『彼女がペイシェンスを殺すはずがない』のロジック
「彼女がペイシェンスを殺すはずがない」、まずトリック解明の手順が怪しい。手がかりとされてるものからはトリックにたどり着けないと思われますし、他にもっと適切な手がかりらしきものがあったり(犯人に直結してしまうので後回しにされてるようですが)。
2013-05-11 12:57:48(続き)犯人特定の手順も微妙。4つ(+1)の条件を挙げて段階的に絞り込んである……ように見えて、条件の大半は実質一人にしか当てはまらないので、他は無用というか何というか、少なくともエレガントではないように思います。
2013-05-11 13:00:40大山誠一郎は、ミステリにおけるロジックは数学におけるそれと異なりレトリックにすぎない、というスタンスを明言されている方だし、好感が持てるのだけれど。
2013-05-11 13:23:16@youmoutei レトリックとは説得の技術に他ならないので、大多数が納得し評価している現状は明らかに成功なのではないでしょうか。誰もが納得するレトリックというのは、最早レトリックではないように思いますし。
2013-05-11 13:45:35@japanfield なるほど、それはわかります。であればこそ、「彼女がペイシェンスを殺すはずがない」については、大多数がどこに・どのように納得しているのかがわからないので、納得している方にご教示いただければ、と思っているのですが……。
2013-05-11 13:48:21レトリックとはマジックのようなもので、ほとんどの人はごまかしに気がつかず驚嘆するわけですが、タネに気づいた人にとって見れば「何が不思議なの、みんなは何故引っかかったの」という疑問が浮かんでくる……あまり良い例ではないかもしれませんが。
2013-05-11 13:51:21@youmoutei 仰りたいことは良くわかります。「なぜ騙されたか(穴が引っかからなかったか)」という問に、どう答えたらいいのでしょうか。叙述トリックに気がつかなかった人に対して、「何で見抜けなかったの?」と問うのと本質的には同じな気がします。勿論意味がある問だとは思いますが。
2013-05-11 13:55:12「なぜ気づかないの?」と問われても、上手くそこに対して思考停止するように組まれているから当然では……と思ってしまう。事実大山さんの場合は、文章と構成で穴にミスディレクションがかけられているし。
2013-05-11 13:57:48ある可能性を意図的に検討しない(そして読者の大半がその可能性に目を向けない)、というのは、それはそれでテクニックだし、素晴らしいセンスに思うのです。
2013-05-11 13:59:21@japanfield おっしゃることはわかります。が、よく考えてみると実は当初の問いはちょっと違うんですよね。どこが・どのように「高く評価されているのか」なので、高く評価してる方にとっては評価できたポイントがあるはずだし、説明しようと思えば可能じゃないかと思うんですが……。
2013-05-11 13:59:23@youmoutei 「美しいロジック」なのではないでしょうか? ロジックは必ず分析的に評価されるもの、という前提を排するなら妥当な結論だと思います。「ぱっと見て美しかった」から高く評価する人がほとんどではないですかね。
2013-05-11 14:01:39私も、大山誠一郎は、いわば「解決篇に叙述トリックを仕掛けている」ような感じだと思いますし、それはある種のテクニックとして評価すべきものなのかもしれないとも思います。が、(一応は)唯一無二の真相を示すべきミステリとしては、まったくいただけないテクニックだと考えるんですよね。
2013-05-11 14:03:59チョイスブラインドネスの実験のように、分析的な評価が実際の対象と合致していなくても本人は気づかない、というのは良くあることだし、「どこが」「どのように」良かったなんて後付けで作られるものにすぎない……と、認知的な観点で考えてしまうんですね。
2013-05-11 14:04:23立場として「説得の論理」を強く支持しているから出てくる結論だとは思います。極論唯一無二である必要なんてない、という立場に自分は立っているので……。
2013-05-11 14:07:08@youmoutei 芸術の評価でも必ず分析的なコメントがつきますが、それに近いものをミステリ評論には感じています。羊毛亭さんの分析にはいつも感嘆しておりますが、きっと「総体として、絵を見るように」フィーリングでミステリを読むのも決して少数ではないんじゃないかなぁと。
2013-05-11 14:10:11だからこそ思うのですが、「羊毛亭さんほどの分析力なら、他のどんなミステリにも(大山誠一郎と同じくらいの)穴を見つけられるのではないか」と……笠井潔批判に使われたロジックと全く同じ(笠井なら別の立場に立っても擁護できるだけの力があるから、逆説的に批判になってない)ですが。
2013-05-11 14:17:54