第一回大罪大戦《正3の狭間》【戦闘フェーズ01】

紅(ルージュ)は嫉妬、エンヴィー[ @not_must_sin ] 黒(ノワール)は傲慢、スペルビア[ @takami_sin ] 狭間に出で遭い、交叉する。
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superbia @takami_sin

「……さあ、すぐに終わらせないといけませんわね。『王』は皆の帰りを待つ必要がありますもの」異空間に靴音を響かせる、黒いドレスを纏う銀髪の女性。烈火の如き眼光が、目の前の空間を見やる。「現れなさいな、私の相手。愚かにも『黒』に戦いを挑んだ、破滅を望む者よ」

2013-06-12 01:06:08
ルージュのエンヴィー @not_must_sin

「みんなの帰りを待つねぇ。わたしを殺して帰るよりも、天国に行って待ってたほうが確実じゃないかな」 小走りで現れたのは快活な少女。 「ホラ、うちの陣営はみんな妬ましいほどに優秀だからさ。『紛い物の罪』を生かして帰すわけがないじゃん、ね?」

2013-06-13 01:16:39
superbia @takami_sin

「はン」目の前に現れた少女の言葉を、銀髪の女性は一笑に付す。「それで? あなたがどう思っていようと、勝つのは私達。黒が全てを塗り潰せば、『本物』なんておのずと決まるものですわ。でしょう?」右腕を前方へかざす。空間が歪み、彼女の得物が現れる。白き刀身の、幅広のグレートソードだ。

2013-06-13 01:34:13
ルージュのエンヴィー @not_must_sin

「格好いい武器持ってんねー。ここで私も大きな武器でも取り出せれば格好いいんだろうけど……」 両拳を顔の前に掲げる。シュッと、勢いはあるもののフォームの定まらない素振りを繰り返し、叫ぶ。 「さぁ、とりあえず最初は徒手空拳。どっからでもかかってきなさいよ!!」

2013-06-13 20:25:57
superbia @takami_sin

@not_must_sin 「じゃ、お言葉に甘えさせていただきましょうか――っと、その前に」ぱちん。彼女が左手の指を鳴らすと、一瞬にして世界が歪んでいく。二人を包む空間は、無人の円形闘技場へととって代わられた。この異次元の『性質』を使ったのだろう。→

2013-06-13 21:20:36
superbia @takami_sin

@not_must_sin 「ふん、様子見のつもりですの? すぐに死ぬ事になっても知りませんわよ――!」彼女は片手で握った大剣を上段に構え、一気に振り下ろす。すると、地面を抉るようにして魔力の衝撃波が生まれ、それはまっすぐにエンヴィーへと向かっていく!

2013-06-13 21:22:56
ルージュのエンヴィー @not_must_sin

@takami_sin 「うっそ、でしょ!?」 まさか衝撃波とは。あれだけの大剣なら、大振りになるであろう攻撃を掻い潜っていけると思っていた。腕力にはさほど自信はないが、刀の腹に渾身の一撃を繰り出して体勢を崩すことも視野に入れていた。……しかし。 「戦略が全部崩れたじゃんっ!!」

2013-06-14 04:00:15
ルージュのエンヴィー @not_must_sin

@takami_sin →上に跳んで衝撃波の直撃を避けようにも、抉られた瓦礫によって全身を打ち付けられるだろう。バックステップした程度で殺せる勢いの攻撃でもない。衝撃波が身体を貫いていくだけだ。 「なら、横っ!!」 左へと大きく飛び退く。それでも回避は間に合わず。→

2013-06-14 04:10:04
ルージュのエンヴィー @not_must_sin

@takami_sin →右の腿を刃が掠めたような鋭い痛み。続けざまに跳ね上げられた瓦礫に全身を打ち付け、左側へと吹き飛ばされる。 「痛ッ…」 腿からの出血と全身の打撲。初撃にして大きなダメージを負った……だが。 「徒手空拳じゃ、やっぱダメかぁ……」 彼女の表情に焦りは見えない。

2013-06-14 04:26:32
superbia @takami_sin

@not_must_sin 「見誤りましたわね。デンス・イリトゥムは『物』ではなく『魔』の刃。とはいえ」不意をついたにも関わらずこの程度の被害で済まされるとは。流石に『大罪』に名を連ねるだけはある。彼女は口の端を吊り上げ。「ボサっとしてる場合ですの?」剣の切先を向け、彼女は待つ。

2013-06-14 10:46:16
ルージュのエンヴィー @not_must_sin

@takami_sin 「いやいや、ここから私の反撃が始まるんだよ。……ところでさぁ、その武器いいね。強そうだね」 腿から流れる血に手を触れる。同時に、嫉妬の眼が紅く紅く染まっていく 「──『羨ましい』なッ!!」 瞬間、流れ落ちた嫉妬の血がうねりをあげて左手へと集まる。

2013-06-15 16:34:09
ルージュのエンヴィー @not_must_sin

@takami_sin →嫉妬の手に集められた血は、ゆっくりと形を変えていく。出来上がったものは相手の持つ幅広の剣とまったく同じ形をしたものであった。ただし、色は禍々しいほどの紅い血の色である。 「──『妬ましい』から、パクっちゃった。どう?いい出来でしょ?」 →

2013-06-15 16:40:36
ルージュのエンヴィー @not_must_sin

@takami_sin →「徒手空拳の次は、大罪『嫉妬』の能力で。まぁ見たまんまの能力だけどさ。かわすので手一杯だったのが私の全力だなんて、思わないでよ、ねッ!!」 真っ向から傲慢へと突っ込んで行く。小難しい作戦はない。傲慢の喉元を狙い、手にした大剣で── 「叩き、斬るッ!」

2013-06-15 17:25:11
superbia @takami_sin

@not_must_sin ほう、と口から感嘆の声を漏らす。「はっ、『紅』にしてはなかなか良い能力を持っていますわね、あなた――」対するこちらも、避けようとはしない。喉元へ向かう紅い大剣の一撃を、手にした白い大剣で受け止める。『魔』と『魔』どうしが、ぶつかり合う。→

2013-06-15 17:54:35
superbia @takami_sin

@not_must_sin →大地を刻むほどの武器だ――斬り掛かられた衝撃の余波は重く、彼女の右肩に、胴に、赤い線が刻まれていく。「でも……」彼女はそれでもなお、不敵に笑みを浮かべ。「乗りこなせますの? あなたに、『私』のデンスが!」→

2013-06-15 17:57:37
superbia @takami_sin

@not_must_sin →言葉と同時、エンヴィーの頭上の空間が歪んでいく。魔力が集積され、形を成す。それは二人の握る大剣と同じ形をした、ただの魔力の塊――魔弾。「行きなさい」宣言を下せば、それは光の筋を残しながら、エンヴィーの今いる場所目掛けて流星のごとく落ちていく――!

2013-06-15 18:05:31
ルージュのエンヴィー @not_must_sin

@takami_sin 判断は一瞬だった。純粋な魔力の塊が降ってくるのだ、防御などできるハズもない。防御ごと貫かれ、身体が消し飛ぶだけである。かわしたところで意味はない。地面に着弾した際の余波ですら嫉妬を殺すに足るだけの威力がある。なら── 「そっちが……消し飛べッ!!」 →

2013-06-18 04:32:08
ルージュのエンヴィー @not_must_sin

@takami_sin →血刀へとありったけの魔力をこめて、頭上の魔力塊へ投擲。真っ白な魔力の塊と真っ赤な血の刀がぶつかり合い、空中で漠散する。 続いて襲いかかる爆発の余波は、新たに傷口から作り出した血刀で防ごうとして──自らの失態に気づく。 (血が……足りな、い……)→

2013-06-18 04:45:48
ルージュのエンヴィー @not_must_sin

@takami_sin →巨大な武器を作り上げようとも、傷口に武器を仕舞い込めば血液として体内に還元されるのが嫉妬の能力である。だが、消失した武器に使われた血液は還元されることはない。巨大な武器の喪失は膨大な出血と同義である。 「くっそ──!!」 二本目の血刀の作成。→

2013-06-18 04:53:57
ルージュのエンヴィー @not_must_sin

@takami_sin →大剣の腹で爆風を受ける──が、大量失血により思うように力の入らない嫉妬は大きく煽られ、後方へと吹き飛ばされる。 「ぐが……あああ!!」 二回三回、と地面に身体を強打しながら円形闘技場の壁に激突する。意識はあるものの、即座に立ち上がることはできない。

2013-06-18 04:58:24
superbia @takami_sin

@not_must_sin 「こいつ、ッ」爆心地に近かったこちらも、魔力暴走の煽りを強く受ける。二つの力のぶつかり合いの余波は、『デンス』だけでは止められない。眩い光の奔流がスペルビアを包み込み……それが晴れた時、彼女もまたエンヴィーと同じく、大きなダメージを負っていた。→

2013-06-18 11:02:33
superbia @takami_sin

@not_must_sin 口の中の血を吐き捨て、敵対者を睨みつける。頭がくらくらする。どれだけの血を失ったのだろう。痛みを感じない辺り、傷は相当酷いらしい。「はン。なかなかやってくれるじゃありませんの、小娘」そう言った時。地面が大きく揺れる――いや、世界の枠が、揺れている。→

2013-06-18 11:06:30
superbia @takami_sin

@not_must_sin 『狭間』が閉じて行く。このままここにいては、二人とも死ぬ。幸運にも、二人の後ろに『出口』はあった。「……また強くなったら、私の前に現れなさい。覚えてくらいはおきますわ」ふらふらと足取り重く、スペルビアは『出口』の向こう、元の世界へと還っていく。

2013-06-18 11:09:09
ルージュのエンヴィー @not_must_sin

@takami_sin 消え行くスペルビアを為す術もなく見つめる。 勝てなかった。殺されることもなかった。 「見逃されたかー……」 一人になった狭間で力なく呟く。 あの状況だ、スペルビアは容易にエンヴィーを殺せたはずである。なのに。 「……ちくしょう、ちくしょう!!」 →

2013-06-19 10:52:35
ルージュのエンヴィー @not_must_sin

@takami_sin →しかし、悔やんでいる余裕はない。狭間はどんどんと崩壊を進める。 「わたしも、戻ろう……」 背後に残る『出口』へと向かう。スペルビアはまだ生きているのだ。自分だけが崩壊に巻き込まれて死んでやる理由はない。 「今回は、勝てなかったけど……次こそは」→

2013-06-19 10:56:17