悪夢の病院二夜目

隣の人が必ずあなたの味方になってくれるとは限らないでしょう?
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😺 @kanibarizumu893

~プロローグ~ ふと、夜中に目が覚めた。何処かでパンッっと乾いた音がした気がする。何の音なのか、外の暗闇に目を凝らしてもわからない。相変わらず私の肌は白いままだ。喉が乾いた。確か…近くに自動販売機があったはずだ。豆腐はゆっくりと体を起こしベットから降りる。悪夢はこれから始まる。

2013-08-05 21:46:13
😺 @kanibarizumu893

何も知らずに豆腐は杖をとり歩く。 今夜は月が美しい。 第二夜

2013-08-05 21:46:19
😺 @kanibarizumu893

@t0fu_kinu54 】主人公:豆腐 二夜の主人公。体が白く脆くなってしまう謎の病にかかっているため、動くには杖が欠かせない。三日前から病院に入院しているため、病院の構造事態はあまり理解していない。

2013-08-05 21:46:28
😺 @kanibarizumu893

この病院には妙な噂がある。今日の昼間のことを豆腐は思い出していた。新しい患者が入ったことを聞き付けた少女たちが豆腐の所へと挨拶を兼ねてやって来た昼間のこと。翠凜という少女が言った「昼間はね、普通の病院なの。でもね夜になると、出歩かない方がいいよ?危ないから」そんなことを言っていた

2013-08-05 21:46:46
😺 @kanibarizumu893

「どうして?」豆腐が問う。翠凜は肩をすくめた。近くにいた駄鳥が代わりに答える「なんていうか…意識が不安定になるの。だから出歩かない方がいい」豆腐にはその意味がまるでわからなかった。 そして今夜。何故か豆腐は目を覚ましてしまっていたのだ。乾いた喉を潤すために部屋を出る。

2013-08-05 21:46:57
😺 @kanibarizumu893

確か、この階の端に自動販売機があったはずだ。廊下の奥を見る。まさしく一寸先は闇。何処までも続く漆黒と、艶やかな白い床のコントラストが不気味であった。豆腐は杖を使いながらゆっくりと暗闇の中を進んでいった。

2013-08-05 21:47:06
😺 @kanibarizumu893

数分間歩くとようやく自動販売機が見えた。ジジッと音がしては消えかけて。なかなか年期が入っているようだ。 何を飲もうか…そんな事を考えていた矢先。突然声をかけられた。 「やぁ。こんばんは」 声のした先に目を凝らすと自動販売機の横のイスに誰かが腰かけていた。

2013-08-05 21:47:21
😺 @kanibarizumu893

@ci_off 】善人:しおん 病院に入って数年目になる患者。どんなに食べ物を食べても体を作り上げる栄養素にはならないという奇病を抱えている。本人はビスコが好きらしい。その為足が弱くあまり動けないようだ。

2013-08-05 21:47:34
😺 @kanibarizumu893

豆腐は少し驚いたものの挨拶を返した。しおんはニッコリ笑う。自動販売機の明かりがしおんの痩せた肌に光る。それがまた、少しだけ不気味に見えた。しおんは座ったまま身動きを取ろうとしない。ふいにしおんがほっそりとした手を中に出しこっちに来いと指先を動かした。

2013-08-05 21:47:49
😺 @kanibarizumu893

豆腐はしおんの近くの椅子に腰掛けた。「頼まれごとを聞いてくれないかい?」としおん。「頼まれごと?」「そう。頼まれ事。簡単なことさ、僕の杖を、取ってきて欲しいんだ」よく見るとしおんの足にはギプスがはめられていた。「君が私を運んでくれる訳にもいかないだろう?」

2013-08-05 21:48:02
😺 @kanibarizumu893

豆腐は頼まれ事を聞き、ナースでも呼んでこようかと思った。しかし、しおんの目にはどこか断れない雰囲気が漂っている。しおんはじっとこちらを見つめている。豆腐は重い空気を断ち切るかのように口を開いた「わかりました。杖を…持ってくればいいんですね?」しおんは付け足した「ビスコも食べたい」

2013-08-05 21:48:15
😺 @kanibarizumu893

しおんの頼まれ事をまとめると、《昼間ナースに取り上げられた杖を取ってきてほしい。杖には『伊月』と書いてある》との事だった。 どうせ眠れないのだ、少しの散歩がてら豆腐は病棟を回ることにした。「宜しく頼むよ。私、疲れてて動けないからさ」

2013-08-05 21:48:38
😺 @kanibarizumu893

「君が俺のために杖を持ってきてくれるならきっと、私が力になるよ」しおんはいつの間にかピカチュウを抱いてそんなことを呟く。 ナースステーションはここの反対方向だ。豆腐は再び暗い闇のなかに杖と身を投じた。

2013-08-05 21:48:47
😺 @kanibarizumu893

暗闇にも目が慣れてきた頃。豆腐はナースステーションにたどり着いた。しかし、ナースは誰一人として居ない。ナースに会わなくては杖の場所がわからない。試案していると壁のナースコール表示板の一室が点滅している。二階の三号室のようだ。豆腐はもしかしたらナースはここにいるかも知れないと

2013-08-05 21:49:03
😺 @kanibarizumu893

考え、203号室へと向かった。 ここは三階。階段を降りて三号室を探す。部屋に着いた。トントンとノックをすると「はい」という返事。豆腐はゆっくりと扉を開ける。そこにはカーテン越しに少女が本を眺めているシルエット。豆腐は声をかけた「あの…ナースの方はいらっしゃいませんか?」

2013-08-05 21:49:19
😺 @kanibarizumu893

少女は本から目を離さないまま答えた「えぇ。こちらにいらっしゃいますよ?そちらからでは見えないのでは?もっとこっちに来てナースさんとお話したらいかがですか?」優しい口調で少女は答える。少女の手前には白いカーテンがかかっているため、体を起こしているということしかわからない

2013-08-05 21:49:29
😺 @kanibarizumu893

豆腐は何かおかしいと思いつつ、そっとカーテンに近づく。カーテンをめくろうとした次の瞬間。少女が先にバッとカーテンをめくる。そこには真っ赤なかえり血を浴びた少女と大量の血を吹き出して死んでいるナースがいた。少女の手にはハンマーが、握られていた。

2013-08-05 21:49:41
😺 @kanibarizumu893

@b_lovers1011 】悪役:和葉 体の間接がおかしな方向に曲がってしまう奇病患者。普段は静かに本を読んでいる大人しい患者。しかし、今日の昼間にナースのつくもと珍しく口論をしていた。

2013-08-05 21:49:47
😺 @kanibarizumu893

@guardionlv12 】その他:つくも 福田精神病院に務めるナースの一人。若くしてもキビキビと働く様子が人気のナースだった。しかし和葉にハンマーで撲殺されてしまう。

2013-08-05 21:49:54
😺 @kanibarizumu893

豆腐はあまりのことに絶句する。和葉から反射的に離れた「ねぇ…貴方は…本を読む?」和葉の目は月の光に照らされてまるで闇夜の猫の様に鈍く光る「このナースさんね、私の読書を邪魔したの。だからね、殺しちゃった。頭蓋骨が割れてるわね、きっと」そんなことを平然と呟いた。

2013-08-05 21:50:36
😺 @kanibarizumu893

「仕方ないのよ」少女は続ける「仕方ないの。仕方ないわ。だって、この病院がそうさせるんだもの」少女は笑う。豆腐は病室から飛び出す。扉を閉めて自室に戻ろうとした。しかし、杖で歩くのはとても難しく今にも転びそうだ。そうこうしているうちに背後から扉の開く音。そして和葉の声。

2013-08-05 21:50:45
😺 @kanibarizumu893

「待ってよ…ナースさんにお話があったんでしょう?三人でお話ししましょう?私、うるさいのは苦手だけど」ペタッペタと音をたてて和葉はすぐそこまで迫ってくる。三階の自室に戻る暇なんて何処にもない。豆腐は一か八かのかけにでた。一番近くの扉のドアノブをつかむ。素早くあけて中に入る。

2013-08-05 21:51:08
😺 @kanibarizumu893

和葉は豆腐が何をしようとしているのか気がついたようでこちらにもうスピードで走ってくる。ペタペタペタペタペタペタペタペタペタペタペタペタペタペタ気色の悪い裸足の音が近づく。豆腐が扉の鍵を掛けたのと同時にガツンッ!という和葉が扉に寄りかかる音。ドアノブを何度もガチャガチャと鳴らされる

2013-08-05 21:51:19
😺 @kanibarizumu893

ガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャと絶え間なく響く。するとふいに後ろから声をかけられた。気がつくと女性が立っているではないか。「ひっ」と悲鳴をもらしかけた豆腐の肩を女性は優しく押さえた。「落ち着いて。私はあなたの味方よ。これを持って」

2013-08-05 21:51:27