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1980年代末のことである、米本社から日本法人に対し以下のような問い合わせがはいった。「目下策定がすすんでいる国際規格原案10646において、当社日本語キャラクタセットと一対一対応していない文字があるのではないか。調査の上回答されたし」
2013-07-13 01:40:58![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
じつのところ、その問題について既に日本法人は検討を終えていた。そこで次のような回答をした。「現在の提案においては、当社日本語キャラクタセットに対し足りない文字は32文字である」。しかし日本法人では、この問題を重く受けとめる人は少なかった。
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当時、カナダ支社には世界中の言語処理を統括している研究部門があり、同時にここがWG2にカナダ代表として参加していた。本社はこの部門に対し32文字への適切な対応をおこなうよう指示をくだした。
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この部門の担当者は、今までの経緯から、日本ナショナルボディは公的標準に集中しており、そこに入らないベンダー外字には冷たいことをよく認識していた。この状況では、32文字をそのままWG2に提案しても、日本NBは拒絶するだけだ。
2013-07-13 01:42:39![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
中でも強硬派として知られたのが日本の印刷会社から出ていたある委員だった。そこでカナダ代表は、WG2会議でその委員がトイレに立った隙に、かねて用意の32文字の提案書を素早く配布、鬼の居ぬ間に採決に持ち込み、まんまと可決に成功したのだった。
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この話のポイントは、例の32文字について、じつのところ日本法人は事実調査以外の関与はしていなかったということだ。別の言い方をすると、互換性についてより深刻に捉えていたのは、現地法人よりもむしろ米国本社だったと言える。
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