- hayato_itimonzi
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ネオン輝く夜のネオサイタマ。「毎日楽しい」「実際楽しい」「金曜夜はユーレイ・ナイト」などの看板を一陣の虹めいて男は駆ける。 彼の背中には直径1メートルを超えようか、独特のシルエットの凶器「ダイシュリケン」を背負っているとは思えない敏捷性。まるで風だ。 2
2013-09-12 23:15:29なぜなら男はニンジャだからだ。男の名前はヒュージシュリケン。 ネオサイタマの暗部を支配するニンジャ組織ソウカイヤのメンバーである。 今日は特別な夜である。だから内心彼は焦っていた。 3
2013-09-12 23:15:56相手はヒュージシュリケンよりもカラテの劣る相手たちである。だが中々距離が詰めれない。故に焦っていた。 今日追っているニンジャはソウル憑依したてで暴れているニュービーでも、ソウカイヤの絶対的君主たるラオモトの機嫌を損ねた企業ニンジャでもない。 4
2013-09-12 23:17:56罪罰影業組合―――キョート共和国に構え、ソウカイヤに楯突くニンジャ組織の一員達だからだ。 キョートを本拠地とするザイバツが俄かにネオサイタマで確認されるようになったのは最近の事だ。 5
2013-09-12 23:19:23ネオサイタマ各地にある奴らのいくつかの居留地を見つけ、今宵ソウカイヤは総攻撃を仕掛けたのだ。 ラオモト・カンの命令は明快であった。全員殺すべし、慈悲は無い。 ザイバツの企み等解っている、ゆえにインタビューも必要もない。ラオモト・カンの圧倒的支配者ゆえの自負であった。 6
2013-09-12 23:22:13同時にそれはザイバツなにする者ぞというラオモトの部下へのアピールであり、ここでイクサで負けるようならばセプクである。 縦社会的な建前社会を持つザイバツにはロードと呼ばれる支配者の下、グランドマスター、マスター等の位階があるという。 7
2013-09-12 23:23:40今回ネオサイタマに隠れ潜んでいたザイバツのニンジャにはグランドマスター位階はいないだろう。マスターもいるかどうか。 だがラオモトへ下手な報告は出来ぬ、ソウカイヤのニンジャの緊張感はただならぬ物であった。 8
2013-09-12 23:26:15今宵が特別な夜なのは、何もザイバツが相手だからだけではない。 ゲイトキーパー―――ラオモト・カンの長年の右腕たるニンジャ、そのゲイトキーパーの提案。それはシックス・ゲイツ設立提案。 シックス・ゲイツとは古事記にも記されている伝説的なニンジャ存在である。 9
2013-09-12 23:31:23ラオモト・カンのネオサイタマの支配は磐石となりつつあり、ラオモトの貴重な時間を小さなイクサ全てに費やすのは無駄である。 そこでゲイトキーパーが提案したのがラオモトの下、忠実に冷酷な任務を遂行する幹部位階の集団の設立であった。 10
2013-09-12 23:34:13そしてその名に伝説的なニンジャ集団の名を冠するのはラオモト・カン、そのニンジャ名をデモリッション・ニンジャの絶対的支配の証明となる。 古事記に記された平安時代のニンジャの支配が、ラオモトの名の下に復活するのだ! 11
2013-09-12 23:37:17暗殺カラテ拳の使い手インターラプター、単純なカラテならばラオモト、ゲイトキーパーに並ぶといわれる武神。 フドウカナシバリ・ジツの使い手ビボルダー、その目を見た者は死ぬと言われる危険なコブラ・クランのグレーター・ソウルを宿すニンジャ。 13
2013-09-12 23:39:50アースクエイク、ビッグ・ニンジャ・クラン特有の巨大なパワー、それ以上に哲学的な思考と判断力を持つ男。 彼らはシックス・ゲイツ確定であろう。だがそれ以外のニンジャはどうか? 14
2013-09-12 23:41:26ミニットマン、イクエイション、コッカトリス、ガーゴイル、ソニックブーム、バンディット誰にでもチャンスがある。この俺、ヒュージシュリケンにもだ。 今宵は単なるサンシタ狩りではない。いずれ設立されるシックスゲイツ、そこへ入れるかへの試金石ともなろう。 15
2013-09-12 23:43:26「イヤーッ!」ヒュージシュリケンの投げたスリケンを百倍にも拡大したかのようなダイシュリケンがザイバツニンジャの一人の首を刎ねる! 「貴様にインタビューをしている暇も拷問している時間もない。死ね」「サヨナラ!」爆発四散! 16
2013-09-12 23:46:04携帯端末からはミニットマンがチーターめいて敵を追い詰める様子、姑息なるヘルカイトの上空からの監視報告が入る。 スコアでは悪くない。あと二人も倒せばヒュージシュリケンのニンジャスコアはトップクラスだ。 17
2013-09-12 23:47:29目の前にいるニンジャは四人。スコアを稼ぐには悪くない。悪くないが……ニンジャのスタミナも有限である。 今宵追い、狩ってきたヒュージシュリケンのカラテにも陰りが見れる。三人相手にして勝てるか?勝つことは可能だろう。 18
2013-09-12 23:48:23しかし三人全員の首をボーリング・ピンめいて安全に刎ねれるかと言えば、それは別の話である。 黒と赤と銀と青の装束のニンジャをヒュージシュリケンを囲む。相手も追い詰められ覚悟を決めたか、危険な目をしている。 19
2013-09-12 23:49:06ザイバツの黒色のニンジャがクナイ・ダートを投げてくる。それを人差し指と中指で挟み掴むヒュージシュリケン!タツジン! さらに銀色のニンジャが間髪置かずヤリめいた蹴りを放つ!それを紙一重でヒュージシュリケンは避けると、脚の腱にクナイを刺す。 20
2013-09-12 23:50:05「グワーッ!」「痛いか?この状態から貴様にインタビューするシチュエーションを三百は思いつくが、その暇がなく残念だ」 しかしアキレス腱を切断されようとするニンジャにお構いなく、残りの二人の青色と赤色のニンジャが襲う。 21
2013-09-12 23:51:31(((このニンジャを殺してから二人の攻撃を避けるのは無理だ、どうする?!))) 銀色のニンジャを放すか?彼は無力ではない、しかし銀色のニンジャを殺してからでは二人を捌ききれぬか?! 22
2013-09-12 23:53:10その時だ、高速で大排気量のエンジン音を響かせ、大型の「一人乗り」の大型ハーレーが近づく。 「何も……」青色のニンジャはその言葉を最後まで言うことが出来なかった。 その顔面に巨大な拳が減り込む!大型のハーレーは無人だった。 23
2013-09-12 23:55:02否、青色のニンジャが振り向くよりも早く、その大型のハーレーの主は虹色の風めいて跳躍し、ヒュージシュリケンを襲おうとしたニンジャに飛び掛っていた。 ヒュージシュリケンはその光景をまるでソウマト・リコールのように時間がゆっくりと進むように眺めていた。 24
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