坂本義和『相対化の時代』まとめ

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読書メモ @masashy_log

文明の間に差異があることと、文明の間に対立が生じることと、文明の間に殺戮が発生することとは、同じではないのであって、なぜ文明の差異が対立になり、なぜ対立が殺戮にまでなるか、その変化は文明の差異からは説明できない。(坂本義和『相対化の時代』)

2013-09-13 22:18:49
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「ヒロシマ・ナガサキ」の声が訴えたかったのは、過去を非難することではなく、人類の現在と未来への憂慮を共有することだった。しかし議論の焦点はそこにはなく、過去に集中された。(坂本義和『相対化の時代』)

2013-09-13 22:21:34
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「ヒロシマ・ナガサキ」が絶対に反対してきたのは、何よりも核兵器という戦争手段であるのに対し、アメリカやアジアが絶対に反対してきたのは、日本の侵略戦争という、戦争の目的・性格なのだ。(坂本義和『相対化の時代』)

2013-09-13 22:23:45
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戦争・紛争の相対化による局地化の帰結として、平和と局地戦争との共存が、むしろ世界の常態にさえなってきた。戦争と平和の共存の日常化である。これは軽視できない状態である。(坂本義和『相対化の時代』)

2013-09-13 22:25:39
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今日とくに顕著なのは、ほとんどあらゆる国で市民感覚を絶した政治腐敗が起こっていることであるが、それは、世界化した市場が、「政治権力の商品化」をも世界化していることの現われである。(坂本義和『相対化の時代』)

2013-09-13 22:27:30
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「社会」レベルにあるにせよ、国家や市場を志向し、それと親和性をもつような組織や行動は、市民社会に含まれないばかりか、それと緊張・対立関係に立つ。(坂本義和『相対化の時代』)

2013-09-13 22:30:46
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市場は利己心や欲望の充足手段の場であるから強力なのであって、それは、人間のアイデンティティの探究と重ならないばかりでなく、かえって人間のアイデンティティを抹消していく機能をもっている(坂本義和『相対化の時代』)

2013-09-13 22:33:04
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市場、経済自由化、規制緩和などの正当性の根拠は、最終的には効率であり、競争が生産性を高めるということであるから、これは本来的に「手段の合理性」の域を脱しないものであり、相対性の世界でしかない。(坂本義和『相対化の時代』)

2013-09-13 22:34:57
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対して、市民社会の正当性の根拠は、目的としての人間の主体の自立であって、これはウェーバーのいう「価値合理性」、つまり目的価値の領域に属する。したがって、そこには手段化できない終局価値という意味での絶対化の世界がある。(坂本義和『相対化の時代』)

2013-09-13 22:36:51
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一見近代を拒否する「ポストモダン」の言説が、実は近代の実現を前提にしており、普遍を否定する人が、実は普遍的な「人間の尊厳と平等な権利」を前提にした社会に生きている存在である(坂本義和『相対化の時代』)

2013-09-13 22:39:36
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日本の市民は、元従軍慰安婦、強制連行労働者その他の犠牲者に対して、政府が補償を行うように、強く要求する責任を負っている。(坂本義和『相対化の時代』)

2013-09-13 22:41:23
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非軍事的援助を行っている間にも、連日、一般市民が殺戮されているという事態が起こった場合、それは黙視するということでよいのだろうか。この、素朴だが本質的な問いを、避けては通れないだろう。(坂本義和『相対化の時代』)

2013-09-13 22:43:27
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日米関係を重視するのはよい。しかし、アメリカが常に、アジアや世界の平和のために行動すると信じるのは、非現実的である。(坂本義和『相対化の時代』)

2013-09-13 22:47:09
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民主主義と人権の普遍性を思想の中核にしているのは、すべて、下からの民主化を達成した国であり、自国の特殊性をことさら強調するのは、下からの民主化に基づかない政治体制の国だ(坂本義和『相対化の時代』)

2013-09-13 22:49:13
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多文化の対等性と自立性を認めることは、国家を相対化することであり、それはまた、どちらも多民族・多文化から成るところの国際社会と国家との間の境界を、相対化する可能性をはらんでいる、ということである。(坂本義和『相対化の時代』)

2013-09-13 22:51:10
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現代の世界で、「世界」という枠組みでの意識や行動が容易なのは「先進国」の政府や市民である。(坂本義和『相対化の時代』)

2013-09-13 22:52:11
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無数の決定者がいるということは、一人の人間の比重が著しく軽くなったことをも意味しうる。そこに、民主主義の普遍化のゆえに、一人一人の個人の無力感がかえって深まる、というう逆説が生まれる。(坂本義和『相対化の時代』)

2013-09-13 22:54:14
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敗戦で国家が崩壊した後、民衆が生きる場として社会が残った。「国破れて社会あり」とでも言おうか。その社会は、焼け跡と飢えとヤミ市の社会だったが、そこで多くの人々は、いまや虚構となった国家に頼らず、ナショナリズムの神話を信じず、個人として生きぬき始めたのである。(続)

2013-09-13 22:56:45
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このホッブズ的自然状態に似た市民社会、それが戦後の「焼け跡民主主義」の起点だった。ここで、自分が生きる権利――単なる事実ではない――を自分で守るという意識が草の根に浸透していったことの意味は、決して小さくない。(坂本義和『相対化の時代』)

2013-09-13 22:58:50
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私たちが「地球市民」としての意識を多少とももつことなしに「人間」としてのアイデンティティをもちえない、そういう時代への転換期に私たちは生きているのである。(坂本義和『相対化の時代』)

2013-09-13 23:01:11
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核兵器には反対、核戦争には反対だが、在来兵器で行われている戦争や、非核兵器でなされている大量殺戮には、あまり関心を示さないというのでは、もともとの「反核」という主張そのものに、何か本質的な欠陥があったことにならないだろうか。(坂本義和『相対化の時代』)

2013-09-13 23:04:16
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冷戦の終結が遺した教訓の一つは、何がほんとに現実的なのかを考える時に、私たちは、いきいきとした想像力をもたなければならない、ということではないだろうか。(坂本義和『相対化の時代』)

2013-09-13 23:14:00