第二大罪大戦《第一の狭間》【戦闘フェイズ1】
→ 「…だから」 ポンッ、手元に小さな破裂音と煙をあげて小さな『花束《ブーケ》』が現れる。 「君を笑顔にさせるために、これをあげる」 手に現れたそれを少し離れた少女に向けて投げる。 「『コドモ』に笑顔をプレゼントするのが、『クラウン』だからね?」 それは、かつて自分が憧れたもの。
2013-08-05 22:32:52大丈夫、例え攻撃でも、嘘でも。 「そう」 敵、ではなかったのかもしれない。本当は。ただ、大罪であっただけで。 正直怖い、受け取りたくは無い。けれど、本当に嘘じゃないなら。 「同じ座として、少しだけ信じてあげる」 声は震えたまま。 片手で花束を受け止めた。
2013-08-05 22:39:15「…うん、ありがとう」 受け取ったのを確認すると、少年は笑顔になる。 「さて、じゃあ『ごめんなさい』だね? 僕の負けだ、認めるよ」 少しだけ大きい声で。 少年の声を確認したかのように少女の後ろには一つだけ扉が現れた。
2013-08-05 22:53:18「そうね」 なぜ彼が謝罪に拘ったかは分からない。けれど。 「私の勝ちね」 一歩、さらに後ろに下がってから振り返る。少女は焦ることなく扉へと入り。 パタン。 軽い音を立てて扉は閉まった。 後に残されたのは価値観を貫いた憤怒だけだった。
2013-08-05 22:55:54「…はぁ」 ため息、一つ。 「…駄目だなぁ…負けちゃったよ」 痛む身体を無理して動かし、その場でくるりと回る。 「…けど、アヴァリスが、オルグイユが…皆が認めてくれた『紅の憤怒《ボク》』だけは守り通したよ」 …だったら、これでいいよね?→
2013-08-05 23:05:09→ 「…………」 「さぁ!本日お集まりいただいた観客の皆々様方! 本日の演目はこれにて終了でございます!」 空間が崩れる。 狭間の崩落が始まった。 「ご覧のとおり! 大罪同士の殺し合い…私のような道化には身に余る役どころでございました!」 客席に向けて、礼。→
2013-08-05 23:07:01→ 「が、しかし! 我らが紅の罪華であれば、この道化がいなくとも見事にその大輪を咲かし必ずやこの世を紅く染め上げてくれることでしょう!」 瓦礫が舞台に落ち始める。 ははっ、サーカスのテントの中だってのに、どこからこんな瓦礫が出てくるのやら。→
2013-08-05 23:08:49→ ねぇ、オルグイユ。 これでよかったよね。 君が、優しいと言ってくれた『僕』は…守れたよね? だから、僕はもう…悔いはない。 このまま、『紅の憤怒』として、逝けるよ。 舞台の中央で礼を続ける少年。 空から降り注ぐ瓦礫は、とうとう少年の上からも。 そして――― →
2013-08-05 23:10:31