談志拾遺

立川談四楼 @Dgoutokuji

@idebuchi4950 @miki_add @oe_aMMitsu_ いい話です。志ん朝師が談志とウォッカを三本開けた翌日やりました。「カラセコ(屁)だと思ったら妙に熱くてね、まあシャワーを浴びたわけさ」 漏らし談義で矢来はそう告白。しかし弟子はいまだ認めません。美化運動。

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@noribiyori @idebuchi4950 @miki_add @oe_aMMitsu_ 確か美弥でウォッカを呷りながら「志ん生になっちゃえよ」「助けてくれる？」「口上やってやる」「頼む」といったやりとりがあった翌日のことだったのではないでしょうか。少し都合のいい記憶。

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@noribiyori @idebuchi4950 圓生脱退、三遊派設立騒動のことですね。談志は会長になりたかったのです。他ジャンルの芸人を引き連れ参入したのですから。結局新協会は空中分解、両者落語協会に戻り、志ん朝 涙の記者会見となりました。本当の話はどうでもようがす。テヘ。

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@noribiyori @idebuchi4950 志ん朝談志の脱退と出戻りは、協会に禍根を残し、古手理事の恨みを買いました。5年後、遺恨は晴らされます。真打試験において志ん朝談志の弟子が落とされたのです。私はそんなことをオマンマのタネに生きてきました。諸先輩の無茶に感謝です。

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@noribiyori 毎度お馴染みの美弥でしたね、それを言ったのは。私がいることに気づいて大慌て、「この兄さんは別だ、いろいろ教われ」 遅いよと思わず突っ込むところでした。でも船出十年は談志も不安だったのです。それが今年は三十周年、諸々ありますが、概ね懐かしいのは不思議です。

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作家がよくやるだろ、原稿用紙丸めて放るやつな。あれ、俺ねえんだ。談志がそう言い出した。「こうこうこうである。と書くわな。だけどどうも違う気がする。並の作家はそこで丸めるわけだが、俺は、今こう書いたが違っているかもしれないと書いて、本当は---と続けるんだ」ははァと私は平伏した。

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談志の連載は週刊誌が多かった。「師匠、六行ばかりこぼれてしまうんですが、どこか削っていただけませんか」「馬鹿ヤロー、そこを何とかするのがおめえの仕事だろ。活字を小さくしろ」 行数が足りない場合は「活字を大きくしろ」となり、毎週のことですから、とうとう編集者の胃に穴があいたそうな。

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酔ったのを幸いに尋いたことがある。「師匠、プロって何でしょう」と。談志はグラスを置き、腕組みをして言った。「下手でも堂々としてるのをプロと言う。これが定義だ」 ずいぶん楽になったのを覚えている。シャイを売りにするなとも言われたっけ。ナイジェリアのラゴスか、ロンドンでだったか。

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選挙となると入門翌年の参院選を思い出す。当時はまだ全国区、弟子は3台の選挙カーに分乗し、飛び回った。候補者の談志が最も大変だったろう、夜間の移動を余儀無くされたのだから。いや疲れた。左談次兄と二人でビール一本が飲みきれないぐらいに。しかし選挙は明らかな祭りで、実に面白かった。

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NHKBS談志ドラマの放送は参院選の後になるという。そらそうだ、談志は一期6年の参議院議員経験者であって、ドラマはどうしてもそこを避けて通れないからだ。談志役を小出恵介、中山秀征、田中ミン(さんずいに民)の諸氏が演ずるという。それぞれの談志像を創り上げていることだろう。楽しみだ。

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選挙カーから「八百銀さん、こんにちは」と屋号や店名で直接呼びかけたのは、談志が嚆矢であったろう。二階から手を振っての応援ありがとうとやり、赤信号で停まると、目に見えるすべての活字を読み上げ、「選挙には立川談志と書きましょう。ハガキには郵便番号を書きましょう」と郵便局の前で言った。

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談志は車に疎く、対向車のナンバーを律義に読み上げた。疲れると弟子にマイクが回り、私が「コロナ1600GTさん、こんにちは。コンテッサクーペさん、行ってらっしゃい」とやると目を剥いた。詳しいなおまえと。入門以来の初めての褒め言葉に、感激の笑顔を向けたら、無駄な知識だが、と言った。

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LFの談志円鏡歌謡合戦は伝説の番組だ。先日、当のディレクター塙宏氏から番組開始の経緯を伺った。当時LFにだけ円鏡師の番組がなく、塙氏に円鏡獲得命令が下ったという。スケジュール的には無理、さて誰の言うことなら聞くか。塙氏は親しい談志を搔き口説いたという。何と円鏡ありきであったのだ。

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談志円鏡歌謡合戦は、私の高3時に始まり、入門後は、付き人として現場に立ち会った。打ち合わせなしの凄まじい攻防であった。スタジオ入りした途端、いきなり始まり、両者とんでもないフレーズを際限なく繰り出した。当日の談志はピリピリして、メモを片手に唸っていた。円鏡師は円形脱毛症になった。

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談志円鏡の間に入った塙氏の苦労は絶えなかった。談志は翌年参院選を控え、円鏡師は神風タレント、両者ビッシリのスケジュール調整に追われた。そしてもう一つの難事業は編集だった。面白いのでみんな使いたい。しかし放送コードもある。歌謡合戦であるから曲も流さねば。塙氏はついに変調をきたした。

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「談四楼クン、僕が入院したの覚えているかい」もちろんです。「やり甲斐はあったけど、ストレスがねえ。で談志師匠が見舞いにきてくれて、申し訳ないと深々頭を下げて熨斗袋を差し出すんだ。いくら入ってたと思う？」驚くほどの多額だった。オレのカネだと思ったが、当時談志はまだ家元ではなかった。

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付き人時代、談志は電車賃と称し、150円くれた。ある日、マネージャーと二人、地方から帰る談志を羽田空港で迎えた。車に乗り込んですぐに談志が200円くれた。いつもより50円多い。礼を言った時、マネージャーの運転する車が料金所に停まった。「バカ、高速代だ」私はその場から消えたかった。

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東宝の楽屋に血相変えた円楽師(先代)が飛び込んできた。談志はどこだ、ヤローぶった切ってやる。てめえは弟子だな、談志を出せ。とそこへ談志が楽屋入りした。よお全さん、元気か。途端に相好を崩した円楽師、待ってたんだよ、話があってねと盛り上がった。この日、円楽師には気をつけようと誓った。

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参院選全国区追い込み、3台の選挙カーは東京に集結した。談志です談志です、助手席の白い手袋が談志本人です。赤信号で停止すると、人が群がり、握手握手。キャー、誰この人、違う。詐欺、インチキ。そっくりの声の主は談プだった。談志は選挙カーを掛け持ちし、窮余の一策はこうして破綻したのだ。

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参院時代、選挙における弁舌が鳴り渡り、談志への応援依頼は多かった。秘書として同道せよ、スーツ着用との命が下り、地方へ出た。立会演説会の控え室にいると、先生、大先生はどちらに？と関係者。は、大先生はただいまウンコをしておりますってヤな大先生だが、談志は聴衆を翻弄、笑わせ泣かせた。

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談志は街頭演説にも強かった。「投票日、空が晴れればドライブに行きたくなるでしょう。雨が降れば家でテレビを見ていたいでしょう。しかし10分、否5分、その時間を候補者にください。どうか花一輪添えたつもりで名前を書いてやってください。私は皆様の良識を信じます」花一輪が実に有効でした。

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応援弁士である大先生のギャラは法外なもので、それはにわか秘書の先生にも恩恵をもたらした。帰京し、頂いたものを開けてびっくり、本物の秘書に電話すると、取っておきなさい。早速私は溜まっている家賃を三つ払い、友人にとんかつを振る舞った。ビールを数本飲んだが、私の家賃は7500円だった。

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熊本に同道した。いきなり山奥に連れてゆかれ、梁漁に参加。その鮎を背ごし、塩焼き、鮎めしで堪能。もちろん酒も。二時間昼寝をしたいと大先生。どうぞどうぞと候補者。さあその晩の大先生が凄かった。千人の聴衆をお題話で引っ繰り返したのだ。ドカンドカンと受け、大先生は、技、神に入ると言った。

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旨い食い物を出す候補者は当選する。それが大先生の持論だった。東北に同道した。大先生、お食事は何を？ラーメンでも何でもいい。ラーメンが届くと大先生、バカか、ホントに持って来やがって。それしかないのでズルル。？？ 旨えな。はい、旨いです。それがまだ評判になる前の喜多方ラーメンだった。

立川談四楼 @Dgoutokuji

選挙を打ち上げ、運動員とスタッフは互いの健闘を讃え抱き合ったが、喉をヒューヒュー鳴らすだけで、声の出る者は皆無だった。談志は50人中の50位で当選し松岡克由先生となったが、落ち着いてみな声が出るようになった頃、ご苦労賃が弟子に出た。それは思わぬ額で、その時はケチではないと思った。