茂木健一郎氏 @kenichiromogi 【第958、959回 ボストン〜成田で二本立て】連続ツイート
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滞在中のボストンより、連続ツイート958回をお届けします。文章は、その場で即興で書いています。本日は、昨日歩きながら思ったこと。
2013-06-02 18:05:34ちけ(1)日本では、経済の「成長戦略」をどうするか、ということが依然として課題である。規制緩和が大切だとか、ベンチャー企業の支援が重要だとか、いろいろな議論があるのだと思う。昨日、ボストン美術館からフェンウェイパークを超え、橋を渡ってハーバード大学まで歩く中で考えたことがある。
2013-06-02 18:07:13ちけ(2)ボストンの人口は、確か60万人ちょっとじゃなかったか。それで、そこに多くの大学がある。ハーバード、MITの両雄に加えて、ボストン大学も。タフツ大学もキャンパスを持つ。人口の規模に比べて、アカデミア、学生たちの割合が、際だって大きい。
2013-06-02 18:08:56ちけ(3)それで、昨日、ハーバード大学の近くのレストランで石井裕さん(@ishii_mit)とごはんを食べていて、話の流れで、その近くの住宅価格はどれくらいか、みたいな話をしていたら、思いの外高い。その横にあるやつなどは二億円くらいするんじゃないかと言っている。
2013-06-02 18:10:02ちけ(4)ぼくが、「へえ」と驚いていると、石井さんは、ボストン、とりわけハーバードのあるケンブリッジは全米でも最も住宅価格が高い都市の一つなんだ、とおっしゃった。それで思い出したのが、「本家」のイギリスのケンブリッジのこと。あそこも、住宅価格は高止まりしている。
2013-06-02 18:11:11ちけ(5)そんな話を聞いて、ホテルに帰るタクシーを拾おうと歩いていた時、一つインスパイアされたことがあった。知の集積があれば、経済はついてくる。これは、経済の成長戦略を探っている日本にとって、とても大切な視点だと思う。何よりも知の集積を臨界点に達しさせることを目指すべきなのだ。
2013-06-02 18:13:13ちけ(6)ここにおける「知」は、もちろん、現代の世界にとって関連性があるものでなければならない。だからと言って、たとえば哲学が役立たず、というわけではない。もちろん、象牙の塔で満足していてよい、ということでもない。関係性は往々にして潜在し、その発見は工夫を要する。
2013-06-02 18:14:44ちけ(7)ハーバード大学のCOOP(クープって発音するんだね)でハーバードのfacultyの書いた本を見ていた。マイケル・サンデルや、リサ・ランドール、スティーヴン・ピンカー、EOウィルソンなど、やはりそうそうたるメンバー。もちろん、お隣のMITもそう。
2013-06-02 18:16:17ちけ(8)ちなみに、ネット時代は物理的キャンパスにこだわらなくても、知を集積させることはできる。ある意味では、右手に握られた小さなiPhone(スマホ一般)が、知の集積場であるとも言える。自分に課す負荷を高め、多くの他者とネットワークすることで、自然に知は集積する。
2013-06-02 18:17:46ちけ(9)就職予備校と化した日本の大学は、学問的に劣化するだけでなく、以上の「知の集積を、経済が追いかける」という理論から考えれば、経済的にも愚策であると言える。いくら儲かる、みたいな学問ではなく、現代との関連性に根ざした知への情熱が、最もすぐれた経済効果を持つということ。
2013-06-02 18:19:11引き続き
成田エクスプレスの中から、連続ツイート959回をお届けします。文章は、その場で即興で書いています。本日は、メディアラボやボストンまわりで触れたある概念について。
2013-06-03 15:55:17dい(1)ある表現って、目に触れているんだろうけど突然そのリアリティがわっと来るということがあって、今回のMIT, media lab, Harvardまわりで一番気になったことばが、disruptiveということだった。石井裕さん(@ishii_mit)も頻用。
2013-06-03 15:56:38dい(2)それで、disruptive innovationとか、disruptive techonologyという表現を改めてぐぐってみると、どうも1995あたりから出てきたようである。イノベーションが登場することで、それ依然の古い技術や制度を用なしにする、みたいなニュアンス。
2013-06-03 15:57:51dい(3)たとえば、メモリなんてそうで、フロッピーディスク、ハードディスク、RAMとかいろいろ出る度に、その前の技術が用なしになった。iTunesは、CDを用なしにしたと言える(もちろん、legacyとしては未だに残っているし、握手したり投票したりできる場合もあるけど)
2013-06-03 15:59:04dい(4)MIT のmedia lab回りがとても気持ちいいな、と思ったのは、disruptiveということを肯定的にとらえていることで、やっぱ、目指すならばそっちでしょ、みたいな感じがとてもいい。守旧派はどの文化にもいるんだけうけど、disruptする側の勢力が強いんだよね。
2013-06-03 16:00:20dい(5)それで、ぼくがずっと批判している日本の大学の問題も、結局disruptive innovationによって変わるしかないんだろうと思う。ネット上の学びのリソース、コミュニティの形成は今後5年10年で急速に発達するだろうし、その時に伝統的な大学は用済みになるかもしれない。
2013-06-03 16:01:32dい(6)いやいや、大学はしぶとい、と考える人がいるのはいいんだけど、文科省の許認可、保護のもと、年間100万もはらって、その割には就活の時には授業休んで、形ばかりの学位をとる、というビジネスモデルが、disruptive innovationの猛攻撃に耐えるとは思えない。
2013-06-03 16:02:39dい(7)面白いのは、MITやハーバードのような大学でさえ、disruptive innovationで割を食うかもしれなくて、それは当然視座の中に入っているということ。結局、既存の制度を守ろうとする人たちを相手にするよりも、技術革新に傾注した方が、変わるのは速いかもね。
2013-06-03 16:03:58dい(8)面白かったのは、日本の大学ダメですね、という話をしていた時に、石井裕さん(@ishii_mit)が、「何か具体的にないの」と聞いて、ぼくが、「国立大学の願書、何校にでも出せるようにすればいい」と言ったら、石井さんの目が「おっ、それだ!」と光ったこと。
2013-06-03 16:05:30dい(9)要するに前期後期はあっても、事実上一校にしか出現できないから、偏差値序列が温存されるのであって、5校でも10校でも併願できるようにしたら、東大受かったけど北大行くみたいな人が続出するわけで、意外とそんな簡単な制度変更で偏差値序列というイミフの砂山は崩れる。
2013-06-03 16:06:45dい(10)だから、disruptive innovationは、案外簡単なポイントがあるのだと思う。そしたら、帰りの飛行機で読んだGoogle Xについての記事が面白くて、Google Research Laboratoryにしなかったのは、もう陳腐なんだってね。いいね、X。
2013-06-03 16:08:07