茂木健一郎氏 @kenichiromogi 【第960、961回 二本立て】連続ツイート

2013.6/4 茂木健一郎氏:連続ツイート第960回 【disruptiveは、本質への集中の結果】 2013.6/5 茂木健一郎氏:連続ツイート第961回 【英語ができることと、グローバルは違う】
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茂木健一郎 @kenichiromogi

連続ツイート960回をお届けします。文章は、その場で即興で書いています。本日は、昨日の続きです。

2013-06-04 07:14:22
茂木健一郎 @kenichiromogi

dほ(1)私の畏友、田森佳秀(@F_Poyo)は、北海道の、「人よりも牛の数の方が多い」豊頃町で育った。それで、電子回路に興味を持った田森少年は、あちこちに捨ててあるテレビなどの家電を回収してきて、分解して、基盤から、コンデンサやトランジスタなどの部品を回収、整理収集していた。

2013-06-04 07:15:44
茂木健一郎 @kenichiromogi

dほ(2)それで、田森少年は、小学校の先生に、「東京に行くと秋葉原という凄いところがあって、電子部品が何でも売っている!」という話を聞いて、ものすごく憧れたのだという。ところで、この話のポイントは、秋葉原がない北海道の牛の町でも、電子回路の学習ができた、ということにある。

2013-06-04 07:17:15
茂木健一郎 @kenichiromogi

dほ(3)田森少年と科学との実質的出会いは、中学校の図書館だったそうで、アインシュタインの相対性理論の本格的な解説本が一冊あって、三年間ずっとそれを読んでいたのだそうだ。そこに出て来る数式を理解しようとするところから、田森少年の数理科学への関心が高まっていったらしい。

2013-06-04 07:18:50
茂木健一郎 @kenichiromogi

dほ(4)昨日論じたdisruptive innovationは、確かに既存のシステム、秩序を破壊していくわけであるが、実はポイントは「破壊」にあるわけではない。むしろ、物事の本質を徹底的に見抜くこと、その本質における集中、脈絡、架橋をはかるという点に、核がある。

2013-06-04 07:20:11
茂木健一郎 @kenichiromogi

dほ(5)ボストン再訪で、ハーバードやMITは確かにすばらしい環境だと思ったが、「ハーバードに留学する」「MITに留学する」という言い方自体が、おそらく現代においては粗すぎるというか、その要素を分解し、再構成し、いかに等価なものを構築するかが実は本当のイノベーション。

2013-06-04 07:21:21
茂木健一郎 @kenichiromogi

dほ(6)凄まじいまでのマテリアルがインターネット上に溢れている時代であり、もし田森少年が今の豊頃町で育っていたら、中学校の図書館にある相対性理論の本一冊でとどまる必要は全くない。google scholarで論文検索して読むこともできるわけで、本質は到るところにある。

2013-06-04 07:22:57
茂木健一郎 @kenichiromogi

dほ(7)むしろ、ボストンで感じたのは、MITやハーバードのキャンパスでさえ、それが特定の物理的空間であるという点においてすでに、インターネット上の情報の凄まじい奔流の自由を制約する方向に作用しかねないということだった。center of excellenceは到るところにある。

2013-06-04 07:24:30
茂木健一郎 @kenichiromogi

dほ(8)現代におけるdisruptive innovationは、別にcenter of excellenceはどこにもないというか、だからどこにでもあるというか、そのようなユビキタスな学習環境を一つのターゲットとして進んでいかないと本当ではない、ということになると思う。

2013-06-04 07:25:43
茂木健一郎 @kenichiromogi

dほ(9)disruptive innovationとは、既存のシステムを破壊することが趣意なのではなく、むしろ、あるものごとの本質を見抜き、化学反応の加速をこそ志向する。その際に、legacyに実質集中を邪魔させないという態度が、結果として破壊につながるだけのことだろう。

2013-06-04 07:28:02
茂木健一郎 @kenichiromogi

以上、連続ツイート960回「disruptiveは、本質への集中の結果」でした。

2013-06-04 07:28:29

引き続き

茂木健一郎 @kenichiromogi

連続ツイート961回をお届けします。文章は、その場で即興で書いています。本日は、このところ考えていたこと。

2013-06-05 07:10:37
茂木健一郎 @kenichiromogi

えぐ(1)なんだか、世の中がざわざわしてきて、眠っていた日本もそろそろ目覚めそうだけど、ぼくから見るとなんだかヘンな話もいっぱいあるので、天の邪鬼だとかなんとか言われようとも、書いて置きたいと思うのだ。それで、一言でいうと、英語ができることと、グローバリズムは違うんだよね。

2013-06-05 07:13:05
茂木健一郎 @kenichiromogi

えぐ(2)まず、「英語」ということばが、世界に数千あるという言語の中で、一番すぐれているわけではない。たまたま、歴史的な経緯で、英語をみんな話すようになった。それで、英語で表現される内容のすべてが、今日の地球を生きる上で必須の教養を構成しているわけでもない。

2013-06-05 07:14:17
茂木健一郎 @kenichiromogi

えぐ(3)端的に言えば、英語というのは、今日の地球でビジネスをやったり旅行したり生活する上で、使えると便利な言語、というだけに過ぎない。英語ができる、ということ自体は、別に大したことではないから、英語ができることを目標にするという教育は、まずナンセンスだと言いたい。

2013-06-05 07:15:33
茂木健一郎 @kenichiromogi

えぐ(4)その上で、今日における進捗の焦点、るつぼが米国を中心とするインターネット文明にある、という特殊要因がある。クリエイティヴ・カモンズ、ウィキリークス、アノニマス、TEDのような動きを含む文明の胎動に触れるのは、たまたま英語という言語を通すとよい、という経緯があるのだ。

2013-06-05 07:18:04
茂木健一郎 @kenichiromogi

えぐ(5)そのような意味での英語は、文明の波乗りの先端にいようと思ったらおそらく必須だけど、いわゆる英語教育の到るところにそれがあるわけではない。多くの英語教師の感性は凡庸だし、文明の進捗が見えているわけではない。むしろ、日本語でも、そういうことを語れる人の方がましだ。

2013-06-05 07:19:18
茂木健一郎 @kenichiromogi

えぐ(6)国が先導して大学入試にTOEFLを「必須」にするという提案自体がナンセンス。教育機関は国が号令をかけて一斉に変わるものではない、というのが今のグローバル文明の文法だから。英語さえできるとグローバルと思っていると、実は古くさい価値観にとらわれていることになりかねない。

2013-06-05 07:21:01
茂木健一郎 @kenichiromogi

えぐ(7)日本において、英語をやった方がいい、英語ができればグローバル、というようなかけ声は、そういうことを言っている人の感性、世界観が時代遅れで、権威主義的で、全く自由ではないという悲劇がある。それよりも大切なのは、今の地球を動かしている改革者のエートスを肌で理解すること。

2013-06-05 07:22:29
茂木健一郎 @kenichiromogi

えぐ(8)英語がぺらぺらの空気頭になるよりは、物理ができたり、数学ができたり、プログラムができる、英語たどたどしい人の方がよほど価値があるわけで、英語ができる、ということを偉いと思ったり、それを教育目標とすることが、いかにまぬけな話か、ということをまず確認したい。

2013-06-05 07:24:03
茂木健一郎 @kenichiromogi

えぐ(9)日本の大学が変わる必要があることは言うまでもない。「文系理系」なんて区別をしている時点で、石器時代に属する。東大文Ⅰ−>法学部なんて、日本の実定法しか知らない時点で、エリートでも何でもない。単なる専門学校。でも、英語ができればグローバル、というわけでもないんだよね。

2013-06-05 07:25:49
茂木健一郎 @kenichiromogi

連続ツイート961回「英語ができることと、グローバルは違う」でした。

2013-06-05 07:26:39