万8千人で3人(7人疑い)という小児甲状腺がんの発症は「多発」と言えるか?ふだんは100万人あたり1人と言われて来たものだが、ボアソン分布による統計的推論を行うと、仮に100万人あたり18人、有病期間1-6年ならもちろん10年としても多発傾向と

2013-05-02 09:19:36
島薗進 @Shimazono

11津田氏他「多発と因果関係―原発事故と甲状腺がん発生の事例を用いて」見なくてはならない。チェルノブイリでの研究では今後甲状腺がんが一層多発する可能性を否定できない。「現段階では多発と考えて次の段階の計画を立案すべきであると思われる」。他地域も含め「多発の探索、多発が観察された」

2013-05-02 09:22:08
島薗進 @Shimazono

12津田氏・山本氏「多発と因果関係」「場合の医療体制」に備える必要がある「大規模感染症食中毒事例のような医療資源の枯渇にまでは到らないとは思えるが、もともと甲状腺がんの医療資源はそれほど大きくはないので、点検の後に必要な資源の2年以内の整備を検討すべきであろう」「誤って因果関係を

2013-05-02 09:22:47
島薗進 @Shimazono

13津田氏・山本氏「多発と因果関係」「認識し対策をとってしまった時には、経済的な損害が生じるが、因果関係により病気が多発しているのに対策をとらなkあった場合には、経済的損害に加えて人的被害が生じる。多発や因果関係を認識するkとに加えて、実際のアウトブレイク対策の現場ではこのような

2013-05-02 09:23:34
島薗進 @Shimazono

14津田氏他「多発と因果関係」「リスク評価も加わる」「しばしば日本では、相当の根拠があっても対策がとられず、因果関係の有無が議論されて対策が先延ばしにされる。因果関係がない場合にも安全性の証明や根拠が求められるのに、それは行われない例が目立つ。しかし、判断は、対策をしなかった時の

2013-05-02 09:24:16
島薗進 @Shimazono

15津田氏他「多発と因果関係」「コストも考慮されなければならない」。日本ではこうした実際的な科学分野への関心が低い。「この現状が、今回の原発事故と甲状腺がんの発生の問題においても、そして日本の健康危機管理問題においても、大きな悪影響をもたらしているのである」早期対策が必要との論。

2013-05-02 09:25:43