何気ない一言から、その物語は紡がれた

きっかけは、本当に何の気もない一言のpost。リプライが来るとも、ましてや形となったリアクションが来るとは露とも思わなかった。それがまさか、こんな高クオリティのtwitter小説となって返ってくるとは……。 そんな、一連のやりとりの記録。
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@azamizm

「背中のボタンを押してくれ」という小説のタイトルを思いついたが内容が伴わないので誰か使ってもいいのよ

2010-09-13 21:16:36
Gimmikc[断酒]⚜ @Gimmikc

さんきゅ!QT @azamizm: 「背中のボタンを押してくれ」という小説のタイトルを思いついたが内容が伴わないので誰か使ってもいいのよ

2010-09-13 21:17:26
@azamizm

傑作にしちゃってYO! RT @Gimmikc さんきゅ!QT @azamizm: 「背中のボタンを押してくれ」という小説のタイトルを思いついたが内容が伴わないので誰か使ってもいいのよ

2010-09-13 21:20:57
Gimmikc[断酒]⚜ @Gimmikc

チューブの修理終わったら、ショートショートにまとめるからwQT @azamizm: 傑作にしちゃってYO! RT @Gimmikc さんきゅ!QT @azamizm: 「背中のボタンを押してくれ」という小説のタイトルを思いついたが内容が伴わないので誰か使ってもいいのよ

2010-09-13 21:24:44
Gimmikc[断酒]⚜ @Gimmikc

@azamizm 簡単な雰囲気ものねw大きな期待しちゃらめwwww

2010-09-13 21:27:48
Gimmikc[断酒]⚜ @Gimmikc

一応、整ったかな。ショートショート『背中のボタンを押してくれ』。(お題提供 @azamizmさん) #bottun-oshite

2010-09-13 21:44:52
Gimmikc[断酒]⚜ @Gimmikc

下書きなしの一発書きで行くので、諸々見づらいところはご容赦を。

2010-09-13 21:45:41
@azamizm

はやい!! しかもハッシュタグまでw RT @Gimmikc 一応、整ったかな。ショートショート『背中のボタンを押してくれ』。(お題提供 @azamizmさん) #bottun-oshite

2010-09-13 21:46:12
@azamizm

wktkしすぎて作業が手につかない。作業なんてしてないけど

2010-09-13 22:04:38
Gimmikc[断酒]⚜ @Gimmikc

みなさんは画家ルネ・マグリットの作品『不許複製』という作品をご存知だろうか? もしご存知なければ以下のリンクをたどって欲しい(http://j.mp/bz9e9H)。そう、一人の男が鏡に向かっていて、おかしな事に鏡の中の男もコチラに背を向けている。 #bottun-oshite

2010-09-13 21:48:56
Gimmikc[断酒]⚜ @Gimmikc

まっこと不思議な絵でさすがは夢幻の絵師マグリットたる本領といったところだろう。鏡に向かったところで自己の姿が見えない不安を淡々と描き出している。ま、そんな不安なんてものは俺の知ったところではないのだが。実を言うと、丁度俺もそんな鏡の前にいる。 #bottun-oshite

2010-09-13 21:51:14
Gimmikc[断酒]⚜ @Gimmikc

自分の背中なんてものは、床屋で後ろ髪の長さをチェックするときくらいにしか見ないもので、じっくりと見ることなんてそうはない。だから、俺はこの時とばかりに見入ったね。俺の背中は何かを語れるような渋味のあるものなのかどうか。女の子がもたれやすいかなんてね。 #bottun-oshite

2010-09-13 21:54:20
Gimmikc[断酒]⚜ @Gimmikc

あいにく、渋みも頼りがいも無い、くたびれた作業着を着た背中だなんて思い知った。そんな時、背中にくっつけておくにはおよそふさわしくないものを見つけちまった。なんだと思う? 突起だったんだよ。こぶし大の黄色い突起。これは、ボタン、だろうな。 #bottun-oshite

2010-09-13 21:59:25
Gimmikc[断酒]⚜ @Gimmikc

背の低い、円柱状のそれはコバンザメかフジツボかそんな感じにへばりついていて、ちょっと体を動かしたところで取れやしない。誰かのイタズラか?いや、今日作業着を来た時には気付かなかった。多分、ついていなかったと思う。そして、まだこの更衣室からは出ていない。 #bottun-oshite

2010-09-13 22:02:34
Gimmikc[断酒]⚜ @Gimmikc

慌てて服を脱いだり着たりしたが、どうにもボタンは俺にくっついちまってるらしい。面倒なことにこの次元のものなんだか曖昧なようで、着衣に関わらず俺のボタンとして鎮座ましましてやがった。万策のうちの二つ目位が失敗したところで就業のベルが鳴り、俺は街へ出た。 #bottun-oshite

2010-09-13 22:08:19
Gimmikc[断酒]⚜ @Gimmikc

この街は老人が多い。ほとんどが耳も遠い、目も怪しい爺さん婆さんばかりで、そんな中を挨拶して回ったり、小間使いを引き受けて立つのが俺の役目だ。だが、今日はちょっと事情が違う。むしろ、俺のちょっとした願いを聞いて欲しい。背中についたボタンについての。 #bottun-oshite

2010-09-13 22:10:59
Gimmikc[断酒]⚜ @Gimmikc

誰が買うか知れないレトロなおもちゃ屋の爺さんに聞いてみた。そしたら、耳が遠くて聞こえないとか言うので、俺は背中を見せてやった。結果は残念ながら、「遠山桜夜桜を、よもや見忘れたとは、言わせねえぜ」とか昔の時代劇の決め台詞を思い出したそうな。 #bottun-oshite

2010-09-13 22:15:39
Gimmikc[断酒]⚜ @Gimmikc

そんなんじゃ無いんだ爺さん、俺は背中のボタンについて聞きたいんだよ。とは言え、一度火の付いた爺さんの時代劇噺は留まることを知らず、俺は這々の体でその場から逃げ出し、となりの健康ショップへと向かった。 #bottun-oshite

2010-09-13 22:17:47
Gimmikc[断酒]⚜ @Gimmikc

健康ショップのばあさんとなると、耳はそこそこ聞こえるが、なにぶん目が悪い。俺が一生懸命説明したところで、「坊ちゃん、ボタンは背中につけるもんじゃないんだよ?アタシも目が見えりゃ坊ちゃんの繕い位してやれるんだけどねぇ」なんて、マイペースで交わされる始末 #bottun-oshite

2010-09-13 22:21:29
Gimmikc[断酒]⚜ @Gimmikc

人のいい婆さんなんだが、俺を子供扱いしてちっとも話を聞きやしない。この街の人間は大概そんなもんで、このまま誰にも俺の背中のボタンの正体がしれない、それどころか存在すら伝えられないと思うと妙に焦燥感に駆られた。 #bottun-oshite

2010-09-13 22:24:44
Gimmikc[断酒]⚜ @Gimmikc

俺は婆さんに一言断りを入れるが早いか、商品を手にしていた。それは孫の手。これで背中のボタンを押してやるのだ。このままじゃ、誰にも押して貰えそうにないからな。俺は健康ショップの姿見に向うと、ありがたいことにここでも俺は背中を見られた。 #bottun-oshite

2010-09-13 22:28:59
Gimmikc[断酒]⚜ @Gimmikc

あらん限りの力を込めて、ボタンをひっぱたいてやる。当たったり外れたりして、一人ムチ打ちを繰り返すこと数分、何の反応もありゃしない。婆さんも怪訝な顔をして、そんな俺のくたびれもうけを見守っていた。アンタが手伝ってくれりゃ、もう少し楽なもんを。 #bottun-oshite

2010-09-13 22:31:20
Gimmikc[断酒]⚜ @Gimmikc

肩で息継ぎしながら、俺はもう一度鏡に映った俺の背中を凝視する。すると、あることに気付いた。ボタン中央から半径分の線が一本入っていたのだ。つまり、これはボタンじゃない。ツマミだったのだ。そう気づいた俺は頬を掻いていた孫の手を投げ捨て、隣へ走った。 #bottun-oshite

2010-09-13 22:33:32
Gimmikc[断酒]⚜ @Gimmikc

健康ショップの隣、レトロなおもちゃ屋に飛び込むと、爺さんが反応するよりも早く俺はマジックハンドを取り背中のツマミを掴んだ。ありがたいことに、自分の背中を見られる鏡ってのは左右の勘違いがないから、すぐに掴めた。そして、深呼吸を一つ吐いてから俺は捻った。 #bottun-oshite

2010-09-13 22:37:53