『新撰21』読書会(14)「相子智恵+甲斐由起子」

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関悦史 @Seki_Etsushi

「冬蜂の死や物置に拡声器」とか「松下村塾八畳一間草青む」とかモチーフにしつこく細やかに迫る一方で詠み方は大胆で思い切りがいいのでこういう資質が両方あるのは珍しいかもしれない。 #shinsen21

2010-09-18 23:27:26
関悦史 @Seki_Etsushi

このしつこさと大ぶりさを両立させようとしたらそれは技術的にはうまくならざるを得ないのだろう。技術のための技術じゃなくて対象のボリュームを繊細な動感をもって引き出そうとしたら言い方は両者から圧迫されておのずと練磨されてくる。 #shinsen21

2010-09-18 23:32:20
梅﨑実奈 @umemina

「借金や葛の葉厚き小屋通る」、「借金や」で切れて一見すごい大仰だけど、そのあとにつづく詠みのお陰で落ち込むくらいのリアリティ。この借金は重い。人間の臭いが漂う。 #shinsen21

2010-09-18 23:33:35
関悦史 @Seki_Etsushi

「ホチキス針コの字光りや雪催」の「コの字光り」なんかはそうして出てくる(相子さんが筒井康隆の『虚航船団』読んでるってことも多分ないのだろうし)。それにしてもここでの「雪催」はコクが出る。 #shinsen21

2010-09-18 23:34:37
関悦史 @Seki_Etsushi

「借金や」は実体験がよりも漱石あたりが土台になっている歴史趣味的な句の系統なのかもしれませんが。「木犀や漱石の句に子規の丸」とかありますし。漱石の小説で借金が人間関係を構成していくようなのが幾つかあったはず。 #shinsen21

2010-09-18 23:38:02
関悦史 @Seki_Etsushi

具体に執しながらその向こうにある種の空想性・虚構性の世界がほのみえているから狭苦しくならないという機微もあるのでしょうね。 #shinsen21

2010-09-18 23:39:56
梅﨑実奈 @umemina

しかし、恋の句が見当たらないな…。 #shinsen21

2010-09-18 23:40:23
関悦史 @Seki_Etsushi

虚構性でダイナミックに広げたのでは「阿形の口出て銀漢や吽形へ」なんて宇宙の創めと終わりの「あ」と「うん」が向き合った仁王象の具体の向こうに掛け渡されている。 #shinsen21

2010-09-18 23:42:02
関悦史 @Seki_Etsushi

そういやそうですね。「初雀来てをり君も来ればよし」も恋ではないのかな。大勢での飲み会みたいになってしまいそう。 @umemina しかし、恋の句が見当たらないな…。 #shinsen21

2010-09-18 23:43:36
梅﨑実奈 @umemina

ちょっと田舎でドアに「金返せ」とか筆文字の貼り紙がある家とかがあるのを数度見たことがあって、そんなことも頭に浮かびました。 RT @Seki_Etsushi 「借金や」は実体験がよりも漱石あたりが土台になっている歴史趣味的な句の系統なのかもしれませんが。 #shinsen21

2010-09-18 23:44:14
関悦史 @Seki_Etsushi

それはこわい。相子さんは長野県飯田市か。その辺でもあったのかな。 @umemina ちょっと田舎でドアに「金返せ」とか筆文字の貼り紙がある家とかがあるのを数度見たことがあって #shinsen21

2010-09-18 23:47:39
関悦史 @Seki_Etsushi

恋に限らず自分の感情とか我とかが世界から分離してそれ自体として詠まれているのがあまり見当たらないですね。基本は外界の写生で外界の景物自体に師事するように謙虚に貪欲に正面から向かい合っていてそこから独自の肯定感が出てくるのが読んでいて快いのの原因でしょうか。 #shinsen21

2010-09-18 23:54:23
梅﨑実奈 @umemina

なんとなく、恋とか死(これは詠んでるけど)とか主観が入りやすいテーマをどう詠むかをもっと見てみたいと思いました。やっぱり描写の力で主観も極致まで持ち上げていくんだろうか。 #shinsen21

2010-09-18 23:56:18
関悦史 @Seki_Etsushi

その辺は謙虚さなのか何なのか、自分のことを詠んでもしょうがないという感じなのかも。 @umemina なんとなく、恋とか死(これは詠んでるけど)とか主観が入りやすいテーマをどう詠むかをもっと見てみたいと思いました。 #shinsen21

2010-09-18 23:59:38
梅﨑実奈 @umemina

そういう意味では「一滴の我一瀑を落ちにけり」は珍しい一句なのに、でもこれが題になっているという。 RT @Seki_Etsushi 恋に限らず自分の感情とか我とかが世界から分離してそれ自体として詠まれているのがあまり見当たらないですね。 #shinsen21

2010-09-19 00:01:02
関悦史 @Seki_Etsushi

滝に吸い込まれそうな感覚を全身で受け大ぶりで巧緻なレトリックで一気に滝を表す方にウェイトがかかった句なので、その意味では相子さんらしいのでは。 @umemina そういう意味では「一滴の我一瀑を落ちにけり」は珍しい一句なのに、でもこれが題になっているという。 #shinsen21

2010-09-19 00:05:10
関悦史 @Seki_Etsushi

0時回った。主催者もいなくなってしまいましたが、甲斐由起子さんの小論とあと好きな句を。 #shinsen21

2010-09-19 00:06:49
梅﨑実奈 @umemina

確かに。小論でいうところの「万物の生への共感」と「哀感」ですね。 RT @Seki_Etsushi 滝に吸い込まれそうな感覚を全身で受け大ぶりで巧緻なレトリックで一気に滝を表す方にウェイトがかかった句なので、その意味では相子さんらしいのでは。 #shinsen21

2010-09-19 00:08:45
関悦史 @Seki_Etsushi

小論は俳諧・古典・諧謔・俗にスポットを当てていますがそれらの要素と写生眼との相関に今回読み直して目が行きました。 #shinsen21

2010-09-19 00:10:29
関悦史 @Seki_Etsushi

あと恒例の好きな句でも挙げましょうか。 #shinsen21

2010-09-19 00:11:35
中村 安伸 @yasnakam

#shinsen21 失礼しました。好きな句をあげておきます。「春水として隅田川大曲がる」「摘みくれて秋草殊にゑのころの光(くわう)」「阿形の口出て銀漢や吽形へ」「白雨や愉快愉快と池鳴らす」

2010-09-19 00:15:15
関悦史 @Seki_Etsushi

「襖絵の黄金(くがね)鎮もる秋の昼」の豪奢さもいいけど「ゴールポスト遠く向きあふ桜かな」の現代的静けさとか「茫茫と海月重なる桶のなか」の濁酒じみた濃さもよいという、並べてみると幅がありますね、改めて。 #shinsen21

2010-09-19 00:17:03
梅﨑実奈 @umemina

好きな句はたくさんありますが、「火星にも水や蚕の糸吐く夜」「蔦のひげ吸盤あまた家吸ひぬ」「背泳ぎのひとりは曲がり進みをり」 #shinsen21

2010-09-19 00:21:59
中村 安伸 @yasnakam

とりあえず〆させていただきます。途中抜けてしまって失礼しました。@Seki_Etsushi @umemina ご参加いただきありがとうございます。今回ご都合のあわなかった方も、追加のご発言をいただければ幸いです。 #shinsen21

2010-09-19 00:22:36
梅﨑実奈 @umemina

(つづき)「夏逝くや壜に半透明の影」「ゴールポスト遠く向きあふ桜かな」など。とにかく圧巻でした。読めて満足です。ありがとうございました。 #shinsen21

2010-09-19 00:23:58