ヒューホ・ファン・デル・フース『ポルティナーリ祭壇画』左翼に描かれたアントニオは俺の嫁

ヒューホさんはもうちょっとシンボリズムに親しみのないフィレンツェ市民のことも考えたほうがいいよ。 参考文献: Walfgang Stechow, "Northern Renaissance Art 1400-1600: Sources and Documents" (Gaspar Ofhuys の記録からの抜粋。1524年) Robert A. Koch, "Flower Symbolism in the Portinari Altar" (1964) 続きを読む
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壺屋めり @cari_meli

ところで、キリストの生誕って救世主がお生まれになったのだからもっと明るい雰囲気でもいい気がするが、そこはかとなくメランコリックな空気に満ちているのはキリスト生誕時にすでに受難の香り漂っているからなのだとか。どこにだよ、と思った方、どうもこの花々がすべてシンボルらしいのですよ。

2010-09-19 11:42:15
壺屋めり @cari_meli

まず赤い百合。百合は受胎告知に多く見られるようにたいてい純潔の象徴として描かれるけれど、ここでは真っ赤。これはまぁありがちだけれどキリスト受難のときに流れた血を表しているのだとか(パノフスキー談)。

2010-09-19 11:44:50
壺屋めり @cari_meli

クリスチャン宗教絵画の掟: 赤 を 見 た ら 血 だ と 思 え

2010-09-19 11:46:21
-オル/おる- @Orpheus00

@davidsbundler 花とか赤い色とかが受難のシンボルだと言われますよね

2010-09-19 11:45:08
壺屋めり @cari_meli

次にアイリス。これはマーテル・ドロローサ(= Mater Dolorosa =悲しみの聖母)の心を突き刺した剣を表している。アイリスは葉っぱがふたつに分かれているので、それを聖母の引き裂かれた心に見立てているんだとか。ちなみにアイリスは当時「剣の百合」と呼ばれていたりした。

2010-09-19 11:51:11
壺屋めり @cari_meli

あ、当時百合もアイリスもまとめて lily と呼ばれてたんだって。まぎらわし。ちなみにフィレンツェの百合紋も実はアイリスを図像化したもの。

2010-09-19 11:52:11
壺屋めり @cari_meli

アイリスは二本あるうち一本が白く(花は二つ)もう一本が青い(花は一つだが蕾が二つ)。花が三つあるのでこれを三位一体と見立てて、青いものを受肉したキリスト、白いものを父なる神と聖霊とする説もある。これは青いアイリスが一つだけ花開きもう二つは蕾のままなのにも重ねられたりする。

2010-09-19 11:56:12
壺屋めり @cari_meli

色ももちろん関係ある。純白のアイリスは聖母の純潔を(生誕のシーンだから処女懐胎を強調してるはず)、青紫のアイリスはメランコリー、つまり聖母の悲しみを表す。聖母のマントルの色でもあるね。

2010-09-19 11:57:58
壺屋めり @cari_meli

ちなみに白い種類を Florentina 、青い種類を Germanica という。

2010-09-19 11:58:42
-オル/おる- @Orpheus00

めりさんの美術ツイートが楽しすぎる

2010-09-19 12:03:21
壺屋めり @cari_meli

ヴェネツィアグラスのほうのオダマキ(コロンバイン)の花は7つ。これもまた青紫=メランコリーの色であることから、これはいわゆる「聖母の七つの悲しみ」を表すとされる(パノフスキー談)。しかし同時にコロンバインは聖霊を表すシンボルとしても頻出するんだな。

2010-09-19 12:02:33
壺屋めり @cari_meli

コロンバインの花は鳩が五羽あつまっているように見える(らしい)。鳩といえば聖霊ですねキリストの洗礼のときも鳩が降りてくるもんね。というわけで聖霊を表すコロンバインが7つあつまればこれは「聖霊の七つの賜物」ではないかという説も。

2010-09-19 12:04:52
@momokanazawa @momokanazawa

@davidsbundler おだまきは、うつむいているので、聖母の謙遜を表す、とも。

2010-09-19 12:04:01
壺屋めり @cari_meli

おっとこれは知りませんでした。めもめも。 RT @momokanazawa: @davidsbundler おだまきは、うつむいているので、聖母の謙遜を表す、とも。

2010-09-19 12:05:15
lichfieldgardens47 @lichfieldgarden

渋龍を想起 RT @momokanazawa: @davidsbundler おだまきは、うつむいているので、聖母の謙遜を表す、とも。

2010-09-19 12:08:33
壺屋めり @cari_meli

だいたい七という数字はキリスト教にとって重要なんですよね。特にアウグスティヌスなんざ七の重要性強調しまくり、著書『神の国』でも「うわーもっと七という数字の完全性について語りたいのにこの本既にNAGEEEEE!!」とか言っちゃったり。

2010-09-19 12:09:16
壺屋めり @cari_meli

三が三位一体など神聖なものをよく表すのに対し、七はもう少し人間的な要素を含むようです。

2010-09-19 12:09:32
壺屋めり @cari_meli

ふあっ気付かんかった RT @orpheus00: @davidsbundler 一週間も7日ですしね~

2010-09-19 12:12:35
-オル/おる- @Orpheus00

キリスト教に限らず、7って色んなところで使われる気がする。七不思議、七つの海、ラッキーセブン、ドラゴンボールも7つ(笑)

2010-09-19 12:17:43
壺屋めり @cari_meli

あとヴェネツィアングラスには深紅のカーネーションが3本あるね。はいっ \赤を見たらー?/ \血と思えー!/

2010-09-19 12:16:06
壺屋めり @cari_meli

これもまた三本なのだがこちらは三位一体にあらず。当時のフランドルではカーネーションは nagelbloem と呼ばれていたわけだが、この名前の意味が「釘の花」。釘といえばあれですねキリストの磔に使われた釘ですね。しかも三本。数も辻褄が合う。

2010-09-19 12:21:37
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