6)どんな表現をしてもそれが「他人の作品」になってしまう呪縛のなかで井出は制作・展示をしなければならない。それに対する反抗として彼は自分の作品内で「奥村の作品」に対する批評を試みる。「フランケンシュタイン」の比喩や、手法の模倣や、「私信」的な形式によって。
2013-08-04 07:20:157)しかし井出がどんなに奥村の裏をかこうと懸命に反抗してみても、その努力も含めて全てが根こそぎ「奥村の作品」へと回収されてしまう。なぜならば奥村が仕掛けたそもそもの構造がそうなっているからである。彼は井出の表現の「上位概念」として存在する。まさに「神」のように。
2013-08-04 07:21:088)自分は以前奥村の作品の特徴を、他者の経験や作品を奪わずに自作の素材とすることだと書いた。しかし本作ではまさに他者の作品を「奪うこと」そのものが作品のテーマ、いや作品の「本体」となっているのである。井出の作品や展示を「奪うこと」が今回の奥村の「作品」なのである。
2013-08-04 07:21:479)結果として井出が奥村の意図から逃れようと奮闘すればするほど奥村の残酷さ、無神経さだけが際立つと結果となる。しかし重要なのは、それが奥村の個人的資質に由来する「残酷さ」ではなく、ひろく「作者」全体へと還元できる「残酷さ」であることだろう。
2013-08-04 07:22:4210)だからはっきり言って作品の後味は悪い。割り切れなさばかりが残る。自分だったらこんな形のコミュニケーションを他者に強いたりはしないぞと思う。しかし、だ。例えば俺が今まさにしているように他人の作品についてあーだこーだ書くこの行為に、その「奪い」の要素が無いと言えるのか?
2013-08-04 07:23:3111)確かに奥村の井出に対する仕打ちは「酷い」。しかしその「コミュニケーション」の在り方は、多かれ少なかれ「作品」をめぐるあらゆるコミュニケーションに付き纏うものなのではないだろうか? つまりそれは「作品」という概念が孕む「呪い」なのではないのか。
2013-08-04 07:24:0612)ただやや卓袱台返し的になるが、実は今回の「井出の作品」のなかには、確かに「彼自身の表現」だと思えるものもあったのだ。それが奥村に対する反抗とはまた別の位相にある、無意識的な領域で為される表現であったことは、なによりも特筆すべきことであるように思われる。
2013-08-04 07:25:04あ、紛らわしい書き方でした。チグハグな字幕だったので、もはや隣の部屋から聞こえてくるフランケンの鼻歌?をアテレコ的に翻訳しているようで。 “@oqoom: え、翻訳がついてるんですか? “「私をとりまく世界」 井出くんいつものようにめっちゃ喋ってましたけど…!けど…!あの翻訳…
2013-08-04 07:31:26今回、僕は展覧会広報における作家クレジットとして「奥村雄樹(井出賢嗣)」を選んだ。でも「括弧」という記号で本当に良かったのか、ずっと引っかかっている。 http://t.co/8JRj1lEuUM
2013-08-04 07:32:30@aikokogallery そうなんですね。僕はまだ見ていなくて、英語が使われていることもアイココさんと水野さんのツイートではじめて知りました。九月に見るので、楽しみにしております…
2013-08-04 07:33:28@oqoom そうなんですか!もしこの英語字幕が奥村さんのものだとしたらなんて巧妙なんだろうと唸りました。お二人の関係性というレイヤーが増えたことで、井出作品としてまた一つ面白くなってると思います。
2013-08-04 07:43:35@oqoom 逆さにした「井出賢嗣(奥村雄樹)」でも内在化した「神」のようなニュアンスを感じて今とさほど変わらない気がしますが、例えば「奥村雄樹→井出賢嗣」や「奥村雄樹井出賢嗣」だったら現在成立している作品の前提は崩れる気がするので、意外と括弧は大きな要素かもしれませんね。
2013-08-04 07:48:25@drawinghell そうですよね。僕の意図を的確に示すなら(僕が作った構造が実際に強いている関係は措いて)、本当は並列(たとえばスラッシュを使うなど)がベストだったのではないかと思っています。
2013-08-04 07:51:35@drawinghell でも最初に、TWSから(に)海外のレジデンスに(から)派遣された作家の展示という枠組みに沿おうと思って、展覧会(広報)の作家クレジットとしては僕をメインにしなきゃ、と思ったりして。
2013-08-04 07:52:17@oqoom でもそれは井出さんによって上手く活かされていると思いますよ。結果的に奥村さんは「悪役」的になってますけど(作品中に実に嫌な感じたっぷりで奥村自身さんも登場しますw)
2013-08-04 08:00:54@oqoom 思い返してみると今回の作品、「井出さんの作品」の側に属する要素も意外と余韻として多く残っているんですよね。彼の声とか。多分それが構造的には「救い」の要素になるのだと思います。非常に興味深く見ました。
2013-08-04 08:02:04@drawinghell 今回こころみたことは、見るひとの反応を飲み込みながら(?)成長していくものだと思っていたので、ツイートをいただき嬉しかったです。
2013-08-04 08:10:18@oqoom もしかして井出さんの作品を知ってて選んだのか、ばっちり演出なのかもと想像させるような余白があるところは、奥村さんらしい作品でもあり。字幕がかわいい・・最後ちょっと笑います。
2013-08-04 08:13:25なんというか…「憑依」? RT @oqoom: 今回、僕は展覧会広報における作家クレジットとして「奥村雄樹(井出賢嗣)」を選んだ。でも「括弧」という記号で本当に良かったのか、ずっと引っかかっている。 http://t.co/zUDNXtJpTr
2013-08-04 08:25:19というわけで、奥村雄樹さん⇔井出賢嗣さん双方怨念たっぷりのラブレター。ある意味セカイ系。なんかもう一回見たくなってきました。→http://t.co/zUDNXtJpTr
2013-08-04 08:49:36