@rikuoharuo米国ロースクールを語る

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高瀬 慶 @rikuoharuo

1) 米国弁護士に興味がある人が多いようだからちょっと説明するね。普通は3年制のロースクール(大学院)に入学してJDという学位をとって各州の司法試験に合格すると裁判所でインタビュー受けて宣誓して法曹登録をすれば、なれる。どこのロースクールを出たのかは将来の収入を大きく左右する。

2013-05-16 14:55:17
高瀬 慶 @rikuoharuo

2) 外国の弁護士や外国の法学部卒業生は、ロースクールのLLMという法学修士過程に1年間留学し、卒業後に司法試験を受ける。JD過程は英語力が低い日本人にはほとんど無理。LLMを卒業すると、NYやCAやMIなどの司法試験を受けることができる。JDはもちろんどこの州の試験でもOK。

2013-05-16 15:01:15
高瀬 慶 @rikuoharuo

3) 日本人の留学生はLLM過程で学ぶ。修了後はかなりの割合でNY州の試験を受ける。日本人の合格率は25%位らしい。全体では昨年度は、春の試験で44%、夏の試験で68%。日本からの留学生は法律事務所から派遣された弁護士や、判事や検事が多いが、一般企業や銀行からの派遣も多い。

2013-05-16 15:08:01
高瀬 慶 @rikuoharuo

4) 米国のロースクールに入学できるのは、大学を優秀な成績で卒業し、社会からの評価の高い、成熟した大人。その意味で、総合的な人間力が無い人は入学できない。日本みたいにペーパー試験だけで合格できるわけではない。だから、ロースクールに合格した時点でその人材の優秀さが認められたと同じ。

2013-05-16 15:11:14
高瀬 慶 @rikuoharuo

5) 一流ロースクールの学生、特にJDの学生にとって司法試験なんてのは超簡単。一番難しいのは入学が許可されることであり、次に学校での1年目の過酷な勉強と言うか訓練であり、これを乗り越えるのが超大変。一流校の学生は、卒業さえできれば、9割は一発で司法試験に合格する。

2013-05-16 15:15:04
高瀬 慶 @rikuoharuo

6) 日本人に話を戻すと、ロースクールで一番大変なJDの1年目の授業は免除されるので、自分が好きな分野を選んで気軽に勉強して、卒業したら司法試験勉強して、それに合格すればいいだけの話。名の知れたロースクールには狭き入学の門をめぐって日本の秀才たちがしのぎを削る。これが一番大変。

2013-05-16 15:18:15
高瀬 慶 @rikuoharuo

7) 入学を許可されるためには学力を含めた総合人間力が認められなければならない。各学校も日本人ばかり合格させられないのでおのずと日本人同士の勝負にもなる。日本人の出願者には、企業の中の熾烈な企業内選抜を勝ち取った強者や、判事や検事や弁護士や、そういう連中同士の勝負になる。

2013-05-16 15:22:37
高瀬 慶 @rikuoharuo

8) 自費で留学する人には不利だ。企業や弁護士事務所から派遣されてくる連中は、優秀だから派遣されるわけだし、なおかつスポンサーがついているのだから授業料未納などのトラブルはないし、将来にわたって会社とそのロースクールとの協力関係も築けるわけだから、連中が優先されるのは当然。

2013-05-16 15:25:20
高瀬 慶 @rikuoharuo

9) 自費留学生にもチャンスはある。学校も同じような学生ばかりを揃えたくない。いろんなバックグラウンドをもった学生がいたほうが違った情報やアイデアを交換できてクラスのみんなの勉強にもなるから、特殊な学生を入学させることもある。そこを攻めれば良い。もちろん優秀である必要はあるw

2013-05-16 15:30:04
高瀬 慶 @rikuoharuo

10) 私は自費で留学した。誰かに操られるのは嫌いだから基本的に全部自分で好きなようにやる。私はいわゆるトップ10のロースクールに留学したが、そのクラスでは法律家でないビジネスマンは私ひとりだった。日本人留学生は私を含めて5名。そのうち3名が東大法学部卒の判事や弁護士。

2013-05-16 15:36:04
高瀬 慶 @rikuoharuo

11) 日本の法曹が毎年何十人か米国のロースクールに留学してくるが、連中の目的は、自分に関係する分野の知識としてのアメリカ法を勉強し、卒業して司法試験を受け、鬼に金棒の米国弁護士の資格をとって日本に帰り日本社会で法曹として働くことだから、アメリカ法の根本にはあまり興味はない。

2013-05-16 15:44:37
高瀬 慶 @rikuoharuo

12) 日本でも話題の憲法について考察するには、人権先進国のアメリカ憲法を深く学ぶ必要があるのだが、残念ながら日本の法曹にはそれはどうでもいい部分のようであり、米国留学組の法曹からの憲法改正についての言論があまりにも少ない。わざわざ自分の商売をやり難くする必要がないことは分かる。

2013-05-16 15:49:11
高瀬 慶 @rikuoharuo

13) 米国弁護士になりたい日本の若者にアドバイス。あなたが法律的素養があるのなら、英語さえできれば、簡単に米国弁護士になれる。しかし、これからそのレベルの英語力をつけ留学する時間と労力と日本の司法試験に合格するためのそれとどっちが大変なのかは、それは、私にはわからない。(完

2013-05-16 15:53:20
高瀬 慶 @rikuoharuo

米国ロースクールシリーズ追伸: せっかく留学しても米国の司法試験に合格できない日本人は大勢いるけど、そこで留学して学んだものは一生の宝になるから、金と時間に余裕があればぜひ行ったらいいと思うよ。JD過程で学んだら、それこそ脳みそが生まれ変わるから。今までの自分とは全然変わるから。

2013-05-16 16:15:56