内藤正典氏(イスラーム地域研究、同志社大大学院教授)が語るエジプト、トルコ、サウジの情勢と相互関係
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大統領のギュルは、97年に当時連立与党だった福祉党(イスラーム政党)の国務大臣だったが、2月28日の国家安全評議会で軍幹部が首相のエルバカンに引導を私、政権が崩壊した「密室のクーデタ」を経験している。
2013-08-18 07:13:171998年には、福祉党が憲法裁判所から違憲により解党という命令を受けた。その後、99年にはイスタンブール近郊マルマラ海で大震災が発生、00年~01年には、外資が一斉に引き上げて金融危機、01年の9・11後、米国はNATO加盟国であるトルコに「自分たちの側」につくことを求めるが
2013-08-18 07:15:42トルコは戦闘参加を拒否。これが金融危機の引き金になったという説はいまだに根強い。NATO加盟国として治安維持にあたるISAF(国際治安維持部隊)には参加するも、軍規に従い、アフガン市民に銃口を向けず、装甲車に銃座も置かず、今日までタリバンによる襲撃を受けていない。
2013-08-18 07:17:30トルコ軍は、極端に「国防」に専念する傾向が強く、他国の戦争に介入する作戦には参加しない。イラク戦争のときは、すでにエルドアン政権だったが、米国の強硬な圧力にもかかわらず、議会で審議の末、参戦を拒否。NATOの一員として基地の使用を認めるにとどめた。
2013-08-18 07:19:41そのしっぺ返しが2006-7年にくる。イラク戦争では、北部のクルド人勢力が一貫して米国に追随。その恩賞に、大量の武器を供給された。それが、クルド自治政府からPKK(トルコ国内で分離独立を主張してトルコ軍と衝突を繰り返した武装組織)の手にわたり、激しいテロが起きた。
2013-08-18 07:23:21当時のブユクアヌト参謀総長は、テロの背後に「同盟国」がいる、と暗に米国を非難。その後、イラク領内への攻撃の許可を政府が出して越境攻撃に至った。ただしこの時も、法的プロセスは議会を通じて踏んでおり、軍の独断では攻撃できなくなっていた。
2013-08-18 07:25:22その前後から、エルゲネコン事件が明るみに出て、次々と軍幹部や世俗派のジャーナリスト、知識人らが逮捕、起訴されていく。軍は、このころから、シビリアンコントロールに置かれていったのである。
2013-08-18 07:28:24■ ■ ■ ■
トルコに居ながら、エジプト情勢を追っていると、時差が少ないので一日中テレビを見ることになってしまう。日本の衛星放送とちがって、アンテナさえ立ててしまえば、700以上の放送を受信できる。まったく玉石混淆だが、エジプトの国営放送も、アル・ジャジーラも入るから比較検討には役立つ。
2013-08-18 07:44:47あちこちのチャンネルを見回していると、アメリカのテレビ伝道師が叫んでいるのや、イランのイスラーム指導者が叫んでいるのや、ロシア正教のお坊さんがぶつぶつつぶやいているのや、ブッダの教えを三か国語で説いているのや、とにかく布教関係の宗教放送がやたらと多いことに気づく。
2013-08-18 07:47:12日本でも、見ようと思えば見えるのだが、巨大なアンテナを立てなければならないから個人では難しい。一橋にいた時、5基の巨大なアンテナを立てて、世界の情報を学生に浴びせようと思ったのだが、維持費がないと言われ、巨大な遺構と化した。同志社でもアジアサットを視聴できるようにした。
2013-08-18 07:50:32