日本の「ヒーロー」・・・ちゃんと創ろうよ! その2 ~作劇法つき~

昨日のつぶやきの続き。 今回はダークヒーローの歴史…SFの文化衝突から 「ちゃんとしたw」ヒーローものの作劇法について 述べています。
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沼田やすひろ @numatayasuhiro

昨日の続き… ダークヒーローの歴史補足と ヒーロー作品の創作法について。 (またまた長い連ツイです) ... 北米において マーヴルコミックスとDCコミックスの ダークヒーロー誕生のきっかけを ベトナム戦争と書きましたが、 日本はどうだったでしょうか?

2013-09-10 00:18:19
沼田やすひろ @numatayasuhiro

ある方が石ノ森章太郎氏のヒーローは 皆、ダークヒーローだと言います。 仰るとおりです。 009シリーズの起源を シオドア・スタージョン氏の 「人間以上」とする説があります。 これは1954年の作品です。

2013-09-10 00:18:58
沼田やすひろ @numatayasuhiro

石ノ森章太郎氏は 常に「人間以上」の存在にとっての正義と 人間にとっての正義の相克を描き続けました。 超常的な力は人間にとっては脅威でしかないのです。

2013-09-10 00:19:16
沼田やすひろ @numatayasuhiro

手塚治虫氏はアトムでロボットにとっての正義と 人間にとっての正義の相克をしばしば描きました。 これの起源はアイザック・アシモフ氏の 1950年以来のロボットシリーズです。

2013-09-10 00:19:29
沼田やすひろ @numatayasuhiro

SFでは種族、文明の差異とその衝突による しばしば異種の正義の相克を描きます。 最近の名作スタートレック イントゥダークネスも 同じテーマです。 そういえば、シオドア・スタージョン氏は スタートレックでスポックの発情期や 例のフィンガーサインを生み出した方ですね。

2013-09-10 00:20:07
沼田やすひろ @numatayasuhiro

旧宇宙戦艦ヤマトにおいて、 異種文明を滅ぼしてしまったヤマトに対して、 スタートレックシリーズは、 常に異星文明の対立と融和を描き続けました。 (ヴォイジャーではついに宿敵を滅ぼしましたが…) それが長期にわたる大シリーズを生み出した要因と 考えています。

2013-09-10 00:20:25
沼田やすひろ @numatayasuhiro

異質な存在同士による、それぞれの正義の相克は SF的エンタテインメント作品において、 普遍のテーマであるといえます。

2013-09-10 00:20:43
沼田やすひろ @numatayasuhiro

ここで、話をヒーロー論に戻しますが、 この正義の相克がおこなわれている場合でも、 ヒーローの行動原理は揺らぎません。 その一貫した行動原理(シナセンでいう貫通行動)で 次々にアクションを起こして、 その解決の爽快感から、 作品視聴後の満足感が高まるからです。

2013-09-10 00:20:57
沼田やすひろ @numatayasuhiro

この話をすると、 マンネリになってしまうのでは? という疑問を呈される方が多くいらっしゃいます。 スポーツ観戦を考えてください。 選手たちは、試合中になぜ戦うのか… などと悩みますか? そんなものはありません。 勝つための行動原理に揺らぎはありませんが、マンネリはありませんよね。

2013-09-10 00:21:22
沼田やすひろ @numatayasuhiro

「エヴァンゲリオンのシンジはどうなの?」と 仰る方がいらっしゃいます。 彼はもちろんヒーローではありません。 拙著「おもつまアニメ」で分析を披露していますが、 シンジは変化途上のキャラクターで 変化するプロットを担当します。

2013-09-10 00:21:43
沼田やすひろ @numatayasuhiro

なぜ、エヴァがおもしろいかというと バトル表現が新しかったからです。 エヴァのヒーローは別にきちんといます。 レイとアスカです。二人は基本、揺らぎません。

2013-09-10 00:22:00
沼田やすひろ @numatayasuhiro

ここでヒーロー物の一つの作劇法を紹介します。 主人公には二種類あります。 一つは揺るがない行動原理で全編のおもしろさを表現していく 「狂言回し」です。 もう一つは「13段階の変化のプロット」を経て成長していく 「真の主人公」です。

2013-09-10 00:22:19
沼田やすひろ @numatayasuhiro

ヒーローを「狂言回し」として、次々にスポーツの試合のように「対立→葛藤→変化」のアクションを続けます。 そのエピソードと交わったり、離れたりしながら、「真の主人公」はヒーローに助けられ、後に自分自身で自立して成長していく。 これが深みのある、観ごたえのあるヒーロー物の作劇法です。

2013-09-10 00:23:06
沼田やすひろ @numatayasuhiro

映画キャプテンハーロックの真の主人公はヤマですが、 最後の変化は自立せず、ハーロックによってもたらされます。 さらに、ヒーローであるべきハーロックが狂気の人であるために、 爽快感が著しくそがれてしまいます。

2013-09-10 00:23:26
沼田やすひろ @numatayasuhiro

クリストファー・ノーラン監督の 「ダークナイト」のヒーローはもちろんバットマンです。 彼は自身の正義のために突っ走りますが、狂気ではありません。 彼によって変化するはずのジョーカーやツーフェイスは 結局破滅するだけで改心などの変化はしません。

2013-09-10 00:23:49
沼田やすひろ @numatayasuhiro

バットマンはジョーカーを倒して自身の正義は完成しますが、 周囲から観ると、まったく正義の人ではない…。 でも彼は自身の正義を突っ走り続ける…と 「ダークナイト」の主張を叩きつけるので見ごたえがあります。 プロットは不完全ですが、表現としての完成作なのです。

2013-09-10 00:24:04
沼田やすひろ @numatayasuhiro

「ダークナイトライジング」はヒーローであるバットマン自身が、真の主人公として「13段階の変化の筋立て」を経る上、ロビンの誕生にも「13段階の変化の筋立て」があります。 完成したプロットと表現の傑作です。 ただ「破滅」表現が弱いために、映像表現作品として「ダークナイト」に負けます。

2013-09-10 00:25:40
沼田やすひろ @numatayasuhiro

筋立てと映像表現の話は また別の機会にチラチラとしていきますが、 ヒーローを狂言回しに徹させることで、 正しいヒーローの作品を創ることができます。 「ヒーローは自分の道を突っ走る」 これが爽快感のある、憧れられるヒーローの姿です。

2013-09-10 00:26:01