ぼくがかんがえたBEATLESS×虐殺器官×PSYCHO-PASS

BEATLESS2次創作が少ないという話を聞いたので、では前提自体を覆してみようと思い虐殺の文法を取り込んだらついでにPSYCHO-PASS分まで混入した事故。俺得。
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現場猫教授 @Dr_crowfake

BEATLESS2次創作、超AIが拠って立つ社会基盤そのものを破壊するために虐殺の文法を振りまくという大規模テロを思いついた。柳条ミズホ・ミームフレーム社技術部長(ヒギンズ村からハブにされてる暇人)が考えついた「死なばもろとも」案。

2013-06-24 22:53:57
現場猫教授 @Dr_crowfake

柳条ミズホは酒場でくだを巻いていた。「ポストヒューマン主義者はアストライアに消される、普通の人間はAIに管理されて生きていくしかない。この世界、はっきり云って、人間が人間として生きる余地がない。飼育箱のモルモットよ。ならまあ、ぶちこわしちゃってもいいわよね」「酔いすぎですよ先輩」

2013-06-24 22:55:44
現場猫教授 @Dr_crowfake

「ああ? 至って素面よあたしは。人間が自由意志と自己選択をAIに左右されずやれた時代に戻りたくて仕方ないわ。さもなきゃAIに全部開け渡して滅べばいいのよこんな人類」「云ってることがめちゃくちゃですよ」「いえ、その話には興味があります」「誰あんた?」「槙島聖護といいます。よろしく」

2013-06-24 22:58:38
現場猫教授 @Dr_crowfake

「ふーん」柳条は槙島聖護と名乗った青年の姿をじっくりと観察した。表面上は人当たりのいい美形、しかしどこかに影がある。それは阻害されたものの悲しみだと感じたので、せっかくだから話してやることにした。

2013-06-24 23:00:30
現場猫教授 @Dr_crowfake

「いい? 今の超AIに足りない前提は「人類の絶滅あるいは人類社会の崩壊」これを計算に入れてる超AIは多分存在しない。そんな状態で自信を生き残らせるためには完全なスタンドアローンの自律設備が必要だし、そんなもんアストライアが認めない。AI同士で縛りあってるのよ」「なるほど」

2013-06-24 23:02:39
現場猫教授 @Dr_crowfake

「だからねえ」柳条は酒臭い息を出来るだけこの槙島という好青年に吹きかけないようにしながら言葉を継ぐ。「あいつら所詮、人類社会インフラに寄生して存在してるだけのメカニズムなのよ。だったらそこを叩けばいい。そこが崩れれば、超AI様もただの鉄屑。うちのヒギンズなんていい例じゃないかな」

2013-06-24 23:04:57
現場猫教授 @Dr_crowfake

「ヒギンズはhIE管理運営を司ってる。つまり人類社会と密接につながってる。そこからアナログハックで人類を操作したり、逆に理解しようとしている。でも、その社会そのものがなくなったら、ヒギンズの「道具」としての役割はおしまい。ただのガラクタに成り下がるわけ」「なるほど、興味深い」

2013-06-24 23:06:59
現場猫教授 @Dr_crowfake

「でも、そんなテロリズムは不可能ですよね。二重三重のトレーサビリティと超AIによる管理が行き届いたこの世界では」槙島の疑問に、柳条はドヤ顔で応える。「それがね、あるのよ。私の専門は量子力学なんだけど、ペンローズのせいで認知科学にも首を突っ込んでてね」「ほう」

2013-06-24 23:09:30
現場猫教授 @Dr_crowfake

「人間の脳内のモジュール化が進み、どのモジュールがどのように作用するかの規則、連環みたいなものは、超AI様が出してくれてるんだけど、ここにちょっとしたセキュリティホールがあるのよ」「それはいったい?」「人間が多くなりすぎると発動する「共食い」モジュール」

2013-06-24 23:11:29
現場猫教授 @Dr_crowfake

「発見者のジョン・ポール博士はこれを「虐殺器官」と名付けたわ。人間が多くなりすぎると機能を活発化し、互いに殺し合う成功が強まるモジュールが、人間の脳内には存在してるの。で、ジョン・ポールはその制御の方法――虐殺の文法まで解析していた」

2013-06-24 23:14:02
現場猫教授 @Dr_crowfake

「つまり、それを使えば人類を共食いさせ社会を崩壊させられると。そしてそれは人間の手によって制御できると」「ご名答。無論超AIもそれはできる。でもやらない。世界を維持するためには奴隷の手が必要だから。でも私たちは奴隷じゃない。そこに勝機がある」「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれですか」

2013-06-24 23:17:12
現場猫教授 @Dr_crowfake

「そゆこと。虐殺器官により超AIが維持できる社会基盤を破壊し、虐殺を生き延びた強い人間たちと、虐殺の埒外にいてチャンスをものにしたポストヒューマニストたちが、鉄屑になった超AIから人類という種の意思決定権を取り戻すことができる……その可能性は十分にあるんだよ」

2013-06-24 23:19:17
現場猫教授 @Dr_crowfake

「素晴らしい。あなたはとてもアナーキーな人だ」槙島は微笑んだ。「できればその、虐殺の文法にアクセスできる場所を教えていただけるとありがたいのですが」「ボルヘスの検索でかかるよ。超AI,、こんなもの真っ先に検閲すべきなのに、人類が無理心中する可能性を考慮に入れてないみたい」

2013-06-24 23:21:36
現場猫教授 @Dr_crowfake

「彼らは彼らなりに、人類と共存していると思っているのでしょう。それが人類をどれだけ傷つけているか、人の自己決定権をどれだけ侵食しているかなどお構いなしに」「全くそのとおりだよ。彼らは傲慢だ。だから、罰を与えなければならない。だれが手綱を握っているかわからせないといけない」

2013-06-24 23:24:23
現場猫教授 @Dr_crowfake

「おっしゃるとおりです、柳条先生。ためになるお話をお聞かせいただき、大変有り難うございました」槙島と名乗る青年は居酒屋を去った。「あれ、あたし自己紹介してたっけか……まあいいや。彼は彼なりに道を探すだろうし、あたしもカンバンだ」そういって柳条ミズホは居酒屋を去った。

2013-06-24 23:26:45
現場猫教授 @Dr_crowfake

それからほどなく、莫大な量の「虐殺の文法」がエンヘッドされた文章がネットワークを徘徊するようになった。そしてそれにより、人々の「共食いの衝動」が強化され、世界は樹所に無秩序に陥りつつあった。反AIデモ隊が行進する路面をミームフレーム社の役員室から見下ろしながら、柳条は笑ってた。

2013-06-24 23:29:18
現場猫教授 @Dr_crowfake

「いやあ、本当にやる奴がいるとは思ってなかった。でもこれで楽しくなるね。人類と超AI、生き残りをかけたチキンレースだ。どっちが先に降りて、どっちが主人なのか思い知らせてやるのか、楽しみでならない」「部長、この騒動は」「言うまでもなく虐殺器官の発動さ。これからもっとひどくなる」

2013-06-24 23:31:04
現場猫教授 @Dr_crowfake

「あたしはとても楽しいよ。あの超越者面した超AIが、この人類の混乱にどう対処するか、どう足元の火を消すのか。それとも消しきれないで人類と一緒に燃え落ちるのか。わくわくするよ!」柳条は確信していた。この騒動を展開しているのは、あのとき居酒屋であった槙島という好青年であることを。

2013-06-24 23:34:08
現場猫教授 @Dr_crowfake

そして槙島聖護は腹心のチェ・グソンとともに騒動を見下ろせるスイートルームから状況を怠りなく観察していた。「あんたが他人の心を操るような真似をするとはね」チェは意外そうに呟く。「人間の魂の輝きを見るためには、一度その軛を外すための荒療治が必要なのさ」槙島はすまして応える。

2013-06-24 23:37:00
現場猫教授 @Dr_crowfake

「人類は超AIに管理されることに慣れすぎていた。だから、そのかたちを崩す必要があった。あの酒場のアル中女が、そのヒントを与えてくれた。後は簡単だったよ」「しかし超AIも体制を立て直そうとしてますよ」「彼らは人間を間接的にしか操れない。一方ぼくの文法は脳を直接揺さぶる。勝機は十分」

2013-06-24 23:41:05
現場猫教授 @Dr_crowfake

「なるほど。ですが虐殺文法をエンヘッドした文書の流通はすでにアストライアに拠って検閲が入ってますよ」「ここまで広がれば問題はないさ。あとは人間が口伝えで虐殺の文法を広げてくれる。それに手出しすることは、人間から隔離された超AIには困難だ」「なるほど」

2013-06-24 23:43:05
現場猫教授 @Dr_crowfake

槙島は心底楽しそうに笑った。そしてこれから起こる全てのことにウキウキしているようにすら見えた。チェ・グソンもまた、その感情を共有していた。そして、全く異なる場所にいて、全く異なる見地から事態の推移を見守る柳条ミズホも。

2013-06-24 23:44:54
現場猫教授 @Dr_crowfake

「人間の魂のくびきを解き放つために、人間を獣まで落とす。それを躊躇なく実行できるなんて、すごいね。あたしは思いついただけだった。だけど彼はやった。そして成功しつつある。さて、どんな地獄が見られるのか、楽しみでしょうがない」ミームフレーム社の上級役員オフィスで、ミズホは哄笑した。

2013-06-24 23:46:55