内藤正典氏（イスラーム地域研究、同志社大大学院教授）が語るエジプト、トルコ、サウジの情勢と相互関係

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最初、反同胞団勢力は、宗教と政治を切り離すべきだ、というような世俗主義支持と受け取れる批判をモルシ政権に浴びせていた。しかし、今の段階では、世俗主義など理解していないことがよくわかる。世俗主義vs.イスラーム主義の対立などではない。

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既存の諸国家体制を脅かす草の根イスラーム主義に対して、サウジの王政だの、エジプトの軍政だのが、「国際秩序を乱すのだから潰していいでしょ」と弾圧を公然化したということ。草の根イスラーム主義は、簡単に国境を越えて広がるから。

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今回は、トルコ政府だけでなく、ギュル大統領がかなり強いメッセージでエジプト軍による弾圧を非難。すでにエジプト一国の問題ではないと声明

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昨日、エジプトのキリスト教徒、コプト教会も軍政支持を打ち出した。マイノリティである彼らの思いは理解できる。しかし、こうしてクーデタによる軍政というものは、社会を分断し、憎しみを創出し、収拾できないまでに憎悪と暴力の連鎖を生み出し、収拾は軍にしかできないことを印象付ける。それが狙い

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だからこそ、「国民」の意思を受けた軍の政治介入などというものは、あり得ないのである。

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サウジがエジプト軍政を支持したことで、中東・イスラーム世界は二つに分裂か。カタル以外の湾岸アラブ諸国はサウジに同調。トルコは軍政の弾圧を激しく非難。

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エジプト軍政府、ムスリム同胞団を適法な措置で解散させると。愚かなことを。ナセル、サダト、ムバラクもしなかったことをシシはやろうとしている。ムバラクの独裁よりももっと酷い政権であることを露呈した。

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人民を弾圧するにあたって、エジプトのやり方は恐ろしく下手で野蛮。これだけ外国メディアが注視しているなかで、「我われは危険なテロリストと戦っている」と言い張り、エジプト政府側メディアは「テロとの戦い」というタイトルをずっと画面に出している。

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「テロとの戦い」とはアメリカがアフガンに侵略したり、イラク戦争を仕掛けたときの常套句だったが、エジプトの軍政は、黄門様の印籠のように「このタイトルが目に入らぬか」と批判勢力を恫喝。ある民族を殲滅しろという掛け声と同じレベルで危険なこと。ムスリム同胞団はテロ組織ではない。

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アル・ジャジーラはモスクに突入し銃を撃ち続ける治安部隊の姿を流している。ミナレットに立て籠もり、バリケードを築いている反クーデタ派の市民を執拗に追い詰めるエジプト軍。軍のクーデタというものが、何をもたらすか。これ以上の明示的な答えはない。

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日本政府はエジプトに対する全ての援助を停止すべきである。血塗られた軍事政権に、日本国民の税金を投入することは人道上許されないし、不公正である。

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どの国の外交官もそうだが、任国の上流階級との付き合いが中心である。研修生時代に、社会の底辺にある人々と接触する若い外交官は幸いである。その経験も持たずに、上流階級の感覚をそのまま受け入れてしまう人は多い。

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彼らは任国の社会のありようを知ることもなく、彼らの上流意識を少しでも満足させるべく、支配階級に迎合し、ODAを施すことで満足を得る。任国の高官も、ODAを食い物にすることで、己の地位と権力を確認する。恥ずべき政府開発援助をエジプトに対して、どれだけ続けてきたか。

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カイロ、ラムセス広場近くのフェタハモスク、状況がまだ不明。モスク内で銃撃している人物の映像は出たが、それくらいの犠牲者が出たのか。モスクから出た人たちが外で襲撃されたとの報道も。

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クーデタ支持派のエジプト市民のツイートを見ていると、モルシ政権への反発から復讐を果たしている満足感と、反クーデタ運動の市民をテロリストとして、攻撃を正当化するものばかり

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トルコ、エルドアン首相、エジプト軍事政権によるクーデタ反対派への弾圧を「国家テロ」と厳しく非難。同時に、イスラーム協力機構（OIC)に対しても、有効な圧力をかけないことを批判。サウジが軍政を支持していることへの怒り

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アズハルは、Islam is innocent from all he violenceと声明。それはそうだ。イスラームはイノセントだろう。だが、あなた方がイノセントだということにはならない。

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包囲されたファタハモスクには、トルコ国営アナトリア通信の記者が二人。刻々と情勢を伝えていた。ジャーナリストの鑑。トルコの強い非難に対して、エジプトは両国海軍の合同演習を中止すると発表。オバマの演習中止の腹いせにしては、たいした影響力がない。

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TRT ve AA muhabiri gözaltında http://t.co/hIH3sgaIVu @trthaberファタハモスクにいたトルコ国営通信と国営放送の記者は逮捕され刑務所に収容。国営アナトリア通信とトルコ国営放送は激しく抗議

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エジプト外相「トルコがエジプトに敵対的態度をとるのは、与党、公正・発展党の方針に反するからで、トルコはアラブ諸国への影響力を強めようとして失敗した」そのとおりだが、だからといってクーデタと市民への虐殺の言い訳にはならない。トルコ与党は軍のクーデタを生き抜いてきた政治家が中核にいる

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トルコがエジプト軍のクーデタを激しく非難するのは、今の与党の幹部たちが、過去にクーデタを経験しているから。首相のエルドアンは、イスタンブール市長時代に、イスラームを賛美するような詩を演説に引用したことが罪（世俗主義と国家不可分の原則に違反）に問われ刑務所に収監されている。