中野剛志氏の「反・自由貿易論」を読了した元部下の感想まとめ

うさみのりや ‏@zettonu @cocoa_maemae 短い期間でしたが一応元上司です。 うさみのりや 続きを読む
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宇佐美典也(本物) @usaminoriya

中野剛志氏の「反・自由貿易論」を読了したので感想をtweetしとこうかな。 http://t.co/M5FLjGP8Ip

2013-07-22 17:39:24
宇佐美典也(本物) @usaminoriya

【書評:反・自由貿易論①】結論から言えば「やっぱこの人スゲーな」っていうところ。全体のトーンは「自由貿易が経済成長を促すというのは単なる思い込みにすぎない。完全な自由貿易を進めることはむしろ経済的にマイナスである。世界はグローバル化よりも国際化を進めるべき」というところ。

2013-07-22 17:45:37
宇佐美典也(本物) @usaminoriya

【書評:反・自由貿易論②】個人的にも「自由貿易すなわち善」という風潮に対しては違和感を感じていたので、「国家はグローバル化を所与として受け止め推進するよりも、民主主義の庇護者としてそれに対峙すべき」という主張には「うんうん」と頷いてしまった。

2013-07-22 17:52:20
宇佐美典也(本物) @usaminoriya

【書評:反・自由貿易論③】ここからは内容に入るが、自由貿易を擁護する「比較優位論」に関して、その前提とされている<①完全雇用、②資本が国を超えて移動しない、③労働は国内産業間で自由に移動する>等の条件が非現実的で、「そもそもグローバル化を想定していない」と一笑に付している。

2013-07-22 18:01:08
宇佐美典也(本物) @usaminoriya

【書評:反・自由貿易論④】続いてアメリカの経済学論壇でも、資本移動の国際化が経済成長に必ずしも寄与しておらず一方で経済を不安定化させていることや、現在の自由貿易協定が知財や安全規制といった本来各国の政府にゆだねる領域にまで範囲を拡大していることに批判が集まっていることを紹介。

2013-07-22 18:06:52
宇佐美典也(本物) @usaminoriya

【書評:反・自由貿易論⑤】さらに「イギリスが自由貿易で発展した」という主張に関しては、イギリスは保護貿易的政策で国内の工業を確立した後に、諸外国が工業化しないよう自由貿易に転じて「はしごを外す」戦略に動いた。その結果イギリスは発展したが、周りの国が発展したわけではないと主張。

2013-07-22 18:09:46
宇佐美典也(本物) @usaminoriya

【書評:反・自由貿易論⑥】その例として「イギリスとポルトガルが自由貿易を始めた結果、イギリスは工業国として発展したが、ポルトガルはいつまでもワインの特産地として甘んじることを強いられた」ということを挙げている。日本以外のアジアやアフリカが発展できなかったのも同じことである。

2013-07-22 18:12:46
宇佐美典也(本物) @usaminoriya

【書評:反・自由貿易論⑦】このように絶対的ドグマである「自由貿易」を大義名分に他国の成長機会を奪ったり実質上支配したりすることを「自由貿易帝国主義」と最近では呼ぶらしい。TPPも自由貿易というと誰も反論できなくなるので、それを前面に押し出して裏の意図を達成するという取組。

2013-07-22 18:16:56
宇佐美典也(本物) @usaminoriya

【書評:反・自由貿易論⑧】キーワードとして「ハイパーグローバリゼーション」なる概念を上げている。これは「国内政策>国際貿易」としていたGATTがWHOに変質するなかで顕在化したもので 「国際貿易>国内政策」、すなわちグローバル化を善と考えて、各国に制度改変を迫っていく考え。

2013-07-22 18:20:56
宇佐美典也(本物) @usaminoriya

【書評:反・自由貿易論⑨】ただWHOだと加盟国が多すぎて一律のルールを作るのが難しかったので、ハイパーグローバリゼーションの主戦場は2国間での協定を締結するFTAに移り、さらにそれが発展してNAFTAやTPPなどの地域間協定へと発展した。

2013-07-22 18:26:12
宇佐美典也(本物) @usaminoriya

【書評:反・自由貿易論⑩】TPPでもジェネリック医薬品の普及を阻害するために治験データや薬に関する知的財産で国内規制の変更を迫るような条項があり「国境なき医師団」が、これでは救える命が失われる、と抗議をしているとのこと。本来こういった制度は国内で論議すべきではないか。

2013-07-22 18:28:25
宇佐美典也(本物) @usaminoriya

【書評:反・自由貿易論⑪】「アジアの成長に乗り遅れるな」というようなことをいう人がいるけれど、2000年代のアジアの発展はアメリカに過度に資本が溜まり消費が活性化して、そこに通貨水準を抑えた中国が輸出するグローバルインバランス構造が支えていた。それが虚像だったのは周知のとおり。

2013-07-22 18:34:29
宇佐美典也(本物) @usaminoriya

【書評:反・自由貿易⑫】それを考えると、グローバル化による資本移動の自由化こそが世界経済不況の原因だったのだから、むしろ政治には「グローバル化を制御する」ことが今経済的には求められているはず。なのに現実には逆の方向に政治が動いている。

2013-07-22 18:37:02
宇佐美典也(本物) @usaminoriya

【書評:反・自由貿易⑬】こういった問題の背景にあるのは、国際交渉の主眼が関税から非関税障壁に移り、サービス分野が対象となって専門化することでグローバル企業が国際交渉の肩代わりをするようになったことがあるとのこと。今は政府とグローバル企業は完全な癒着関係にある。

2013-07-22 18:40:25
宇佐美典也(本物) @usaminoriya

【書評:反・自由貿易⑭】国際的な企業の都合が国内政治を振り回すようになったのだが、政治がそれに抵抗する意思を失い始めている。かつて日米繊維交渉のときは必死に政治が不利益を受ける団体を説得に回ったが、今では農業は「抵抗勢力」の一言で片づけられている。政治がその機能を放棄している。

2013-07-22 18:43:40
宇佐美典也(本物) @usaminoriya

こんなところでまとめはやめよう。別に私は中野氏の意見に100%賛成というわけではないのですが、結構共感するところは多かったです。皆さんもぜひご一読を。

2013-07-22 18:44:47