#3　幻想曲 ♪ ワン・ウーンド

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（その後も 5～6月には練習試合や強敵との戦い、要塞攻略、仲間との出会い、傭兵との戦い、等をこなし、 7月には分岐点を乗り越えたが、その後入院する羽目にもなった） （～17話）

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（ダメージや後遺症を引きずりながらも、決戦に向けて体を鍛え直し、リハビリをする勇矢） #1 （だが一方で街には新たなる脅威『誓約者』が迫り、フォームドとの戦いでさらに負傷もしてしまう。そして傷を癒す勇矢に…何者かが迫る！） #2　#3

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（現在投稿中の第十八話は） （現代編の # パートと） （過去編の ♭パートを並行する形でお送りしている） （連続的かつ現在進行形の　# パートに対し♭は断続的である） （#のみ ♭のみ　で別にお読み頂くほか、並行して読んで頂くのもお勧めしたい）

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（本日の演目予定： 6:40～8:00前⇒ #3 パート 9:00～11:00 ⇒ ♭3 パート 夕刻　　　 ⇒　#3 ♭3残り）

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…ベッドの下に、誰かがいる… 14

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玄関は三重鍵と簡易バリケードを時間稼ぎに、センサー類を張り巡らせてある。 窓に障壁は無いが、その分センサーが倍。 通気口・上下水道・壁も同様な措置の上で、魔術撹乱を施してある。 通れても確実に探知される。 物体を透過する術式でも簡単には通れない。 15

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侵入自体は常人にも可能だが、それを気付かせないのは上級魔術師でも不可能に近い。 粒子や虫への変化や、隠密魔術…全て対策済みだ。 残るは空間転移くらいだが、まず無い。 空間跳躍はゲートと呼ばれる、ワープポイント間でしか使えない。 霊峰や大河などの大魔力スポットがそれだ。 16

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無論、ここにゲートなど無い。 そして自由跳躍を出来るものは少数に限られ、彼等にしても座標がｋｍ単位でずれるのもザラだ。初歩的な結界だけで容易に阻止出来る。 17

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残る可能性は、考え付く限りでは二つ。 一つは超高精度な隠密の使い手。 だがベッドの下にいると悟らせる時点で可能性は低い。 敵にしては勇矢がまだ生きているし、そんな味方に心当たりはない。 そしてもう一つは…。 いや、よそう。 考える必要もない。 分かっている。 18

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言ってしまえば８年来の……知り合い以上の相手だ。 敵ではない。 惚れた女だ。 今も惚れている。 惚れられている。 別れた訳でも無い。 ずっと相思相愛だ。 少なくとも殺されはしない。 傷付けられたりも、しない。 なのに。 怖くて震えが抑えきれない。 19

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向こうが出てくる前に 　こちらから声を掛けるべきだ。 　　とは思ったが、声が出ない。 　　　出した瞬間に死ぬかのような錯覚。 　　実際に殺されたりはしない。 　それ以外に何をするかは 分かったものでは無いが。 20。

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　　　　　「勇矢…こんばんは」 　　　　「うヒィィッッ！？」 　　　先手を取られていた。 　　「あ…あ…ああ…」 　気付けかぬうちに 大きく震えていた。 　ベッドの支柱すら 　　ガタガタと揺れる。 　　　「こここんばば」 　　　　震えが止まらない。 　　　　　「こん…ばんはは…」

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「おるぅあっっっっ！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！」 勇矢は殴った。 自分の頬を。 右手で。 壁や天井は科学・魔術両面から防音を施してはあるが、流石に騒音になったかも知れない。 叫び声だけで窓が揺れた程だ。右手は砕け、顔の半分強がひしゃげた。 22

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凄まじく痛い。 ＵＡＲの大師程度なら２・３回は確殺出来る威力だ。 むしろ死んでもいい位のつもりで殴った。 惚れた女に怯え、傷つけるような男など死ぬべきだからだ。 自傷行為でも、結局は彼女を傷つけることになるが、 どの道傷つくのなら自分も痛みを負わねばならないと思った。 23

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「勇矢…ごめんなさい…まだ、私が怖いのよね…分かってはいたけど…」 ベッドから這い出た悲痛な声が、勇矢の足のほうに移動する。 本来なら泣き出してもおかしくないが、その気配さえ感じさせないのは、 自分のせいながら流石だと思った。 「す、座って」 24

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この部屋には椅子はない。 缶詰や水、包帯、薬と荷物だらけで床すら最低限の通路しかない。 必然的に勧める先は、同じベッド。 「大丈夫？」 「…ごめん大丈夫じゃない。けどこのままって訳にも行かないし…いっそ…だだだ抱き着いてくれる？」 震えたまま腕を広げる。 25

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間違っても大丈夫な態度ではない。 その姿を見ただけで、彼女は来たことを後悔した。 見舞いのつもりで衰弱させてどうするのか、と。 だが今更帰ったら却って彼を傷つけてしまう。 だから言われたとおりに抱きついても良いのだ。 良い筈だ。 良いの？ 「こここ来い！」 26

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勇矢が気が付くと、女が抱き着き唇が重ねられていた。 先程、探知を無視して部屋に侵入したのと同じ彼女の能力を使用したのだろう。 彼女の素早さは尋常では無く、一秒間に勇矢を百回は殺せる程だが、 『コレ』は単純な速さとは次元も意味も違う。 27

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…三時間後。 二人の唇はようやく離れた。 日はとうに深く沈んだ。 暗い部屋をカーテン向こうから月と星が幻想的に照らす。 女は、何かを思う目付きでそれを見つめた。 「いや…ちょっと…長過ぎるだろ……ミーティアさんや」 外れていないかを確かめるかのように、片手を顎にやる。 28

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9：00 ←←←←　♭　←←←←

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エバー・ラスティング・アロー ミストルティン編 第十八話　壊縁 ♪ ～ホワイトのショータイム～インディヴィジュアリスツ・エイム～ #3　幻想曲 ♪ ワン・ウーンド

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…三時間後。 二人の唇はようやく離れた。 日はとうに深く沈んだ。 暗い部屋をカーテン向こうから月と星が幻想的に照らす。 女は、何かを思う目付きでそれを見つめた。 「いや…ちょっと…長過ぎるだろ……ミーティアさんや」 外れていないかを確かめるかのように、片手を顎にやる。 28

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彼女の名は『ミーティア・Ｐ・クロスロード』 ヴァンパイアの血族の一人にしてその長。 上級の上の、最上級ヴァンパイアの更に頂点に立つ。 自身の戦闘力に加え、戦略・戦術、指揮、調練… …その全てで地球圏最強に千年間君臨する規格外の存在である。 29