ホワット・ア・ホリブル・ナイト・トゥ・ハヴ・ア・カラテ #2

日本語版公式ファンサイト「ネオサイタマ電脳IRC空間」 http://d.hatena.ne.jp/NinjaHeads/ 書籍版公式サイト http://ninjaslayer.jp/ ニンジャスレイヤー「はじめての皆さんへ」 http://togetter.com/li/73867
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「アイエエエエエエ!」ラヴェジャーは原初的恐怖を感じ取り、ノミめいた跳躍力で飛び跳ねて物陰に隠れた。まるでそこに、巨大な竜がいるかのような錯覚を覚えたからだ。だが次に彼が物陰から卑屈な姿勢で覗き見ると、リー先生の横にはサイバーチャイナドレスの女が静かに立っているだけだった。 24

2013-08-28 01:12:22
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「……彼は非論理的で、科学者と言うよりは、ただの飼育係だからネェー。有能ではあるのだが」リー先生はドラゴン・ニンジャと白衣クローンヤクザ軍団を連れ立って、メインラボへ続く自動廊下へ向かった。「おお……破滅……破滅ですぞ……」ラヴェジャーは物陰に隠れながら、二人の後を追った。 25

2013-08-28 01:22:52
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ちょっと考えれば、私が君にカラテで殺されるわけ無いって、すぐに解るはずなのにネェー。何しろ私が死んだら皆が困る!ニンジャサイエンスは頓挫し、人類にとって歴史的損失だ!」リー先生は興奮し、小さく跳ね始めた。ドラゴン・ニンジャは無言のまま、メインラボに並ぶ飼育セルを見ていた。 26

2013-08-28 01:30:38
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ヤメロー!ヤメロー!」「コワイ!」「アエエエエエエ!」ずらりと並んだ真白い飼育セルには、アマクダリから提供されたサンシタ被検体や犯罪者が囚われ、実験の時を待っている。ナムサン!この狂気の研究所においてはニンジャですら神秘のヴェールを剥ぎ取られ、モルモットめいた扱いなのだ! 27

2013-08-28 01:39:44
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「悪趣味なフリークショウだ」彼女は言った。「さあさ、お立ち会い!私は街はずれに立つ見世物小屋の狂った座長!拍手は結構、研究資金と検体を提供しておくれ!イヒヒーッ!……そういう事なんだネェー、つまりは。イディオットを科学的に説得するのは徒労だと科学的に証明されてるからネェー」 28

2013-08-28 01:47:38
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「そうやってソウル憑依者を獲得するわけか」「これが一番手っ取り早いし、楽しいからネェー。私ほどの天才的科学者になると、なかなか理解者が得られないのだ」この夜、リー先生はいつになく饒舌だった。飼育セルの間を歩くブルーブラッドが、驚きに満ちた目で、自動廊下を進む二人を見ていた。 29

2013-08-28 01:58:49
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

自動廊下は黙々と二人を前進させる。彼女は道すがら、何個かの飼育セルを指差して訊ね、リー先生はそれらの概要を語った。やがて彼女は、極めて興味深い披検体を発見し、サングラスを外して指差す。「あれが気になる」「あれは変種だネェー。ニンジャソウルが2個入っている」リー先生は頷いた。 30

2013-08-28 02:10:21
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ヤメロー!ヤメロー!」ウィルスで疲弊したその女のニンジャソウル憑依者は、立ち上がり、飼育セルの強化アクリル全面窓を叩いて必死に抵抗した。髪の色が黒から燃えるような赤へ、また黒へと変わった。その飼育セルの前を通り過ぎると、ユカノは再び冷徹なサングラスをかけ直し前を向いた。 31

2013-08-28 02:19:58
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「あれは人工的に?」「私は何もしてないネェー。つまり仮定として……」二人はリー先生の居室へ向かって進んでゆく。「おお……禍が……!」バイオスモトリの陰に隠れながらラヴェジャーは嗚咽する。不吉なウシミツ・アワーを告げるゴシック調の鐘と電子パイプオルガン音が施設内に鳴り響いた。 32

2013-08-28 02:35:45
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

【ホワット・ア・ホリブル・ナイト・トゥ・ハヴ・ア・カラテ】#2終わり #3へ続く

2013-08-28 02:36:42