ぼくがかんがえた超電磁砲×虐殺器官2「妹達」編

渡辺零氏の2次創作作品「超電磁砲×虐殺器官」から派生した作品の要約。本来はきちんとした形で寄稿予定だったのだけど、どうしても長編になるので、せっかくだから要約だけでもまとめてみた。俺得。
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現場猫教授 @Dr_crowfake

それに対し「妹」は明瞭に応える。「旧来のミサカネットワークでは、すべての個体が寿命を終えれば、それでおしまいです。ですので、ネットワークを維持し続けられる環境がどうしても必要であるのだと、ミサカは冷静に指摘します」

2013-06-24 20:07:37
現場猫教授 @Dr_crowfake

「そうやって人の悪意と残虐さに規制することでしか続けられないような存在は、それ自体が悪よ!」美琴は絶叫する。そして目を伏せたままの布束を問い詰める。「あんたこうなることがわかってたんでしょう? どうしてこんな計画に加担したの!?」

2013-06-24 20:08:02
現場猫教授 @Dr_crowfake

布束は伏し目がちになりながら、絞りだすような声で応える。「最初は強制だった。だが考え方が変わった。ミサカネットワークは存続すべき価値のあるものだが、このままでは存続できない。だから存続できるよう、新しい個体を提供しなければならないと思った。but、その判断は過ちだったわ」

2013-06-24 20:08:23
現場猫教授 @Dr_crowfake

「Eの字から計画を簒奪させたのもあなたね?」「ofcause。今やEの字の経営主体はこの新しいミサカネットワークよ。Then、Eの字は他のPMCにもこの技術を拡散させている。今更この子たちが増殖拡大していくことを防ぐことはできない」「なんてこと……」美琴は絶句する。

2013-06-24 20:09:09
現場猫教授 @Dr_crowfake

「だ、だけど世界的に強調すれば拡散は止められるはず!」すがりつくように云う美琴に対して布束は突き放す。「協調と裏切りのゲームでは、必ずしも強調を選択したものが勝つとは限らない。アクセルロッドは過大評価されすぎ。ネットワークを利用するものは必ずいて、彼女たちの増殖は止められない」

2013-06-24 20:09:36
現場猫教授 @Dr_crowfake

「そういうことですお姉さま、とミサカは云います。すでに紛争コーディネーターによる各種軍合同作戦が始まっているようですが、ここにいるミサカを皆殺しにして製造施設を破壊しても、ネットワークの存続を否定することはできません。これが、人間という種がミサカ達に与えてくれた善のあり方です」

2013-06-24 20:10:10
現場猫教授 @Dr_crowfake

そして「妹」は絶望に沈む美琴に対して優しく微笑む。「ありとあらゆる「善」の概念が、結局は別の「善」に上書きされ、滅びて行きました。だけどミサカたちのネットワークは不滅です。これが、人類がようやくたどり着いた完全な「善」の形だとミサカは云います――だから、泣かないでください」

2013-06-24 20:10:38
現場猫教授 @Dr_crowfake

そして手の尽くしようのない絶望と混沌が世界を覆う。廉価な能力者兵士を手に入れた陣営はそれぞれに闘争を激化させ、世界の安全保障はガタガタに崩れ去ってしまう。まさに世界内戦というべき状況下、ドミノピザとスターバックスの普遍性は消失しようとしていた。

2013-06-24 20:13:05
現場猫教授 @Dr_crowfake

しかし布束が指し示したある可能性が、美琴をかろうじて絶望の淵から救い出す。この新しい妹達の「上位個体」を見つけ出し、それに停止信号を撃ちこむことで、ミサカネットワークを停止することが可能であると。その上位個体を確保するため、美琴たちは厳重に守られた要塞施設へ潜入する……。

2013-06-24 20:15:01
現場猫教授 @Dr_crowfake

世界を救うために、妹達を殺す。苦渋の決断だが、もはや美琴にためらいはなかった。どちらも救うことができないなら、自分の大切なものを護る。双曲線的判断基準がもたらした、人間的な、あくまで人間的なそれは、彼女の最後の拠り所だった。

2013-06-24 20:16:50
現場猫教授 @Dr_crowfake

だが、上位個体を守っていたのはよりにもよって「一方通行」の模擬体、ベクトル制御を膨大な演算リソースでカヴァーすることによりオリジナル同等の戦闘力を発揮する最悪の敵だった。かつての悪夢が、16年前同様に繰り返される。だがその時、ついに「あのバカ」――上条当麻が現れてくれたのだ。

2013-06-24 20:19:30
現場猫教授 @Dr_crowfake

「お前の語る善は、幻想だ」当麻は静かに怒りを込めて云う。「あるひとつの価値観や存在がを永遠に存在できるわけねえだろ。その意味じゃ人間には本来善も悪もねえんだ。ただ、そうしたいからそうしている。あがくだけあがいて、バトンをつなごうとする」

2013-06-24 20:23:09
現場猫教授 @Dr_crowfake

「お前の「善」は、あまりにもでかい代償を強いるテメエ勝手な幻想だ。だから、その幻想をぶち殺す」当麻の一撃により、一方通行の模擬体は倒れ、上位個体を通じてミサカネットワークは凍結状態に入る。「これで、戦争は終わるの?」そう問う美琴に当麻は「後始末は当分続くさ。こいつらの分もな」

2013-06-24 20:26:27
現場猫教授 @Dr_crowfake

「この子たちの後始末って……」「要するにネットワークが存続し続けれれば、善であるって云いたかったんだろうこいつらは。ただ、やり方を間違った。戦争というシステムに寄生することでシステムの存続を測った。この世には他にも沢山こいつらの手を借りたい奴らがいるのにさ」

2013-06-24 20:28:05
現場猫教授 @Dr_crowfake

「具体的には?」「確保した上位個体を使って、ミサカネットワーク全体をリプログラミングする。人類と共存し、奉仕することによって有用性を示し、需要によって継続的に新しい世代が生まれるようにする――まあ、布束の受け売りだが」

2013-06-24 20:30:48
現場猫教授 @Dr_crowfake

当麻は照れるように笑って。「お前も、妹が殺し合いをするよりか、世の中に役立つほうがいいだろ?」そう云った。「結局、あんたは誰でも助けるんだ。私は妹達を助けられないと思っていた。だけどそれをあんたは覆した」「まあ性分だからなぁ。ああ、不幸だ」そう云う彼の顔はそれでも満足気だった。

2013-06-24 20:37:40
現場猫教授 @Dr_crowfake

そして数年後。戦争の道具としての機能を凍結された御坂妹たちは、少子高齢化社会における様々な分野での労働や、ミサカネットワークを利用した大規模分散処理などの機能により、人類に確かに貢献していた。今や街角には必ずひとりの御坂妹がいて、なにか人の役に立つようなことをしている。

2013-06-24 20:40:13
現場猫教授 @Dr_crowfake

揺りかごから墓場まで、人類は御坂妹たちに見守られ、介助されながら、さらなる発展への道を遂げようとしている。その姿を見て、美琴はようやく自身が業から解き放たれたと感じられるようになった。

2013-06-24 20:41:51