小島秀夫監督「シリーズ物、続編」

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小島秀夫 @Kojima_Hideo

ゲームでのシリーズ物、続編物は小説でのシリーズとはかなり異なる。ゲームシステムか世界観のみを継承したものがほとんど。もしくはスピンオフもの。主要人物の物語を時系列的に追いかけて説明したサーガものは少ない。また原作物でない限り、制作者は毎回違うクリエーターが引き継いて作っている。

2010-09-23 16:35:55
小島秀夫 @Kojima_Hideo

創作者はシリーズ物において毎回、前作を凌ぐ物語を用意する。キャラクター達に壮絶な体験を準備する。一話完結の刑事ドラマでもない限り、キャラクター達は過酷な宿命に向かっていく。続編を重ねる毎にエスカレートしてゆく。回帰者のあとがきで北上次郎氏が述べたようにシリーズ物にはピークがある。

2010-09-23 16:44:20
小島秀夫 @Kojima_Hideo

シリーズ物はキャラクター達のドラマのピークを超えたあたりで輝きを失う。後は単なる続編となってしまう。だから手を変え品を変え、さらなる試練や立場を与え続けなければならない。アティカス・シリーズはそれを続けた稀有なシリーズである。だから前半と後半はまるで違う物語、世界観になっている。

2010-09-23 16:49:34
小島秀夫 @Kojima_Hideo

こうやって毎回ピークを与え続ける物語はやがて終焉を迎える。再び最初のトーンに戻すわけにはいかないからだ。アティカス・シリーズもミレニアムも然り。同じ主人公で尚且つ、ピークを上がり続け、変わり続ける続編物には終わりが必ず来る。MGS4での、ソリッドの壮絶なる終焉が必然だったように。

2010-09-23 16:59:39
小島秀夫 @Kojima_Hideo

実はMGS2で「愛国者達」という巨大な存在を登場させた時点でメタルギアはピークを迎えた。当時はそこでシリーズを終えるつもりで創った為だ。その後、続編を熱望され 思いついたのはどちらかというとS・ハンターのスワガー・シリーズに近い。ソリッドを描けないのなら、その父親を描くしかない。

2010-09-23 17:31:37
小島秀夫 @Kojima_Hideo

そういう事です。“@nknsytk: @Kojima_Hideo 俺みたいな何にも分からない餓鬼が言うのはおこがましいかもしれませんが、そういうことを考えた上で毎回作品が出来上がる度に、今はこれ以上の物は作れない。という意味で続編は作らないと言っているんですね。”

2010-09-23 17:35:51
小島秀夫 @Kojima_Hideo

ゲームでのシリーズ物はハリウッド映画に近いでしょう。シリーズ通しての原作者は不在、様々なクリエーターがバトンを預かり、様々な世代が引き継いで作ります。原作物であっても契約上は、IPの権利は企業が有しているからです。だからこそ続けられるのです。Risingは始めて業界標準なります。

2010-09-23 17:51:47
小島秀夫 @Kojima_Hideo

MGSは僕が産み出した物であるが、僕の持ち物ではない。だからどういう形であれ、ファンがいる限り、MGSは創られる。僕が業界を去ろうが、この世を去ろうが、他の人気定番シリーズと同じ様に。ハリウッドに映画化権を与える際に「続編権」が必須となる。これは原作者に関係なく続編を創れる権利。

2010-09-23 18:22:14