【twitter小説】イミルアの心臓#1【ファンタジー】
市長はさらにレバーを引き足で踏みつぶそうとする。 「観光客が、お前たちも忘れ物を取りに来たんだろう。させんからな!」 フィルとレッドは足を潜り抜け、通りを駆ける。 「手荒い歓迎だ。大人気だな」 24
2013-08-02 18:54:52遺失物の館は通りの突当たりにあった。たしかに鉄条網と鉄板のバリケードが築かれ完全に封鎖されている。 「ありゃ、行き止まりか」 ズシズシと巨人の足音が聞こえる。 25
2013-08-02 18:58:30「終点ですよ、お客様。地獄への下車にお忘れ物無きよう……」 フィルとレッドはバリケードに追い詰められた。目の前を塞ぐ機械仕掛けの巨人。籠の中で市長が狂ったような笑みを見せる。 「生憎俺らの旅は乗り継ぎ先が待ってるんだ」 26
2013-08-02 19:03:04市長はまたレバーを勢いよく引く! 巨人は両手を振り上げ、今度こそ二人を押しつぶすかに見えた。しかし一瞬の隙をついて、フィルは緑のマフラーを解き投げつける! 同時にレッドは高くジャンプし舞い上がる。 27
2013-08-02 19:06:52「何ッ!!」 フィルの投げた緑のマフラーは鳥籠の隙間から操縦室に入りレバーに絡みつく! そしてそのままそれを引いたのだ! 両手を振り上げたまま足を誤作動でじたばたさせバランスを崩す巨人。 28
2013-08-02 19:28:36「おりゃっ」 そこに飛び上がったレッドが鳥籠の上に蹴りを振り下ろした! フィルは緑のマフラーを手に戻しその場を離れる。巨人は大きく態勢が傾きそのままバリケードに衝突した。大きな音を立てて崩壊するバリケード。 29
2013-08-02 19:34:22薄暗い街にようやく静けさが取り戻された。市長は落下の衝撃で気絶しているようだった。巨人は完全に壊れており、蒸気があちこちから噴出している。レッドはひしゃげた鳥籠の上に涼しい顔で立っている。 30
2013-08-02 19:39:22「おーい、フィル。大丈夫か?」 「無茶しやがって」 フィルは離れた所から駆けよってきた。緑のマフラーは再び首に巻かれている。バリケードは壊され、館への道が開かれている。 31
2013-08-02 19:44:45「派手にやったな」 「邪魔されると本気になるタチでね。フィルもそうだろう」 「まあな」 巨人の残骸を飛び越え、二人は館の敷地内に入る。 32
2013-08-02 19:50:06