これからの企業と顧客の情報格差~慶應sfcより

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Jo Hashiguchi @johashiguchi

(1)今日、SFCの「日本のビジネス」という授業で國領二郎先生 @jirok の授業を受けた。インタラクティブな授業でとても楽しかった。授業では、企業と顧客との間の情報の非対称性の話にも及んだ。20世紀型の企業-顧客関係と現代の企業-顧客関係ではどのような変化があったのか。

2013-05-10 16:09:23
Jo Hashiguchi @johashiguchi

(2)20世紀型の大量販売モデル社会では、企業と顧客との間に歴然とした情報の非対称性が存在した。簡単に言えば、顧客が有している情報は、企業が有している情報と比較して、極めて弱小なものでしかなかった。自動車中古車販売では、自動車の本当の状態を顧客は窺い知る事が容易ではなかった。

2013-05-10 16:09:48
Jo Hashiguchi @johashiguchi

(3)そのため、20世紀型の大量販売モデルのうえでは、企業にとって「ブランド」という「製品の良質さの代弁者」を作り上げることがとても大切であった。顧客側は情報が少ないから、ブランドを信じて購買の意思決定をしていたのだ。悪い言い方をすると、企業は顧客を比較的容易に騙すことができた。

2013-05-10 16:10:01
Jo Hashiguchi @johashiguchi

(4)21世紀に入りIT革命が起こり「見える化」が進行したことにより、顧客と企業との間の情報格差は縮まるだろうと思われた(実際に顧客にとって情報収集は以前の数倍容易になった)。しかし、現実はどうか。私は決して企業と顧客との間の情報の格差が縮まったとは思わない。

2013-05-10 16:10:17
Jo Hashiguchi @johashiguchi

(5)今日においても依然として、企業と顧客との間には計り知れない情報の格差が存在している。「ツタヤは俺のどこまで知ってんねん?」「アマゾンは俺の何を掴んでんねん?」「もしツタヤとアマゾンが組んだらどうなんねん?」等々はやはり我々からは窺いしれない。

2013-05-10 16:10:28
Jo Hashiguchi @johashiguchi

(6)ここからは、私の意見である。どんなにネットワークで繋がることができるようになったとしても、将来にわたって企業は顧客との間の情報格差を死守することに膨大なエネルギーとコストをかけるだろう。その点は、決して変わらないことだと思う。

2013-05-10 16:10:56
Jo Hashiguchi @johashiguchi

(7)考えてみると、企業とは、顧客との「情報の非対称性」を利用して搾取する存在である(ややマルクスっぽい言い方になるが、あえて強調するために)。例えば、饅頭の価格が100円で、その原価が10円だとしよう。どこに、「この饅頭の原価は10円ですよ〜」と言いふらす饅頭屋がいよう?

2013-05-10 16:11:11
Jo Hashiguchi @johashiguchi

(8)饅頭の原価が10円と知ったら、10円で手に入れたいと考えるのが人間(消費者)の性だ。このような問題は、ミクロ経済学の完全競争状態の需給曲線とずっとにらめっこしていても気がつかない。10円で作られているんだと知った瞬間、消費者の100円を支払う意欲は萎えてしまうだろう。

2013-05-10 16:11:29
Jo Hashiguchi @johashiguchi

(9)企業は顧客との「情報の非対称性」を利用して搾取する存在と言った。搾取とは、通常マイナスな言葉として利用されるが、企業が商品の原価を下げるための努力をし、それを達成するのはむしろ、プラスの行いである。それは決して悪い事ではないし、資本主義における企業活動の基本である。

2013-05-10 16:11:45
Jo Hashiguchi @johashiguchi

(10)このような「企業努力+情報の秘匿」は、今後においても企業が顧客からお金を回収するための重要なポイントである。そして、21世紀になり、人々が容易に情報を集められるようになった現代では、「企業が情報を如何に死守できるか」がとても重要になると私は考えるのだが、どうだろうか?終

2013-05-10 16:11:57