憲法改正のハードルが高い理由(山下真・生駒市長)
衆参3分の2による発議を2分の1にしたところで、軟性憲法(法律と同じ手続きで変えられる)になるわけではない。国民投票が必要なので、ここが法律と決定的に異なる。衆参3分の2の発議要件を2分の1にしても、硬性憲法憲法であることに間違いない。護憲派と呼ばれる人達は国民投票を軽視している
2013-05-04 21:25:2996条改正反対派の思想・哲学こそ危険であり、日本国憲法の価値相対主義にそぐわない。96条改正反対派の人たちは憲法を守れ!と言うが、実は自分たちこそが日本国憲法を守っていない。どのような考えが絶対的に正しいかは分からない。だから国民の判断に委ねる。これが日本国憲法だ。
2013-05-05 08:13:181 橋下徹・大阪市長はツイッターで、憲法改正の発議の要件を各議院の総議員の三分の二以上としている現在の憲法96条に固執することは、憲法改正案を国民投票にかける機会を少なくすることになるので、国民投票、ひいては国民を信頼していないことになると仰っている。本当にそうだろうか。
2013-05-06 13:13:242 国民投票は、その性質上、発議された案にイエスかノーかを言うことしかできない。発議された案と違う案がよいと思っても、それを投票用紙に書けば無効となる。従って、どのような案が出されるかが決定的に重要となる。
2013-05-06 13:13:543 憲法は国の最高法規であって、これに反する法律等は無効となる(98条)。それだけ重要なものの改正案を国民に問い、なおかつ国民はイエスかノーかしか答えられないのだから、国会でよく議論し、多くの国会議員の合意が得られたものだけを国民に問うように、というのが96条の趣旨だろう。
2013-05-06 13:14:184 憲法は他にも、会議を非公開にする場合や議員を除名する場合、衆参両議院で異なった議決をした時に衆議院で再議決する場合など重要な局面では、出席議員の2/3以上の賛成が必要としている。これらの規定との対比上も、憲法改正の発議に各議院の総議員の2/3以上の賛成が必要とされるのは当然。
2013-05-06 13:15:245 以上から明らかなように、憲法改正の発議の要件を各議院の総議員の三分の二以上とすることは、それ相応の理由があり、決して国民投票や国民を信じていないなどということではない。
2013-05-06 13:16:006 橋下市長はまた、「(96条改正に反対し)国民投票を軽視する人たちは、自分の価値観が絶対的に正しいと確信している」と仰られる。しかし、これも曲解されておられる。
2013-05-06 13:16:247 憲法97条は「この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であつて、これらの権利は、過去幾多の試錬に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである」と定めている。
2013-05-06 13:16:458 これは、日本国憲法が保障する基本的人権は、フランス革命など近代市民革命を経て、各国の憲法に採り入れられた普遍的ものであることを宣言している。現在においても、欧米諸国や日本は自由権や法の下の平等、参政権をはじめとする各種人権を普遍的な価値として共有しているはずである。
2013-05-06 13:17:119 日本国憲法の改正しにくい性質(硬性憲法)を良しとする人は、「自分の価値観が絶対的に正しいと確信している」のではなく、上記の普遍的な価値を正しいと確信し、それを守ろうとしているのである。
2013-05-06 13:17:3910 橋下市長が、それに固執することも価値絶対主義として良くない、と言われるのなら、そうした普遍的な価値を余り重要視されていないのかと思ってしまう。
2013-05-06 13:18:1111 憲法学会の通説では、国民主権、人権尊重、平和主義といった憲法の基本原則は改正できないとされている。もちろん、基本原則を維持した上での部分修正は可能だが、その場合でもこれらの諸価値を守るために憲法96条で硬性憲法にしたのだから、同条の手続に従って改正するのが憲法の趣旨だろう。
2013-05-06 13:19:0813 もっとも、憲法学者の佐藤幸治・京大名誉教授は「(改正の)『限界』を越えた行為は改正ではなく、もとの憲法典の立場からは無効ということになるが、新憲法の制定として完全な効力をもって実施されるということは十分あり得る。」(「憲法」(第三版)(青林書院))としている。
2013-05-06 13:19:3414 従って、憲法96条を改正し、憲法改正のハードルを下げた後、憲法の他の規定を改正することは、現行憲法からすれば無効だが、新憲法の制定としては有効という論が出てくるかもしれない。
2013-05-06 13:19:5015 憲法改正に向けた今の動きは、まさにそれだけの大きなことであるからこそ、石川健治・東大教授は「立憲国家への反逆」「革命」と危機感を訴え、小林節・慶大教授は「改憲への『裏口入学』で、邪道」と看破したのだろう。
2013-05-06 13:20:59