広告屋さんの読書メモ:岩波新書「原発訴訟」(海渡雄一)
- tkimura6502
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岩波新書「原発訴訟」(海渡雄一)を読む。
海部雄一弁護士の30年にわたる原発訴訟の記録を綴った「原発訴訟」(岩波新書)ようやく読める。「少数の技術者と科学者が勇気を持って原発の潜在的危険性を訴えた。訴訟は彼らのような献身的な科学者達が居なかったら成立しなかった」という一文が改めて印象的だった。
2013-05-08 23:54:01この話で火山のおっさんが「科学者の自説開陳はそれが否定されたら職を失うのだ。だからリスペクトしろ」を思い出した。ただ背景としてミスをばっくれる事の糊塗、その論説が体制擁護に終始している言及についての事なので、余計に、この書に出てくる科学者らの烈々たる身命を賭した気概に打たれる。
2013-05-09 00:03:10原発訴訟】(海渡雄一) 1978年伊方原発訴訟では、安全審査を担うはずの原子力委員会では委員の欠席が常態化していた上に議事録も残っていない事が露呈し、原告側弁護士の尋問に国の参考人が返答に窮してしまい尋問台につっぷしてしまうシーンも。国側守勢と報じられたが裁判官交代で逆転した
2013-05-09 01:08:17(大飯で見せつけられたいい加減な国や電力会社の対応というのは、原発訴訟黎明期の伊方、福島第二、東海第二から、もう無形文化財レベルの舐めっぷりだったんだね。書類は不備、参考人はしどろもどろ、前言は撤回され、資料は紛失したりする。そして炸裂する判決前夜の裁判官交代人事の謎w)
2013-05-09 01:12:41(逆にこれらの裁判記録を知悉していた上で、ジュリストや判例時報辺りに、これみよがしの法律論解釈を垂れている法曹って一体何?というw )
2013-05-09 01:14:11【原発訴訟】(海渡雄一)その裁判官交代について「証人尋問を担当した村上悦雄裁判長ではなく柏木賢吉裁判長によって棄却判決が下された。村上氏は再三にわたり国(被告)に文書提出命令を発するなど、安全問題に深く悩んでいたという。」尋問終了後突然、植村裁判官に交代。
2013-05-09 01:26:10【原発訴訟】海渡雄一「交代した植村裁判官は一度も法廷に顔を出さず、2度の公判を延期し、判決を言い渡した柏木氏へ交代した」。原告団は最高裁へ裁判官交代を抗議したが受け入れられなかったという。
2013-05-09 01:28:42【原発訴訟】(海渡雄一)「専門的な科学論争が戦わされた事実審理を、担当しなかった裁判官が判決を書くという行為について行政法学者の阿部泰隆氏は裁判官を頻繁に交代させて、培われた科学裁判の知識を無駄にした場合は、到底説得力はない」(判例タイムズ362号)で厳しく批判した。
2013-05-09 01:32:56原発訴訟で必ず論点となる原告適格論(原告に行訴資格は有るか論)は、実は国側が繰り出す参考人らが、京大原子炉実験所の小出氏らに科学論争で歯が立たず、敗退を繰り返す中で、科学論争を避け、法廷闘争に事象を純化し落とし込むために取り入れられた国側の常套戦術だそうな。
2013-05-09 01:44:04伊方原発訴訟はその最高裁判決が、事後の原発訴訟の司法側判断の要件になったといわれる。先に述べた原告適格(後にもんじゅ訴訟で拡大)と安全審査の対象を基本設計のみに限局した点がそれ。
2013-05-09 02:22:34特に安全審査を基本設計に限局された事で、核廃棄物を巡る再処理や器具の故障や具体的な事故を原告側が主張しても、それは基本設計範囲外であるとして、国側が連続勝訴する基礎を作ったとして当時批判を浴びたと言われる。
2013-05-09 02:24:54原発訴訟を読む中で、40年にわたる連敗が無駄ではないことを痛感。志賀原発金沢地裁では「原子力発電所そのものが人類の負の遺産である」と判示し、泊原発訴訟では傍論で「電力消費を削減し放射性廃棄物を産する原子力発電は中止という選択肢があってよい。子供たちに何を残すか」とまで言及した。
2013-05-09 02:38:15【原発訴訟】伊方原発最高裁の判示が事後の原発差止め訴訟の司法側の判断基準となった。これを簡単に言うと① 国側の行政裁量権を認めている ②安全審査の対象はあくまで基本設計までであること--が挙げられる。このほか特筆すべきは原告側のリスク証明に対する限界を判示し挙証責任は国側とした事
2013-05-10 15:39:19