孫泰蔵さん「絵画の読み方」を読んで考えた事のまとめ

孫泰蔵さん(@taizoson) が、「絵画の読み方 増補改訂版」を読んで考えた事のツイートをまとめました。 amazon http://amzn.to/9ZasHi
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taizoson.eth @TaizoSon

今朝はハッとしてグッとくることがあったのでここに記述しておこうと思う。

2010-09-28 08:35:58
taizoson.eth @TaizoSon

20世紀初頭、現代美術の基調を規定し、後世に大きな影響を与えた最も重要な芸術家の一人であるマルセル・デュシャンというアーティストがいる。

2010-09-28 08:36:09
taizoson.eth @TaizoSon

ピカソが伝統的な描画様式を破壊して次々に新しい手法を提案していったのに対し、デュシャンはさらに根源的に芸術に疑義を突きつけ、異議を申し立てた。その最もセンセーショナルなエピソードは、便器を「泉」と題して美術展に出展したことだろう。http://yfrog.com/cc3vcj

2010-09-28 08:40:00
taizoson.eth @TaizoSon

芸術を根本から否定するようなこの「作品」を通じてデュシャンは、既製の工業製品であろうと、それを見る人間の視線のありようによって「芸術」となりうることを証明しようとした。美術評論家の西岡文彦氏はデュシャンの功績について次のように解説している。

2010-09-28 08:40:14
taizoson.eth @TaizoSon

西岡「それではすべてのものが作家の言いようで『芸術』になってしまう、というのが当時の批判の論拠だったが、事実、続く時代がデュシャンの『反・芸術性』に芸術的な価値を認めるに従い、『反・芸術』の宣言だったはずの『泉』は、かえって芸術の領域を際限ないまでに拡大してしまったのである。」

2010-09-28 08:40:26
taizoson.eth @TaizoSon

西岡「今日、私たちがドアのノブのような工業製品であれ、木の板のような自然物であれ、その色や形がおもしろければ純粋な「オブジェ」として楽しめるような感受性の自由は、実はデュシャンを筆頭とするアーティストたちの反・芸術としての営為の賜物なのである。」

2010-09-28 08:40:36
taizoson.eth @TaizoSon

考えてみれば、現代人の我々は西岡氏の言うとおり非常に自由な感受性を持てており、それをあたりまえのように思っているが、過去のどの時代の他の美術作品を見るにつけても、我々のこの感覚は昔の人々にはなかったものであることに気づかされる。

2010-09-28 08:40:45
taizoson.eth @TaizoSon

デュシャンはどのようにしてこのような鋭い視座を持つに至ったかといえば、彼のこうした姿勢の根底に芸術そのものへの批評精神があり、しいては常識や思慮分別といったデュシャン自身を含め自分たちの中にある概念や思い込みへの懐疑があったからであろうと想像する。

2010-09-28 08:40:55
taizoson.eth @TaizoSon

僕がデュシャンに魅かれるのはこういうところだ。勝手な解釈かもしれないが、自分に巣くう価値観を否定し、思い込みを破壊し尽くしたところから再構築していった彼の姿勢にたいへんな感銘を受けるのだ。そして僕も彼のようにものごとを見つめ、既成概念に囚われることなく生きたいと最近ますます思う。

2010-09-28 08:41:16
taizoson.eth @TaizoSon

今まで積み上げてきた物質的なもの、社会的なものなどすべて捨てても構わない。人生の第二章にむけていま新たな一歩を踏みだすと心に誓おう。もちろん、人に迷惑をかけない形であらねばならないが、少なくとも精神だけからでも自由の翼を持って飛び立とう。

2010-09-28 08:41:26
taizoson.eth @TaizoSon

西岡文彦著「絵画の読み方 増補改訂版」(洋泉社)を読んで今朝はそんな決意を深めた。

2010-09-28 08:41:37