茂木健一郎(@kenichiromogi)さんの連続ツイート第942回「14歳」
- toshihiro36
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14(1)昨日は、NHKのEテレ「ハートネットTV」の収録が、大阪大学であった。ブラック企業のこと、そしてホームレスの方の支援の、ふたつのテーマ。ブラック企業の回には、今野晴貴さんが登場。そして、ホームレスの方の支援の回には、NPO代表の川口加奈さん。
2013-05-17 07:16:3514(2)川口加奈さんは、NPO「ホームドア」 http://t.co/VEjXGmRytj をされている。「家へのドア」という意味と同時に、駅のホームに設置されたホームドアがそうであるように、人生から転落してしまわないように、という思いが込められた名前なのだという。
2013-05-17 07:18:4114(3)ホームドアが行っている活動の一つが、大阪市内でレンタサイクルを運営する「ハブチャリ」。ホームレスの方の中には、自転車の修理やメンテナンスが得意な方が多く、そこから着想を得て川口さんたちが始めた。現在拠点が8箇所。将来的には250箇所くらいにしたいのだという。
2013-05-17 07:20:3914(4)その川口加奈さんが、ホームレスの問題に気づいたのが、14歳だった。川口さんは、その時から、活動を始めることになる。早熟で、ジャンヌダルクのようだが、川口さんは、特別なことをしているという意識もなく、ただ自然体でやってきたのだそうだ。(現在川口さんは22歳)。
2013-05-17 07:21:5914(5)そんな川口さんの今までを紹介するVTRを会場で見ながら、「14歳かあ」と私は思った。思春期の入り口の14歳。いろいろなことに気づき、目覚めていく14歳。甘くて、そして危うい14歳。通り過ぎてしまった大人たちは忘れてしまっているが、14歳の風景は濃密だ。
2013-05-17 07:23:2514(6)一緒に『こころと脳の対話』 (新潮文庫)という本を作らさせていただいた河合隼雄先生について、こんな話をうかがったことがある。ある時、河合先生はシェークスピアの『ロミオとジュリエット』の演劇を見に行った。終了して、楽屋に行って、役者たちを激励したという。
2013-05-17 07:25:3114(7)河合隼雄先生は、上演を終えたばかりの役者たちに対して、「ロミオとジュリエットのロミオも、ジュリエットも、14歳なんですよね。14歳というのは、人生においてそれだけ多感な時で」とお話になりながら、突然、両目から涙を流して、はげしく泣き出されてしまったのだという。
2013-05-17 07:26:4114(8)この話を私にして下さった方によれば、河合先生はカウンセリングで子どもたちにも向き合って、その中で、14歳がいかに困難に満ちた、多感で時に苦しい時期であるかということを知っていらして、その中で、自殺してしまうような子もいるということを思い出したのではないかという。
2013-05-17 07:28:3714(9)困難な14歳という人生の魂のボトルネックをみんな通り過ぎていく。川口加奈さんは、その時にホームレスの方の問題に出会って、こういう人生を歩いてきたんだな。大学の専攻も、社会政策が学べるところにしたのだという。まだ14歳、だけど14歳。14歳の頃のドキドキを、時々ふり返る。
2013-05-17 07:30:08