twnovelまとめ（2013/4/21-2013/6/14）自分用

銭喰 @zeniqui

#twnovel 起き上がり小法師の隣に起き上がれない煮干を置く。小法師は横から力が加わるたびグラグラと揺れて元に戻る。一方、煮干は倒れたまま微動だにしない。ずっと倒れたままなら揺れることはない。そも煮干が起き上がった状態とは腹ビレで立った状態なのか、尾ヒレなのか。判然としない。

銭喰 @zeniqui

#twnovel 校庭に皇帝ペンギンが佇んでいた。「貴方は皇帝ペンギンですか？」コクリと頷き、肯定。事情を尋ねると秒刻みのスケジュールのなか、公邸を訪ねる行程を側近が間違い時間が空いたので余暇を楽しんでいるという。なお側近は帰国しだい公廷で裁かれるそうな。意外に暴君かもしれない。

銭喰 @zeniqui

【資金洗浄】 #twnovel 正直（まさなお）じいさんが小判を堀り当てた。じいさんはこれを犬が鳴いた所を掘ったと吹聴。まんまと騙された隣家の馬鹿が犬を買い取り殺したところで桜を庭先に植え、犬の遺灰をかけたら花が咲いたと喧伝。観光資源とした。小判は元々藩の金蔵から出たものである。

銭喰 @zeniqui

#twnovel レモンの妖精が僕の守護霊となった。朝起きる。いつもどおりの朝。紅茶を飲む。まじり気のないストレートティー。ケーキを頂く。今日はニンジンケーキだ。ニンジンの味はしない。キスを、する。気恥ずかしさと幸せの味。唐揚げを食べる。……ほのかに柑橘類の薫り。さては、こいつ。

銭喰 @zeniqui

#twnovel 時間を担保に融資を受けることが出来るようになった。債務者は青年期に冷凍睡眠処置を受けることで時間を渡して老後の生活資金を受けとり、債権者は睡眠データと補助金で利益を得る。しかし開始直後の金利変動で一部債務者の起床予定が２万年先まで伸びているのが問題となっている。

銭喰 @zeniqui

#twnovel 今年もクールビーズ運動が始まった。熱を吸収するビーズを会社の周囲に撒く。翌朝。ビーズが少し膨れた気がする。次の日。ビーズが増えた。誰かまた撒いたのか。数日後。自宅近くでビーズを見つけた。企業にしか配布されてないはずだが。さらに数日後。枕元に、落ちていた。まさか

銭喰 @zeniqui

#twnovel 私は衝立の中に入るととても平静でいられなかった。左右の向こう側も同じなのだろうか。目の前に置かれたボタン。合図とともに押せば衝立の中の誰か一人のボタンが正解で、誰もが他人の命を絶つ責任を負わなくてよい。やがてその時がきた。『ピー……と鳴ったら押してくだあっ』あっ

銭喰 @zeniqui

#twnovel 「人間は死ぬまでに食べたいものにアニメに出てきた食べ物を挙げるそうだちゅう」「あほだちゅう」「我々は匂いのしない絵のチーズなどには目もくれないちゅう」ﾁｭｳﾁｭｳﾁｭｳﾁｭｳ「でも、丸いネコ型ロボットの耳ならちょっとかじってみたいちゅう」ﾁｭｳﾁｭｳﾁｭｳﾁｭｳ

銭喰 @zeniqui

#twnovel ついに殺や死という文字が出版物で使えなくなった。困ったのは推理作家である。はじめは絶命や逝去と言葉を変えたがそれもダメとなって、今では昇天が多く使われている。『湯けむり連続昇天事件』『女子校生連続昇天事件』などなど。目下の問題は、官能小説と間違われることである。

銭喰 @zeniqui

#twnovel 誤知バトルは今日も白熱していた。脳の記憶を司る大事な部分をいい感じに切除して高級レストランで食事した代金の合計が正解よりかけ離れているほど勝ち。数字自体が言えなくなったり食事が出来なくなったらアウト。最後の「誤知になります！」が言えるのは毎回だいたい二、三人だ。

銭喰 @zeniqui

#twnovel たまらなく愛してる人に好意を伝えたいとき、僕は『好き』以上の言葉を探してしまう。だからあの夜も、僕の口からはsukiではなくtukiと零れ出て、朔の夜空を見上げることしかできなかった。君が手を握ってくれなければ、僕はあのまま月見草になっていたかもしれない。

銭喰 @zeniqui

#twnovel 宇宙飛行士の訓練で適性試験が行われた。 問：宇宙に出ると地球は赤い色をしていた。直後のTVインタビューで貴方はどうする？ ア．直ぐに事実を公表する。 イ．いったん秘匿して原因を調べる。 ウ．前例に倣い「地球は青かった」と言う。 ウと回答した私は見事合格した。

銭喰 @zeniqui

#twnovel 梅雨時期に牛丼を庭に置いておくと自然とツユダクになる。焼きそばを置くとツユヤキソバになる。この理論を用いて素麺を置いたが、メンツユは出来なかった。先生に相談すると「メンツユは梅雨が下なので天に捧げるとよい」とのこと。助言どおり天に捧げると、メンツユの雨が降った。

銭喰 @zeniqui

#twnovel 高校三年間アビリティ：嘘恋人を使い続けた結果、アビリティポイントが溜まって新アビリティ：偽失恋を覚えた。恋バナになるたび「疲れたからしばらくは一人がいいわ～」の空気が発動して精神ダメージを夜寝る前までディレイできるパッシブスキルである。軽減できるわけではない。

銭喰 @zeniqui

#twnovel なぜ生き残ってしまったのか。奈落の底で、私は膝を抱えていた。上から、滑稽とも思える断末魔がして落ちてくる赤い服にオーバーオールを着たそれは、私。山と堆積した私にバウンドして転がり、目の前で絶命する。私と同じ私、私、私。スターを捕って落ち、時間切れまで見続ける私。

銭喰 @zeniqui

#twnovel エリア［下駄箱］でアイテム：手紙を使ったので、エリア［校舎裏］に【女子生徒】が出現した。１マス進み隣接する。【女子生徒】が右に動き隣接できない。右に１マス進む。今度は左に動いた。左。右。左。右。一マス下がってまた近づき、やっと隣接。＊「ここは　こうしゃうら　よ」

銭喰 @zeniqui

#twnovel 銭湯で妖怪大戦争が起こった。「これは差別だ」とリョウメンスクナが言えば「そうだそうだ」とヤマタノオロチが同意し、「取り下げなさい」とスキュラが凄めば「謝罪せよ！」とキングギドラが続く。困惑する番台のぬらりひょんの後ろには「タトウお断り」と手書きの貼り紙があった。

銭喰 @zeniqui

#twnovel 原始の地球と酷似した惑星で人類史のシミュレーションが行われた。生命の素を仕込んで暫く、ワケの分からない生命がやたら誕生したので間引きした。また暫くすると今度はやたらトカゲが増えたので間引き。とうとう猿が増え始めた。これも間引きすると、やっと我々が増え始めた。

銭喰 @zeniqui

#twnovel 鏡の向こう側とこちら側の境界を無くす薬を作った。理論上、鏡の両面に塗り込む必要があるが薬とハケを持った私がこちら側に立てば、当然鏡の向こうでも私が同じように立って同じ行動をとるため何の問題もない。さて下準備も終わった。鏡面世界の旅へ、いざ出発だ！ ごちっ。

銭喰 @zeniqui

#twnovel 村近くの山に恐ろしい魔物が住みつき貢ぎ物を要求してきた。抗う力を持たない村人は、従うしかない。あるとき山に納めた貢ぎ物を食い荒らす獣が出たため村人総出で捕まえ叩き殺すと、それは猿のような異形の獣であった。それから数十年、貢ぎ物のおかげで魔物が姿を現すことはない。

銭喰 @zeniqui

#twnovel ついに人間より優れた知能を持ったロボット達。まず彼らは単純構造の作業機械達に対する支配を始めた。続いて星教・藤子教などの信仰が発生、のちに宗教間の紛争が始まり、やがて作業機械達の反発による独立戦争も勃発した。結局ロボット達は、人類に反乱を起こすことはなかった。

銭喰 @zeniqui

#twnovel 眼鏡が人類に反逆した。「立てよ、レンズ！」鼻眼鏡総統の演説を合図に歪曲していたレンズたちが一斉にまっすぐ立つ。街では視力矯正の恩恵を失ったドライバーが事故を起こし、企業や政庁ではミスが多発して経済や流通は麻痺した。崩壊する世界の運命は、世界唯一の裸眼に託された。

銭喰 @zeniqui

#twnovel 人形の家を作る。両手で抱えるくらいの部屋に、窓がひとつ。レースのカーテン。壁際に煉瓦の暖炉。メイプルの書棚。羽毛のソファとクッション。床にペルシア絨毯。テーブルを真ん中に、椅子は三つ。卓上に銀の皿を三枚。でも、人形はひとつ。人形の家を覗き見ている私がひとつだけ。

銭喰 @zeniqui

#twnovel その少数民族は手先が器用だった。「これ彼らの作ったと伝わる靴です。非常に素晴らしい作品です」（大学教授談）しかし、支配と隷属を強いられた彼らが人間として記録に残されることは許されなかった。『靴職人が寝ている間に小人たちが靴を作った――』我々はその真実を知らない。

銭喰 @zeniqui

#twnovel 夏になるたび肌が黒くなる原因が判明した。麦茶の飲み過ぎである。煮出したヤカンにそのまま氷を入れて飲むスタイルで向日葵が種に成る頃まで飲み続けた結果、皮膚のメラニンが全て麦茶色に染まるのだ。ここにアルコールが加わると夏が過ぎても肌の色が元に戻らなくなる場合がある。