第二大罪大戦《第七の狭間》【戦闘フェイズ1】

紅(ルージュ)は傲慢、オルグイユ(@Ssace_sin) 黒(ノワール)は強欲、ギーア(@ikjkr_sin) 狭間に出で遭い、交叉する。
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エッシェ @ikjkr_sin

向かってくる獅子をもう一度避けようとするが、蹴り遅れて右脚の皮膚が裂ける感覚。 着地し足元を見ると、裂けたズボンの間からは少し抉れたようにできた傷が覗く。 少年を一瞥しにっと笑いながら、ふらりと立ち上がる。 ーーむしろ、これでいい。

2013-08-05 22:13:18
エッシェ @ikjkr_sin

先ほどと同じように、しかし先程よりも多い数の針を出して全て獅子へと投げる。 そして自分が投げたエモノを見つめ、 「転移」 静かに言い放つ。瞬間、針は対象までの距離を一気に詰めた。まるで、瞬間移動のように。

2013-08-05 22:14:28
『   』 @Ssace_sin

獅子が噛み付く事に失敗して、それでも僅かに抉ったのをみやる。ああ少し傷付けてしまったかな。後での一手間が増えてしまった。手の中のもう一つの、硬貨を模したそれを指先に、 刹那獅子が硬直する。動きが『止』まる感触、視線を向ければ大量に突き刺さった細い針。 転移、と言っていたっけ。

2013-08-05 22:31:28
『   』 @Ssace_sin

「なら、そうしたら」 手を伸ばす。獅子へ。動かなくなった獅子に繋がれた細い糸がきり、と音を立てて高い天井へと伸びる。獅子の身体が硬直したまま、浮かび上がって。 「お返し」 指差す。強欲を。『ハリネズミ』がそれに追随して、肉薄しようと。

2013-08-05 22:50:21
エッシェ @ikjkr_sin

獅子が動きを止めたのを見て、にやと口角をあげた。 しかし、麻痺したはずの獅子の身体がふわと浮かぶ。そして次の瞬間、『ハリネズミ』が僕の方へ迫ってきて。 既のところを避けて服がまた破れる。危なかった。 しかし何故、と少年を見やると、天井まで繋がる糸がきらりと光を反射する。

2013-08-06 05:05:45
エッシェ @ikjkr_sin

あれを、切らないと。どんな形であれ無効化しないと、意味がないのか。 「……でもとりあえず、僕の針を返してね」 ハリネズミの胴を蹴り上げようと右脚を振る。それと同時に、転移、とまた呟いて針を自分の手中へ収め直す。

2013-08-06 05:07:07
『   』 @Ssace_sin

獅子が跳ねる。蹴り上げられたそれを見、ふむ、と少年は唸った。針が出たり無くなったり、人形は刺された所で問題はないけれど、こちらに来たら厄介かな、と。 針の戒めから解放された獅子は自律的に動き始める。だが一度張った糸は戻らないし、流石に人形も、道具とはいえ壊れてしまえばそこまでだ。

2013-08-06 19:00:14
『   』 @Ssace_sin

「……『それ』が君の『罪科』だね?」 獅子は静かに、唸り声一つ上げず——そこまで『造って』いないだけだが——ギーアとの距離を測る。掌の中のもう一つの、硬貨を模した円盤に彫り込まれたのは蠍。……もう少し。 「ちょっと似てるかも。ね?」 言いながら首を傾げる。片耳の菫が揺れた。

2013-08-06 19:00:15
エッシェ @ikjkr_sin

みし、と蹴りが獅子へ入る。しかし傷を負った右脚への負担も並ではなくて、痛みに顔を歪めた。 ――でも、これで印は付着した。 少年の手には硬貨、それが発現されればこちらの分が悪い。その前に、 「あの獅子、壊れて『欲しい』なあ」 奪って、壊す。自分の血で汚れた獅子の胴を凝視して、呟く。

2013-08-07 00:05:05
エッシェ @ikjkr_sin

少年の問う声。獅子が自分との距離を取っている隙に、今度はナイフを数本取り出す。 『似ている』という言葉に疑念を覚えて、ふと視線を獅子から少年へ移す。 首を傾げる少年の耳に、見覚えのある飾りがひとつ。 ――あれは、確か。 「っ、ははははっ」 込みあげる笑いがそのまま口から漏れた。

2013-08-07 00:07:29
『   』 @Ssace_sin

ぱん、と、まるで手を叩いたような乾いた音を立てて。 獅子の腹が割れる。中から白い綿が溢れ出す。少年は眼を細めてそれでも笑みは崩さなかった。 「……非道い事するなぁ。特製だったのに」 どこまで『できる』のだろう。思考して、けれどそれを遮る笑い声。疑問符が浮かぶ。自然、手は止まって。

2013-08-07 18:24:20
エッシェ @ikjkr_sin

乾いた音が、僕の笑い声に重なる。 顔を上げて少年を見る。最早獅子は眼中にない。 「いやあね、どこかで見たことあるなって思ったらさぁ」 指をさす。少年の耳にある、菫に向かって。 「それ、トレークハイトの罪飾り」 目を細め一段低くなった声で、静かに、そして強く言い放つ。

2013-08-07 22:40:53
エッシェ @ikjkr_sin

僕が最初、彼女から奪おうとしたもの。彼女は片耳にしかつけていなかった。 それが、その片割れが、彼の耳についている。 ――何の因果かは分からないけど。 「ね、オルグイユ。僕が君に何を望むか、最初訊いたでしょ?」 ――ここに、『在る』んだから。 「……なら、それも、頂戴」 ――奪う。

2013-08-07 22:55:25
『   』 @Ssace_sin

「——罪飾り」 鸚鵡返しにする。そう、そうか、と頷いて。片手を伸ばす、右耳のその小さな飾りを、指先で揺らす。 「これ?」 指差されたのに、少年はきょと、と疑問符を更に浮かべてみせる。これは、自分が、『自分』であると識った時から、ずっと身に付けているもの。一度も外した事の無い飾り。

2013-08-07 22:57:55
『   』 @Ssace_sin

欲しいのか。思考がゆったりと回る。なにか——何か、引っかかる、けれど。 「……そうだねえ、僕は君の『望み』を望んでいるけれど」 何故『もう一つの怠惰』のものを、自分が持っているのかは、分からない。けれど。 これは、 「——これは、あげない」 『失くしてはならない』もののひとつ。

2013-08-07 22:57:56
エッシェ @ikjkr_sin

「『あげない』?」 その言葉を聞いて、目を丸くしながら首を傾げる。 そうか、くれないのか。そっか。でもそれでもいいや。それなら。 「強奪(うば)うだけだね」 ふわり、と柔らかな笑みを浮かべた、次の瞬間。 「っあははははは!欲しい!欲しいなぁ!」 上を向いて、叫ぶ。

2013-08-07 23:26:16
エッシェ @ikjkr_sin

その顔に先ほどまでの笑顔なんて微塵もなくて。 「欲しい、欲しいな、どうしても欲しい、欲しいから。奪うね」 見開いた目と楽しそうに吊り上った口。そこから漏れるのは、呪詛のような『欲望』。 喋り終わると同時に床を蹴りながら、武器を投げる。 足は止めない。少年との距離を、詰めるために。

2013-08-07 23:27:00
『   』 @Ssace_sin

少年は、笑う。笑って、相好を崩して笑みを浮かべて。 「ようやく見えたね、『強欲(Gier)』。君のその『欲しい』という『罪科』の叫びが、『本当』なんだね」 手を伸ばす。こちらへと肉薄する姿、距離は近い。 「その欲深さ、ひとまずは大罪として認識してあげよう」 声は伸びやかに、低く。

2013-08-08 01:16:59
『   』 @Ssace_sin

床を踏みしめ、高くなった視界の中に『蠍』の大群を。 「その上で、宣言しよう、『黒の強欲(Gier)』」 琥珀で見据える。あと数歩、蛇の腕輪を剣に、掌に柄を。 「——『紅の罪華』は萼(うてな)、『傀儡の傲慢』。……喰われる事を光栄に思え、『黒(noir)』」 『青年』は、言い放つ。

2013-08-08 01:17:01
エッシェ @ikjkr_sin

声は低く、背は高く、髪は長く。 視界にとらえていた『少年』が、『青年』へと変化する。 けれど構わなかった。『強奪(え)られるもの』はきっと変わらないから。それで十分だった。 蠍の群れが湧くのが見えたが、僕の狙いは一点。 ――見据えた先の『紅の傲慢(Orgueil)』だけ。

2013-08-08 02:15:32
エッシェ @ikjkr_sin

「喰われることに誇りなんか感じない」 蠍の大群が僕を襲い、体の傷は増えていく。いくら血が流れ出てもその顔に苦痛の色はなくて、あるのは『笑顔』。 「君から得られることを、光栄に思うよ」 ナイフを構えながらだん、と床を強く蹴れば宙に浮いて、 「転移」 呟く。身体は、『青年』の背後へ。

2013-08-08 02:17:36
『   』 @Ssace_sin

蠍に仕込んだ毒は紛い物だ、本物のような効果はない。せいぜい足下がふらつく程度……『大罪』としての肉体がどれほど強度を持つものかは知らないが、多少なりとも動きが鈍ればそれで良い。 「紅が黒を喰らう事が、与えられる全て」 長い剣を握る。視線の先、姿が消える。気配は背後、避けはしない、

2013-08-08 15:53:52
『   』 @Ssace_sin

「その『全て』を以て」 身体を反転させる。迎え撃つ。黒曜石の甲冑のブローチを床へ転がして。 「——お前の『全て』にしてやろう」 来いと、笑う。

2013-08-08 15:53:52
エッシェ @ikjkr_sin

青年の首を狙った刃はそこに届かない。甲冑のブローチが発現して、鈍い音を立て金属同士が交わる。 態勢を整えようと飛び退くと、足元がふらついた。力が抜けて、しゃがみ込む。 「蠍、か」 一撃で死に至るようなものでなくて助かったけれど、毒があったのか。 迂闊だったな、と頭の隅で考える。

2013-08-08 21:45:13
エッシェ @ikjkr_sin

足に力を入れてふらりと立ち上がる。来い、と笑われるのを気配で感じて、こちらも口角が上がる。 「『全て』っていう響きは素敵だね」 言いながら、片手に針を用意する。もう片方は、本棚へ。 「けど、僕の本意じゃない」 本棚に自分の血が付いたのを確認し、針を投げながら叫ぶ。転移、と。

2013-08-08 21:46:51