福井信蔵さんのシグマのブランドディレクター退任のお知らせ
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ブランドディレクター退任の報告
みなさま、ご報告があります。私(福井信蔵)は、先月末をもって、シグマのブランドディレクターを退任しました。SD14のデビューからDP3 Meriillまで、SIGMAのブランディングを手がけさせて頂きました。大変貴重な経験を積ませて頂き心から感謝しております。
2013-07-07 00:26:20これまで僕を支えて下さった方々に、この場で心から感謝を申し上げます。ありがとうございました。これからは、シグマのカメラとレンズを愛する一人のシグマファンとして、みなさまと共に、写真を撮ったり、写真の難しさを話しあったりして行ければと思っています。
2013-07-07 00:30:31ブランドディレクションの振り返り
ブランディングの始まり(「SD14」のデビュー期)
シグマからSD14のブランディングのお話を頂いたとき、僕はシグマという会社のことをまったく知りませんでした。正直言って三流のサードパーティという認識しかありませんでした。でも、山木社長と話しているうちに、この会社は絶対に社会にもっと理解されるべきだと思ったのです。
2013-07-07 00:35:08今は亡き山木会長が「これしかない」と判断されたFoveonという画期的なテクノロジー。その原理を知り、SD10を手に、写真を撮り現像して、本当に驚きました。その時の驚きは「これはすごい!」の一言に尽きます。しかし当時のカメラメーカーは画素数で勝負していました。
2013-07-07 00:40:19シグマという会社を、どのようにブランディングして行けば良いか。自分の中でその結論を導き出すのに数ヶ月を要しました。そして出した結論は、「カメラカテゴリーにおける、まったく新しいポジションの開拓」でした。
2013-07-07 00:43:22知られていないのなら、思い切ったメッセージを出そう。アンチテーゼだ。「あなたのカメラは、すべての色をキャプチャしていると思い込んでいませんか?」というメッセージ。そうしてシグマのブランディングは動き始めました。
2013-07-07 00:45:11「DP1」デビュー期
さらに画期的な「DP1」がデビューします。デジタル一眼レフカメラの持つパフォーマンスを、そのままコンパクトに収める、というコンセプトを具現化しました。今の「ハイエンドコンパクト」というカテゴリーを切り開いたのはDP1。これはいずれ歴史がその価値を証明することでしょう。
2013-07-07 00:50:06僕はそのDP1から、山木社長の依頼もあって、自らカタログの写真を撮るようになりました。DP1はパリで撮影しました。ISO100で開放でF4です。ベータ機のむずかしさの前に、そもそもDP機の初代ですから、とても苦労したのもいい思い出です。
2013-07-07 00:53:50実際に多く方がシグマのカメラを購入し始めた頃 (「DP2」の登場頃)
シグマのカメラが注目を集め、実際に多くの方が購入し始めたのはDP2からでした。DP2のカタログはインドネシアでロケをしました。バリ島では、目がキラキラと輝く子どもたちとの出会いが強く記憶に残っています。
2013-07-07 00:57:35DP2のカタログは、セイケさんの眼にも止まり、最後のDP3 Merrillの仕事にも繋がりました。それほどにDP2という小さなカメラは、その小ささから想像もつかない「ものすごい写真」を撮ることができるカメラでした。
2013-07-07 00:59:40SD14からSD15に進化したとき、ちょうどDP1xが発売される時でした。DP1xはイタリアでロケを行いました。ミラノ、ベネチア、フィレンツェ、ローマとDP1xで撮り、そのままNYCに移動してビル・サリバンというアーティストとSD15の写真を作りました。
2013-07-07 01:03:45「SD1」の時代
そしてSD1の時代が来ます。桐島ローランドさんとベータ機でテスト撮影を行いました。その結果は、当時の桐島ローランドさんのメイン機だったEOS5を遥かに越える結果でした。彼と一緒にスタジオで「すげー!」と唸ったのも思い出です。
2013-07-07 01:06:33その結果を見てSD1の撮影のために、桐島ローランドさんには最高のスタッフィングをしてくれました。モデルも最高のモデルです。素晴らしい写真を撮ることができました。レタッチは一切なしで印刷し、自分でも驚くような素晴らしいものができました。
2013-07-07 01:10:01しかし、シグマはSD1で失敗しました。価格設定です。70万という値付けは、どう考えても無理がありました。買えるわけがない値段が設定されました。正直、その時の挫折感はとても深いものがありました。でも、それでも、maroさんや蝦名さんのように、買ってくださる方がいたのです。
2013-07-07 01:11:40あの無茶な値段で、もうシグマのデジタル一眼レフカメラは終わったと思っていたのです。でも買って下さった。そして「すごい!」と写真をアップしてくださった。とても励まされました(ありがとうございました)。そうしてMeriill世代へと繋がったのです。
2013-07-07 01:14:10Merrillセンサーの時代
そしてMeriillセンサーの時代が来ました。SD1 Merrillのカタログも、桐島ローランドさんにお願いしました。メキシコ、チリ、ペルーと中南米を駆けまわってもらいました。予算がないのでアシスタントなしです。でも唸るような写真が深夜にDropboxにアップされました。
2013-07-07 01:18:50そして。とうとうMeriillセンサーがDPシリーズに搭載されることになりました。恐ろしいカメラになる。その予感は的中しました。なぜならレンズが専用設計だからです。モロッコに行く直前、渋谷でテストした時に鳥肌が立ってしまいました。
2013-07-07 01:21:18DPのMerrillシリーズは、標準レンズのDP2 Merrillからスタートしました。モロッコの砂漠とノマドのテントを見つけた瞬間の喜びが忘れられません。開放で撮っているのにビシっとくる感じは、他のカメラでは絶対に味わえないものです。
2013-07-07 01:27:54