仮面ライダーW Rの脅威/帰って来てくれ仮面ライダー 『チャプター8・Dは悪魔/史上最悪最強の仮面ライダー』
「若くて張りのある全盛期の俺相手に、ジジイになった俺が正々堂々やり合えと? 御免だね。手駒が必要だったのさ。照井や刃さんたちを分散させ、お前一人になるよう仕向ける為のな。俺に辿り着く前にお前が奴らに倒されでもしたら――、それはそれで面白かったかな」24 #WR
2013-05-04 14:33:16「それだけの為に……、街の人たちを襲わせたって言うのか?」 「お前と照井が阻止したお蔭で死人は出てないんだろう? よかったじゃねぇか」 「手前ェ……!」 仮面の奥で歯の根を鳴らし、拳を握り締めるジョーカー。“自分”の身勝手さに、怒りがマグマのように煮え滾る。25 #WR
2013-05-04 14:34:39だが、怒りで冷静さを失っては相手の思うつぼだ。ジョーカーは壁を殴って怒りを鎮め、大袈裟に息を吐く。 「……何にせよ、もう終わりだな。お前の手駒は既にゼロ。ドライバーとメモリはさっき砕いた。さっきの言葉をそっくりそのままお返しするぜ」26 #WR
2013-05-04 14:35:58追い詰めたぜと、翔太郎は人差し指をびっと突き立てるが、男はだから何だと口を歪ませた。 「なぁ、俺。昔確か――、こんなことを言ってたよな。“切り札は常に俺の所に来る”とか何とか」 「だから何だ」 「俺の切り札はあのメモリでもドライバーでもないってことさ」27 #WR
2013-05-04 14:37:43「だから、何を言ってるんだ、お前……」 「こういう、ことだよ」 男は身に纏う黒のコートを大きく開き、そこに仕込まれた数多くのメモリから、邪なものが渦を巻き、アルファベットの”R”を象ったものを抜き取った。 [リベンジ!]28 #WR
2013-05-04 14:39:40「見たことも聞いたこともない……、なんだそのメモリは」 「こいつが、さっき話した”特別製”さ。今から二十年後に完成した”復讐”の記憶を宿したメモリ。コネクタ手術を用いても人体に挿せないが……」29 #WR
2013-05-04 14:41:04男は”リベンジ”のメモリを起動させたと同時に、何も書かれていない空のメモリに押し込む。 赤黒いエネルギーが空のメモリに注がれ、”バーコード”と”複眼”が掛け合わさったかのような、不気味な模様のメモリへと姿を変えた。30 #WR
2013-05-04 14:41:46「空のメモリに地球の記憶を注ぎ込めるというわけさ。そしてこいつは、最強最悪の仮面ライダー……」 [ディケイド!] 男は自分の腹部に先ほど精製したメモリを挿し込んで変身。彼の体はきついピンクの体色に緑の複眼、頭に黒い板が何枚も縦に刺さった、異形中の異形へと変化する。31 #WR
2013-05-04 14:43:47「なんだ……この趣味の悪いピンクは」 「見てくれは気にするな。今の世界に飽き飽きして、俺はタイムのメモリを使って過去に戻ろうとした。時間を超える旅の中で見かけたのが”こいつ”と、ヤツがやり合った仮面ライダーたちの死体。ついでに、殺された奴らの”私怨”の塊だ」32 #WR
2013-05-04 14:44:35「何があったかは知らないが、争い合い憎しみ合い殺し合い、望みを叶えることなく、呆気なく死んじまった。その私怨だけが異空間の過去の記憶に残留し、そいつをこのメモリが喰らい尽くした。そうして生まれた記憶を、俺が空のメモリに移し、あいつらに与えたという訳だ」33 #WR
2013-05-04 14:44:57「覚悟しろよ昔の俺。こいつは元の強さも私怨の強さも並みじゃないぜ。何たって、世界の破壊者だからな」 男――ディケイド・ドーパントは一気に間を詰め、ジョーカーに襲いかかる。しかし、彼はそれより先にトリガーへとチェンジし、マグナムの連射で彼の進撃を押し留めた。34 #WR
2013-05-04 14:46:51「早いな。歳を取るってのは嫌なモンだな。ガタが来てるのが自分で分かる」 「安心しろよ、すぐに砕いてやる。メモリも薄汚い計画も……お前の全てをな」 「言うねェ。だったら見せてもらおうか、“俺”の全力って奴を」 「言わずものがな!」35 #WR
2013-05-04 14:49:04[トリガー!][マキシマムドライブ!] ――トリガーシューティング! 先手必勝。ライダーは相手に先に攻撃させまいと、銃口をマキシマムモードに変えてメモリを挿し、必殺技を放たんとするが――。36 #WR
2013-05-04 14:49:32「威勢がいいな。ならまずトリガーから……潰してやる」 ディケイドは臆せず、右手に構えた銃の引き金を引く。銃口から放たれた桃色六面体の閃光が青色の光線を包み込み、全て搔き消してしまう。 「これは……どうなってんだ!」 「不意打ちが不発に終わった。それだけのことだよ」37 #WR
2013-05-04 14:50:44マキシマムドライブを無効化されて戸惑うライダーに、ディケイドの情け容赦ない銃撃が放たれる。彼の放つ青色の光弾は決して直線を描かず幾重にも湾曲し、正確に彼の体を撃ち貫いて行く。まるで、ルナトリガーの変幻自在の銃弾のようだ。38 #WR
2013-05-04 14:52:33「……んなろぉ、だったら接近戦だ!」 [メタル!] [METAL!] ライダーは銃撃戦に勝ち目がないことを悟り、メモリを差し替えて仮面ライダーメタルに変身。 今の自分が老いた己に身体能力で負けるわけがないと、メタルシャフトによる棒術戦に持ち込んだ。39 #WR
2013-05-04 14:53:24「そうだ、どんどん来い。全て砕いてくれる。お前の自信も、命もな」 対するディケイドは臆せず右腰の剣を抜き、メタルシャフトとの鍔《つば》迫り合いで周囲に火花を散らす。40 #WR
2013-05-04 14:54:10ライダーはディケイドの隙を突き、メタルのマキシマムドライブを発動し、力任せに彼の持つ剣を弾き飛ばす。これで状況はがらりと変わる。翔太郎は仮面の下で決まったと叫ぶが、ディケイドは左手人差し指を左右に振った。42 #WR
2013-05-04 14:55:08「……本当に、そうかな?」 剣を弾き飛ばされたディケイドは、だから何だと翔太郎のシャフトを奪い取り、それを振るって距離を取る。 「この野郎、何しやがる!」 「なぁに、こうするだけだ」43 #WR
2013-05-04 14:57:18ディケイドは奪ったメタルシャフトに、念と赤黒いエネルギーを流し込む。 瞬間、銀一色だったメタルシャフトは、青色の棒へと姿を変えた。倉田が変身したドーパントが使っていたものと同じだ。そうして変化したシャフトを振るい、ライダーを薙ぎ倒して彼の首元にロッドを突きつける。44 #WR
2013-05-04 14:57:56「シャフトが変わった……って、これは倉田の!」 「”クウガ”の力を使わせてもらった。ライダーたち全ての力を併せ持ち、行使できる能力。そいつがディケイドを世界の破壊者だの、悪魔と揶揄させる所以さ。出血大サービスだ、もう少し見て行くがいい」45 #WR
2013-05-04 14:59:14ロッドを投げ捨てたディケイドは、胸の前で手を組み、紫色に光る大きな“棍棒”を呼び出す。マルが変身していた、ヒビキ・ドーパントと同一のものだ。46 #WR
2013-05-04 14:59:37あれの恐ろしさは身を以て理解している。翔太郎はディケイドが放ったロッドを掴み、棍棒を押し留めんとするが、ただでさえ質量も破壊力もケタ違いの棍棒にはまるで歯が立たず、ロッドは中心から真一文字に叩き折られ、その上で手痛い一発を腹部に貰ってしまう。47 #WR
2013-05-04 14:59:54メタルのメモリによって剛性が強化され、一瞬とはいえロッドで防いでも尚、その一撃はライダーの装甲を砕き、亀裂を生じさせる。“年寄りに肉弾戦で負ける筈がない”だって? 誰がそんなこと言ったよ。やられっぱなしじゃねぇか。翔太郎は悪態をつき、両の拳で地を強く叩いた。48 #WR
2013-05-04 15:01:16