clear_wtさんの計測の話 郡山勉強会

2013年5月18日に開かれた計測の勉強会より 1、計測は目的を持って 2、校正したから誤差がないと思ってはいけない 3、機器の特性の理解を
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誤差についてまとめてみると

校正により系統誤差を除去しても偶然誤差(ばらつき)が残る。
繰り返し測定で偶然誤差を減らしても校正されていなければ系統誤差が残る(値は収束してもかならずしも正しい値に近付くわけではない)
過誤は常に可能性がある。

「校正済みだから」or「回数をかさねたから」誤差はないと考えてはいけない!!!

一歩進んだ計測のために考えるべき事

1、今行っている計測は要求に合致しているか?
ーー結果を使うという目的指向の観点

2、測定器の表示する値は信用できるか?

3.測定の限界がどこにあるのか?

例えば校正方法から見える表示値の信頼性&限界性

↑clear_wtさんから
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この例は「2、測定器の表示する値は信用できるか?」の例として示す方が適切です(もちろん,校正方法,校正レベルの限界が測定の限界を決めるケースもありますが)
測定の限界の例としては,確率現象を見ているときに値を一つに決められない(物理法則の限界以下に不確かさを減らすことはできない)ぐらいが適当でしょうか.もちろんこれだけでなく他の要因の検討も必要ですが,一つの分かりやすい例として.
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JISで定められた校正方法(サーベイメータ等)
定められた一点の線源から、定められた場の中で(広さ、壁までの距離、後に置く遮蔽壁の形状と位置等々)定められた位置に測定器を設置。
線源からのガンマ線ビームの中心軸とビームの広がり角度も定められている。
線源から一定のガンマ線が照射された場合に、一定の値が測定されることを確認する。

(JIS Z 4511:照射線量測定器、空気カーマ測定器、空気吸収線量測定器
及び線量当量測定器の校正方法)

基本的に前面からのビームを測定するための校正なので、全方位からの照射測定も知りたい。

ガンマ線用サーベイメータの方向特性
機器によって差があります。

GM管サーベイメータの中には、前方より側方を評価しているものもあった

clear_wtさんから
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この部分での説明の要点は,GM管式の一部には,前方より側方の方が感度が高くなるケースがある(=周囲のさまざまな方向から放射線が来る場合には過大評価してしまう)ことの紹介です.それは,「校正はある特定の条件下での関係をチェックしたに過ぎず,実際の環境では校正した機器と言えども正しい値をだすとは限らない(むしろ,全然違って当たり前)」という話に繋がります.」
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TCS172Bは先のGM管の例より偏りなく見ている。
(後方から入射する放射線に対してはやや感度が悪い)

各線量計には、機器の特性を明記した校正証明書がつけられています。

ちょっと面白い校正風景
中心に線源があり、円状に校正する機器が並べられています。
(ファントムがないので散乱分と遮蔽分が反映されてないんじゃないか?とのこと)

clear_wtさん
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「ちょっと面白い校正風景」 ここで,スライド中でスラブファントムが無い事を問題にしていますが,それに対する答えとして,人体による後方散乱の話と,スラブファントムがある場合と無い場合の値の比を使って校正する方法がJISに規定され,実際に適用されていることを説明しています.
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他にもある機器特性の差

宇宙線を拾いやすいTERRA(GM管式)
地上と上空32000Ft(9753m)での値の比較。
GM管のTERRAは宇宙線を拾いやすく、0.11→1.17μSv/hと10倍以上
シンチレーション式のPA‐1000は0.062→0.132と2倍ちょっと 

エネルギー特性も重要