♭2　前奏曲 ♪ Lives go on

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エバー・ラスティング・アロー ミストルティン編 第十八話　壊縁♪～ホワイトのショータイム～インディヴィジュアリスツ・エイム～ ♭2　前奏曲♪ Lives go on #evlst

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～2005～ ―浅空家。　勇矢の部屋。 勇矢が裕岐を部屋に入れた。 既に用意していた飲み物を差し出す、と代わりに菓子を渡された。 箱を開けてみると、勇矢の好きな菓子だった。 「それで…今日は何を見る？」 隣に座らせた裕岐に尋ねる。 一体、今日は何の鑑賞会をしようか。 1

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「じゃあこれで」 裕岐がＤＶＤを選んだ。 「僕の…セレクションか」 「勇の名作選は、どれもこれも、テーマとか面白いもん」 勇矢の父の映像アーカイブの半分くらいは二人とも見た。 その為、最近はテーマ縛りの傑作選を見ることが多い。 2

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思えば２号ヒーロー初登場回、同じ話数縛り、夏のギャグ回、など十通り以上見た気がする。 先週は主人公の新フォーム獲得回。 怪人の能力やモチーフなどのマニアックな縛りもあった。 そもそもアーカイブにはまだ未視聴の物もそれほど少なくは無い筈だ。 …だが今は最近の作品を観たかった。 3

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「…適当に選んだがこれはつまり」 「…総集編特集」 特撮の総集編回を数話合わせた、いわば総集編の総集編である。 「まあいいか」 選んだ以上、取りあえず観るしか無さそうである。 だがどうして作ったのだろう、と言いたくもなる。 裕岐は床からリモコンを取って押した。 4

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―『うおりゃああ！』 怪人の古傷を攻めたヒーローが飛び込んで蹴り、着地する。 こんな新撮シーンが入っているが、総集編である。 しかも一作品に三度も総集編がある。 これだけで制作現場の切迫感が感じられる。 序盤で予算半分を使ったという評価が長年信じられてしまった一因でもある。 5

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「やっぱ２話の教会炎上で予算の半分使っちゃったのがなぁ」 役者の冗談からの都市伝説を、二人を含む当時のファンの多くが信じていた。 「主役がアンチだとか未だに信じてるアホは死んで欲しいわ」 「コレ見ながら死ねとか言うか？勇･･･」 呆れた、という顔で勇矢を見る裕岐。 6

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一回目、二回目、そして冬特番を兼ねた三度目の総集編… …一区切りがついたので休憩に入る。 翌年の作品は総集編が無く、 次は一時間スペシャルを見るからだ。 この冒頭数分が総集編に近い構成である。 平成４・５作目と今年の６作目もまだ総集編が無いので、同様の対応をしている。 7

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「にしても本当強いよなコイツ」 「直撃しても無傷とか反則だな」 「あの鯨の奴も穴開いたもんな」 「他のの強さを持ってってるな」 …ぼと。 怪人の犠牲者の体が崩れ死んだ。 警察所属のヒーローが交戦する。 だがこれまで直撃すれば一般怪人を確殺してきた彼の武器が通用しない。 8

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激闘。 恩師との再会。 暴走する力の制御。 弱いゲストキャラの活躍。 各々の見せ場を抑えた上での主役の新形態。 一時間ＳＰという特撮史上でも稀な回ゆえの力の入用である。 「まあ名作なんだけど、折角リンクさせた映画が時系列的におかしなことになってるのがなぁ…」 「またかよ」 9

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無意識に裕岐は額に手を当てていた。 勇矢は毎回その点を愚痴る。 時系列的に解消されている筈の、ある人物の障害が、再発している、という点をしつこく。 『彼の中で新たな力が目覚めつつあるゆえの現象』と自己解決しているくせに、それを追承認させたがるのだ。 流石にウザかった。 10

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「分かったから、映画で一度無理に覚醒した力がＴＶで完全に目覚めたんだろ、分かったから次行こう次」 二人分の空コップを持ち、強引に部屋を出る。 麦茶を入れて戻ると、愚痴が続く前に次を再生した。 今度は普通の総集編回だが、主人公が半年前の過去に飛ばされる、という捻りがある。 11

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彼は人が死ぬ運命を変えようとするが、未来の記憶は時々しか思い出せない。 苦労して僅かに運命を変えても大勢に影響出来ず、元の歴史と同じに人が死んでいき何も出来ない。 二倍になった死の重み。 だが最後に彼は無数のメモ書きを残す。 運命を弄んだ元凶にせめて一撃浴びせるために。 12

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「勇…お前、本当にこんなことが起きたらどうする？」 「中二病乙ｗ」 「ウザ！」 「……まあ、そうだな、お前がこうなったらこのメモと同じキーワードを言えよ。なんか協力するから。僕もそうする」 「そうだな、それいいな」 「中二病乙ｗｗ」 「やめろこの！」 13

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―その後も鑑賞回を続ける間に、夜７時になった。 七橋家では結希も手伝って６人分の夕食を作ってくれている筈だ。 「やべ、遅れる！」 二人は急ぎ、外に出た。 隣家へ移動する僅かの間に勇矢は、 先程、ＴＶで聞いたヒーローの言葉を何となく思い返していた。 14

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エバー・ラスティング・アロー ミストルティン編 第十八話　壊縁♪～ホワイトのショータイム～インディヴィジュアリスツ・エイム～ ♭2　前奏曲 ♪ Lives go on　終わり ♭3　幻想曲 ♪ One wound　へ続く #evlst