ヒューホ・ファン・デル・フース『ポルティナーリ祭壇画』左翼に描かれたアントニオは俺の嫁
ところで、キリストの生誕って救世主がお生まれになったのだからもっと明るい雰囲気でもいい気がするが、そこはかとなくメランコリックな空気に満ちているのはキリスト生誕時にすでに受難の香り漂っているからなのだとか。どこにだよ、と思った方、どうもこの花々がすべてシンボルらしいのですよ。
2010-09-19 11:42:15まず赤い百合。百合は受胎告知に多く見られるようにたいてい純潔の象徴として描かれるけれど、ここでは真っ赤。これはまぁありがちだけれどキリスト受難のときに流れた血を表しているのだとか(パノフスキー談)。
2010-09-19 11:44:50次にアイリス。これはマーテル・ドロローサ(= Mater Dolorosa =悲しみの聖母)の心を突き刺した剣を表している。アイリスは葉っぱがふたつに分かれているので、それを聖母の引き裂かれた心に見立てているんだとか。ちなみにアイリスは当時「剣の百合」と呼ばれていたりした。
2010-09-19 11:51:11あ、当時百合もアイリスもまとめて lily と呼ばれてたんだって。まぎらわし。ちなみにフィレンツェの百合紋も実はアイリスを図像化したもの。
2010-09-19 11:52:11アイリスは二本あるうち一本が白く(花は二つ)もう一本が青い(花は一つだが蕾が二つ)。花が三つあるのでこれを三位一体と見立てて、青いものを受肉したキリスト、白いものを父なる神と聖霊とする説もある。これは青いアイリスが一つだけ花開きもう二つは蕾のままなのにも重ねられたりする。
2010-09-19 11:56:12色ももちろん関係ある。純白のアイリスは聖母の純潔を(生誕のシーンだから処女懐胎を強調してるはず)、青紫のアイリスはメランコリー、つまり聖母の悲しみを表す。聖母のマントルの色でもあるね。
2010-09-19 11:57:58ヴェネツィアグラスのほうのオダマキ(コロンバイン)の花は7つ。これもまた青紫=メランコリーの色であることから、これはいわゆる「聖母の七つの悲しみ」を表すとされる(パノフスキー談)。しかし同時にコロンバインは聖霊を表すシンボルとしても頻出するんだな。
2010-09-19 12:02:33コロンバインの花は鳩が五羽あつまっているように見える(らしい)。鳩といえば聖霊ですねキリストの洗礼のときも鳩が降りてくるもんね。というわけで聖霊を表すコロンバインが7つあつまればこれは「聖霊の七つの賜物」ではないかという説も。
2010-09-19 12:04:52おっとこれは知りませんでした。めもめも。 RT @momokanazawa: @davidsbundler おだまきは、うつむいているので、聖母の謙遜を表す、とも。
2010-09-19 12:05:15渋龍を想起 RT @momokanazawa: @davidsbundler おだまきは、うつむいているので、聖母の謙遜を表す、とも。
2010-09-19 12:08:33だいたい七という数字はキリスト教にとって重要なんですよね。特にアウグスティヌスなんざ七の重要性強調しまくり、著書『神の国』でも「うわーもっと七という数字の完全性について語りたいのにこの本既にNAGEEEEE!!」とか言っちゃったり。
2010-09-19 12:09:16これもまた三本なのだがこちらは三位一体にあらず。当時のフランドルではカーネーションは nagelbloem と呼ばれていたわけだが、この名前の意味が「釘の花」。釘といえばあれですねキリストの磔に使われた釘ですね。しかも三本。数も辻褄が合う。
2010-09-19 12:21:37