【よいこのツイッター絵本 vol1.マッチ売りの少女とカウボーイ】
「おじさん、おじさんはどこからきたの」「海のむこうさ」「おじさんは…外国のひと?」男が吐いた煙は、ゆっくりと冬の空気に溶けて消えていきます。 -22
2013-06-11 23:20:53「おじさん、銃を持ってる。警察のひと?」「真逆さ」「悪いひと?」「そうかもな」何を聞いてもはっきりとした答えはかえってきませんでした。 -23
2013-06-11 23:21:23「どんなシケた街でも食ってく方法はあるぜ。泥棒をしたり、馬車強盗をしたり。イカサマ賭博だってある」「人のものをとるのはいけないことよ、神様だって許してくれないわ」少女はただ一人、彼女を愛していたおばあさんにそう教えられたのです。 -24
2013-06-11 23:21:49「俺も毎晩膝を折って神に祈ってる…だが答えはいつも同じだ、『答えてはくれない』」男は二本目のタバコに火をつけると、一息に吸いました。 -25
2013-06-11 23:22:36「こいつでどこでも社会の一員になれると思っていた」男は腰に下げている銃に手を置きました。男はさっき、この銃で暴走する馬車から逃げようとした馬車強盗を撃ったのです。脚を撃たれた馬車強盗はその場に倒れ、捕まりましたが、周囲の人々は彼のことを人殺し、狂人と罵りました。 -26
2013-06-11 23:23:25「銃を捨てれば済むことよ、誰かを撃つ必要なんてない」「俺達は銃に縛られて生きているんだ、一度銃を握った者は一生捨てることは出来ない」 -27
2013-06-11 23:23:46少女は初めて目にする遠い世界の住人に対して驚くと同時に、彼もまたどこにも行く場所が無いことを悟りました。性別も、年齢も違う二人ですが、今こうして行き場所も無く、同じ街角に座っていたのです。 -27
2013-06-11 23:24:31男は三本目のタバコに火をつけようとしましたが、タバコが湿っているのかなかなか火がつきません。マッチを二本、三本と擦ってやっとタバコに火がつきました。少女はその火に照らされた、男の深いしわの刻まれた顔をぼんやり眺めていました。 -28
2013-06-11 23:25:14「男には信じられる物が要る」男は言いました。「それは、神様では無いもの?」少女は聞きました。「そうだ。それを捨てれば、俺は俺でなくなる。俺を殺すには俺の許可がいる」 -29
2013-06-11 23:26:31二人は隣にならんで座ったまま、とりとめのない話をし続けていました。遠い国で馬にまたがって大地をかけ、悪党と戦った男の話。幼い弟や妹達のためにも、必死でマッチを売った少女の話。話はいつまでもいつまでも続きました。 -30
2013-06-11 23:27:21やがて、地平線の彼方が少し明るくなってきた頃合いになると、男は立ち上がりました。「さて、お嬢ちゃん、俺はそろそろ行かなくちゃならない」 -31
2013-06-11 23:27:43男が立ち上がると、つば広の帽子や肩の上に積もっていた雪が、ばさりと音をててて地面に落ちました。同じように少女も立ち上がると、髪と肩の上に積もっていた雪がぱさりと音をたてて地面に落ちました。 -32
2013-06-11 23:28:08「待って、おじさん、あなたの名前を教えて」「カウボーイさ、ただの」カウボーイは肩に残った雪を手で払いのけながら答えました。 -33
2013-06-11 23:28:41「おじさん、ありがとうございます。マッチを買ってくれて」少女がカウボーイに深々とお辞儀をすると、カウボーイは自分が巻いていた赤いスカーフを解き、少女の首に巻いてあげました。そして、カウボーイはその目を見つめながら言いました。「その一、他人に頭を下げるな」 -34
2013-06-11 23:29:37立ち上がって踵を返したカウボーイは、背中越しに言いました。「その二、決して他人を信用してはならない」 -35
2013-06-11 23:30:00去ろうとするカウボーイに、少女はたずねます。「おじさん、おじさんはどこへいくの?」「自分できめるんだ、俺は…さすらう」カウボーイは振り返らずに答えました。 -36
2013-06-11 23:30:28地平線から差し込んだ光が眩しく少女を照らしたときにはもう、カウボーイの背中は見えなくなっていました。わずかに聞こえていた彼のブーツの金具ががちゃがちゃなる音も、二つのターン ターンという銃声と人々のかすかな悲鳴を最後に聞こえなくなりました。 -37
2013-06-11 23:31:14残ったのはわずかなマッチの燃えかすとタバコの巻紙の欠片が、彼の足元だった場所に散らばっているだけ。カウボーイが果たして何者だったのか、どうしてここにいたのかは誰も知りません。そもそも、本当に居たのか―もしかすると、少女がマッチを擦ったことで見た幻だったのかもしれません。 -38
2013-06-11 23:32:08本当のことを知っているのは、首に赤いスカーフを巻いたその少女だけでしょう。少女はいつまでもいつまでも、カウボーイが去っていった方を見つめていました。 -39
2013-06-11 23:33:00それはそうと、このお話に登場したカウボーイは全部マカロニウェスタンの名作映画の名言を切り貼りして喋ってるだけなンだ!ステロタイプのキャラクターなら適当な切り貼りでも造形しちまえばなんかカッコよくなるってことだねぇ!
2013-06-11 23:35:24カウボーイが何者だったかなんて知らないね!マッチをブーツで擦って火をつけるシーンが書きたかっただけなんだ!細かい設定とか解釈なんて無いから期待すんなよ!!おやすみ!!
2013-06-11 23:38:45