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もりかさん単著☆もりかさんの童話をトゥギャりました^^

BL課期待のホープ、もりかさんの童話をトゥギャりました☆ (再まとめ)
童話 竹の子書房
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もりか @_molica_
@ts_p 夜天の星が今ほど少なくなく、冬が今ほど暖かでなかったころ、遠い国に一人のお姫様が生まれました。その女の赤ちゃんは、生まれて間もないというのにすでに美しさで人々を惹きつけずにはおかないほどでしたので、名付け親になった仙女は
もりか @_molica_
@ts_p 「この姫君の前ではどんな花も己を恥じてその身を散らすでしょうから『捧げる花もなし』という名前にしましょう」と言いました。 王様もお妃様も、ほんとうはもっと愛らしい名がいいと思ったのですが、名前は名付け親だけが贈ることのできるものだったので何も言いませんでした。
もりか @_molica_
@ts_p 少々風変わりな、そして何とはなしに寂しげな名だとは感じましたが、ともあれ姫の美しさを讃えているのだからと思ったのです。 そうして姫はすくすくと大きくなりました。 ひとつ歳を重ねるごとに、美しさは十倍にもなるようでした。
もりか @_molica_
@ts_p 王様とお妃様にはこの『捧げる花もなし』姫しか授かりませんでしたが、輝くばかりに美しいわが子を見ていれば、何の不自由も不満もないのでした。ところが無邪気な子供の時間はそう長く続くものではありません。成長するにつれお姫様は自分の美しさには大きな力があることに気づきました。
もりか @_molica_
@ts_p 自分がこうしてほしいと思うことは、口に出しさえすれば誰かがすぐに飛んできてくれます。時には言葉になるより先に、いろいろなことが片付いていることさえありました。 お姫様は、目覚めてから眠りにつくまで自分ですることなどなにもありはしませんでした。
もりか @_molica_
@ts_p 女官や家来達にかしずかれて成長するうちに、着替えや食事すら自分の手を動かすことはなくなってしまい、心さえ命令することに慣れてしまって、思いやりだとか気配りだとか、そのほか大事なもろもろのことを忘れてしまったのです。
もりか @_molica_
@ts_p それでも見目形だけはたいそう美しく、お姫様が十五歳の誕生日を迎えるころには、あちらこちらの国の王子様や、若い王様などから、たくさんの贈り物とともに結婚の申し込みが舞い込むようになっていました。
もりか @_molica_
@ts_p ある方はすばらしい国を持って豊かに暮らしておられたり、たとえ暮らし向きがさほど裕福ではなくても、お心もちのすばらしい方だったり、それぞれにお相手として不足のない紳士ばかりでした。けれどお姫様はどんな方もお気に召しません。
もりか @_molica_
@ts_p お姫様はその名のとおりどんな花さえかすんでしまうほど美しい方だったので、自分にふさわしいと思われる方を決めることができなかったのです。「私の美しさに見合う方を探すのには、きっと千年もかかってしまうわ。けれど千年もたってしまったら、しわくちゃのおばあさんになってしまう。
もりか @_molica_
@ts_p せっかくこんなに美しいのに、そうなったら台無しだわ。どうしましょう…」お姫様は考えて、神様にお願いすることにしました。 それはこんなお願いでした。「神様、どうか千年のあいだ、私の美しさを今のままにとどめておいてください。
もりか @_molica_
@ts_p 千年あれば、きっと私にふさわしい結婚相手が見つかると思うのです。どうか千年、今のままでいさせてください」さて、神様はとても遠い空の高みでこのお願いをきいておられました。そして、すこし考えてお返事をなさいました。
もりか @_molica_
@ts_p 「よくわかった。そなたの美しさ、千年のあいだとどめておこう」それをきいて、お姫様はほっと胸をなでおろしました。これで王様やお妃様が言われるように、早くいいかたを選んで結婚をする必要がなくなったのです。しばらくは平穏無事な、幸せな時間が続きました。
もりか @_molica_
@ts_p ①王様もお妃様も、ご自分が歳をとっていくにつれ、お姫様がひとりでおられることだけがご心配でしたが、お姫様は平気でした。神様との約束があるのです。いそいで気に入らない人と 結婚する必要はないのです。
もりか @_molica_
@ts_p ②けれど、いつまでたっても十五歳のまま歳をとらないお姫様のことは、だんだんと人の口にのぼるようになっていきました。
もりか @_molica_
@ts_p お姫様の変わらぬ美しさを、民草は薄気味悪く思いはじめていたのです。王様も身体が弱って、大事な国を治めることが難しくなっていました。お姫様が王様になることもできたはずでしたが、お姫様はご自分の美しさにしか心が向かない方でしたし、王様になるための知識も知恵も足りません。
もりか @_molica_
@ts_p そこで王様は仕方なく、大臣の一人に国を任せることにしました。けれども王様の代わりになった大臣は、もとの王様のことはとても大事にしていましたが、お姫様のことはあまり好きではありませんでした。
もりか @_molica_
@ts_p 自分のことしか考えず、口を開けば命令ばかりで、大変な仕事をしている家来達に、優しい言葉のひとつもかけてくださったことがなかったからです。ある寒い冬の朝、王様が流行り病で亡くなると、大臣はお姫様を森の中のお城に閉じ込めてしまいました。
もりか @_molica_
@ts_p けれどお姫様は気にもしません。身の回りの世話をする女官や侍女はたくさんつけてもらいましたから、かえってわずらわしくなくていいとさえ思ったのです。
もりか @_molica_
@ts_p 森のお城にはお妃様も一緒でした。年老いたお妃様は、いつまでもこどものようなお姫様を見ながら、お姫様が生まれた日のことを思い出すことが多くなりました。あのとき名付け親の仙女は、お姫様の美しさを讃えるために『捧げる花もなし』という名前をつけたはずでした。
もりか @_molica_
@ts_p けれど今思えば、こんな寂しい森の中に閉じ込められて、訪れる人もなくただ生きてゆく運命を、予言していたのではないかとさえ思えてくるのでした。そして、王様が亡くなってからいくらもしないうちに、お妃様も天に召されました。
もりか @_molica_
@ts_p このときは、さすがにお姫様もすこし泣いてしまいました。なぜなら、このお城に来たときにはたくさん居たはずの女官たちが次々にお城を去ってしまい、お妃様が亡くなると、最後に残っていたお妃様の侍女さえお城を出て行ってしまったからです。
もりか @_molica_
@ts_p 誰も居なくなってしまったお城の中は、シンとして静かで、明かりを灯す人もいないので真っ暗でした。お姫様は火をつけることなどできはしなかったからです。食事の時間になっても食べ物はありません。おなかがすいてもどうすることもできないので、着替えもせずに眠るしかありません。
もりか @_molica_
@ts_p 毎日はただそうやって過ぎていきました。 おなかがすいて、のどがかわいて、服も着たきりでボロボロで、髪をとかして結ってくれる人もいないのでぼさぼさのままでした。けれど神様との約束どおり、お姫様はやつれもしなければ、病気になることもなく、死んでしまうこともありません。
もりか @_molica_
@ts_p ときおり物見高い人々がお城をのぞきにやってきます。けれど、ぼろをまとい、床につくほどのざんばら髪をたらしたお姫様の姿は、化け物と間違われるくらいで、生きている人間どころか誰も『捧げる花もなし』姫だとは気づきません。
もりか @_molica_
@ts_p お姫様のことを知っていた人はみんな死んでしまい、森の中のお城のことも、化け物屋敷としてうわさするくらいでした。そんなある日、お城を訪ねた旅人がありました。
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