ヴァレンテ『宝石の筏で妖精国を旅した少女』で、妖精国に誘われた少女セプテンバーは、自分が「特別な子ども」だから選ばれたのかと問う。作中ではそれに対する答は出ないし、この疑問がふたたび持ちだされることもないのだけど、児童文学においてこれは大きなテーマかもしれない。
2013-08-09 13:27:18いや、児童文学に限らず、自分は「特別」なのか「普通」なのか、「独自」か「類型」か、「オリジナル」か「コピー」かは、物語において――フィクションだけでなく実生活の物語も含め――しばしば切実な問題となる。
2013-08-09 13:27:45まあ、そういうことを気にすること自体が、近代的な病なのだけど。他人への嫉妬や羨望も、たぶんそこから発生する。
2013-08-09 13:28:35自我にまつわる近代的な病を、近代的な物語をかぶせて緩和するというのはしばしばやられていて、たとえば〔だれもが特別なオンリーワン〕なんてのがそれなんだが、それはせいぜい対処療法で、根本的な解決にはならない。
2013-08-09 13:34:20話がそれてしまったけど、マンガとかヤングアダルト小説とかで、「○○(主人公)は普通の高校生」などとわざわざ書かれていると、ちょっとげんなりする。物語の主人公は「普通じゃない」ものという思いこみがあって、あえて「普通」を強調するのだろうか。
2013-08-09 13:51:49自分と同じ普通だと感情移入できるのか。その程度なのか感情移入ってものは。 RT@officeshambleau 自分を特別と思っていない最近の若い読者が普通でない主人公に感情移入できないから読まないといったあたりが多くて、それへの対応と言うことではないのかと思ったりもします。
2013-08-09 14:37:39そんなものでしょう。感情移入なんてものは。 “@ShindyMonkey: 自分と同じ普通だと感情移入できるのか。その程度なのか感情移入ってものは。 RT@officeshambleau 自分を特別と思っていない最近の若い読者が普通でない主人公に感情移入できない//”
2013-08-09 14:43:15まあ、そういう程度の感情移入ってものが、いちばん重度の近代的病かもしれません。
2013-08-09 14:45:59でも、ぼくはマンガやラノベ方面には不案内だけど、「普通」を主人公にするなんて潮流は、もうちょっと時代遅れなんじゃないでしょうか? ヒーロー的な主人公、エキセントリックな主人公の、面白い作品がけっこう出てきているような気がします。それを歓迎する読者も多いのでは。
2013-08-09 14:53:11まあ、感情移入なんてヌルいことはどうでもいいんだ。自分が「特別」か「普通」か、言い換えると「唯一の存在」か、それとも「代替しうる任意の存在」かは、物語全体のなりたちを左右してしまう。
2013-08-09 15:02:12それは説得力ありますね。「じつは」ってところがキモですね。 RT@ymgsm 星敬さんがよくいわれるのは、//ラノベは等身大であると。ただしその等身大(ふつう、平凡)は、「じつは」秘めた力を持っていて//
2013-08-09 15:15:07@ymgsm よくわかりました。ありがとうございます。ちなみに、ぼくはラノベはほとんど読まないのですが、ヒーロー的・エキセントリックというのは、たとえばアニメの「とある科学の超電磁砲」の御坂美琴みたいな存在です。
2013-08-09 15:29:27@ymgsm こちらもアニメしか観ていない(しかも最初のほうだけ)のですが、それと対照的なのが「とある魔術の禁書目録」の主人公・上条当麻かもしれませんね。まさしく、冒頭時点で成績優秀スポーツ万能じゃなく大金持ちでも貧乏でもなく学園のアイドルが恋人でもない。
2013-08-09 15:32:43ファン交のラファティ企画のとき、「感情移入なんて読みかたはダメなんだよ、ラファティはそんなものと無縁なところも素晴らしいんだよ!」と、ぼくが威張っていたら、柳下くんが「ほんと? じゃあ、これは?」と取り出したのがOkla Hannali。
2013-08-09 16:17:18もとの野村さんの指摘「自分を特別と思っていない最近の若い読者……」が、おそらく10年以上前からの事情なので。 RT@funa1g 禁書の開始は10年近く前だし、超電磁砲も5年だかくらい前なので最近とか流れとかで語るにはちょっとサンプルとして問題あるようなないような。
2013-08-09 17:14:12@ShindyMonkey それはともかく「自分を特別と思っていない最近の若い読者……」という風にあったので、つい発言しましたが「最近」に限らず、主人公が「普通」のヤングアダルトがあって、それに共感されるのはもっと長いスパンで続いていることなのでは、という気がします。
2013-08-09 17:22:55@ShindyMonkey ただ、それとは別に主人公が自らの「普通」性をより強調するようになってきたということはあるのかもしれません。チェックが大変そうですが。
2013-08-09 17:24:30それは忙しい。それで、最近は「(いっけん)普通な・平凡な」主人公がいいとかのハヤリはあるんですか? もっとセグメント化されていたりするのかな。 RT@funa1g ライトノベルに関していうと五年前はもう最近ではない感じがありますね。レーベルが相変わらずポコポコ出てきますし。
2013-08-09 17:25:35すみません。コメントが入れ違いになってしまいました。 RT@funa1g ただ、それとは別に主人公が自らの「普通」性をより強調するようになってきたということはあるのかもしれません。チェックが大変そうですが。
2013-08-09 17:26:58@ShindyMonkey 印象論ですが、流行の内容はハーレムラブコメからハーレムファンタジーになってる感じがしますが、結局冊数がSFなどより圧倒的に多くて、一部を指すだけになりますね。売り上げ等で目立つとよく話題になるように思います。
2013-08-09 17:32:13@ShindyMonkey あと主人公像は、ファンタジーだからか「(いっけん)弱そうな」最強キャラというスラングでいうところの「俺TUEEE」が目立ってますね。欲望丸出しにみえて、悪目立ちしている印象です。もちろんそれは一部で「普通」な主人公とかも存在します。
2013-08-09 17:34:20@hosei_sf_ken 物語しか読んでいないひと、物語的にしか人生をとらえていないひとには、そう言ってもわからないかもしれませんが、法政くんは哲学の勉強しているので自力で考えつくのでは。それはぼくが哲学に期待しすぎているだけか。
2013-08-09 18:05:13物語的な文学観・人生観に対して、「現実はひとつだけ」を持ちだしても、おそらく解決に至らない。まあ、端から言えるのはそれくらいかもしれないけれど。物語は慰めになることもあるが、やっかいな桎梏でもあって、思考の枠組みから変えないと直らないかもしれません。
2013-08-09 18:13:06あ、なんか、べつべつのところから語りだしたのだけど、「特別/普通」な自分の話題と、物語的な文学観・人生観の話題が、どこか結びつきそう。いや、ぼくがとりあえず言いたいのは、物語にたぶらかれるのは危険だということだが。
2013-08-09 18:17:16大事なことなのでもう一回引用すると「これは読者がなしうる最悪のことだが、作品中のある人物と一体になったような気持になること。このような低い想像力は、わたしが読者に使ってもらいたくないものである」(ナボコフの文学講義)
2013-08-09 23:18:40