名前の話
- lotus_sodoh
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名前……と言っても親から頂戴するソレではなく、言葉遊びで俺達が使う名前の話だ。 俺の号が素堂ってのは、フォロオしてくれている皆は知っているな。号と言うのは俳諧等を発表する時などに名乗る名で、横文字にするとペンネエムと言った所か。桃青……宗房の「芭蕉」「桃青」もそうさな。
2013-06-25 21:36:42この号、もちろん自分で考えて言い出す場合もあるが、必ずしもそうとは限らん。趣味趣向や癖、格好や身分と言った当人の特徴がそのまま通称となる事もあるのだ。 俺はココでは素堂とばかり名乗っているが、今日庵や其日庵なんて庵号も有る。
2013-06-25 21:37:51蓮池の主翁、と少しばかり照れる様な言い回しも有った。俺は蓮が好きでよ、深川に蓮の池を持っていたからと付いた呼び名だ。分り易いだろう?(笑) 因みにこのツイッタアアイデイの横文字も、門下の若いのに訊ねて蓮と言う意味の言葉を教えて貰って使っている。ロオタス、と読むそうだな。
2013-06-25 21:39:53他には、桃青の門人に杉風と呼ばれていた男が居た。あの『おくのほそ道』にも名が出るから、聞き覚えの有る者も居るだろう。彼は鯉屋と言う屋号の魚問屋でよ、鯉屋杉風だの鯉屋市兵衛だのと呼ばれた。今の世に残る本などの内、コイツの系統で伝わっている物が「鯉屋物」と称されるのはそう言う理由だ。
2013-06-25 21:41:06それから桃青の門人でもう一人有名所と言えば、曾良か。曾良こそ『おくのほそ道』と聞いて思い浮かべる者が多いだろうな。曾良の俳号は出仕していた伊勢長島藩を挟むように流れる木曾川と長良川に因んだそうだ。それぞれの川の名から一字ずつとって併せた、と言う訳だァな。
2013-06-25 21:42:44あとはそうさなァ、先に挙げた二人からはグッと知名度が下がるだろうが俺達の一派に百庵と言う号の男が居た。俺の門人であり、親戚筋でもある。サテ百の庵と書くこの百庵だが、何故こんな名かと言えば、引越しばかり繰り返していたからだ。捻りも何も無いやなァ。(笑)
2013-06-25 21:43:28まァ何だ、俳人ってのは言葉で諧謔を楽しむ生き物だからよ、凝って面白い号は多いのだ。かと思えば驚く程単純な渾名がそのまま号になった様な者も居る。また、同じ人間でも違う号を使い分けている事も少なくない。それぞれの詠んだ作品を追うのも良いが、その名について考えてみるのも楽しいと思うぞ。
2013-06-25 21:46:12尤も、物書きが名付けに凝りだすと止まらないのは何も俳人に限った話ではないだろうが。 ……俺が言い散らしてしまうより、自分で知った方が面白い事も有ろう。余りポイポイと例を挙げるのは止しておこう。(笑)
2013-06-25 21:48:55と、ここまでが名前の話。
この夜はツイッタアに知る顔も多く、少し遊ぼうかと思い立ったのがここから先だ。
かの俳聖サマサマ松尾稲荷大明神。俺がいつも呼ぶ「桃青」の俳号だが、由来が有る。とある人物に依るのだが、誰だか分かるか? ……知っている者には簡単過ぎる問いだろうが、まァ小手調べの様なモンだ。
2013-06-25 21:56:37稲荷大明神と戯れてみたが、桃青を稲荷にした神社は実在するぞ。「芭蕉稲荷神社」で調べればすぐに分かる筈だ。
松尾稲荷神社とは別だから注意してくれな。
芭蕉稲荷神社の近くには深川芭蕉記念館が有る。桃青について知りたい者は訪ねてみると良いんじゃァないか?
……と、蛇足はこの辺りにして。
問答遊びの答えは考えたか?
サテ、問いを投げたままにしておくのも収まりが悪い。閃いた者も大分ある様だが一応書いておこう。 号は青蓮居士、詩仙こと李白だァな。「床前看月光 疑是地上霜 挙頭望山月 低頭思故郷」の『静夜思』辺りが知られているか?
2013-06-25 22:45:04桃青と漢文の話になったついでに一つ自慢話もしよう。(笑) 俳諧について桃青の才は多くの人が認めるモンだったが、俺が桃青より長けていると言えたのは漢籍を読む力さな。何度か師となった事も有るのだぞ。ココにいる桃青(@basyo_tw)が俺を素堂先生なんて呼ぶのはその辺りが理由だ。
2013-06-25 22:59:05桃青の作品の中には漢詩文の調子を取り入れた物も有るよな。その片棒……とまで言っては自惚れ過ぎか、少なくとも一枚噛んでいる程度には俺も関わっているのだぜ、としておこう。
2013-06-25 23:01:53